結論——「どっちが正解」ではなく「どっちが自分に合うか」
まず、いちばん大事なところから。テキスト(市販教材で進める独学)と通信講座、これは「どちらが正解か」を争う話ではありません。
たとえるなら、移動手段を選ぶようなもの。自分の足で歩くか、バスに乗るか。目的地が同じでも、体力や予算、急ぎ具合によって、選ぶ手段は変わりますよね。勉強法も、それと同じなんです。
正直なところ、ここを取り違える人は意外と多いと感じます。「みんなが講座を使っているから」「独学のほうが偉いから」——そんな外側の理由で選ぶと、自分に合わない方法に時間とお金を注いでしまいかねません。
だからこそ、まずは両方の特徴をフラットに知ること。そのうえで、自分の性格・予算・生活リズムに照らして選ぶ。つまり、人気や世間の評判ではなく、自分の条件を物差しにするということです。それが、遠回りに見えていちばんの近道です。
では、市販テキストと通信講座、それぞれどんな人に向くのか。順に見ていきましょう。
市販テキストで進める独学が向く人
まず、市販のテキストと問題集を使った独学から。これが向くのは、こんな人です。
ひとつは、コストをできるだけ抑えたい人。市販のテキストと問題集なら、ひととおり揃えても通信講座よりかなり安く済みます。お金の負担が軽いぶん、気持ちも軽く始められます。
もうひとつは、自分でペースを管理するのが得意な人。「今日はここまで」と自分で決めて進められるなら、独学の自由度は大きな武器になります。誰かに合わせる必要がなく、得意な分野はさっと、苦手な分野はじっくり、と緩急を自分でつけられます。
行政書士は、実はこの独学と相性のいい資格です。市販教材が豊富で、出題の傾向も比較的安定しているから。たとえば行政法の行政指導のような頻出テーマは、どのテキストでも手厚く扱われていて、独力でも十分に学べます。
ただ、独学にも弱点はあります。何を使うか、どの順で進めるかを、すべて自分で決めなければなりません。質問できる相手もいません。「自由」の裏返しとして「全部ひとりで判断する」負担がある、ということは知っておきましょう。
費用を抑えたい者、自分でペースを刻める者——独学はそういう者に味方する。されど、何を使い、どう進めるかを自分で決める覚悟も要ると心得よ。
通信講座が向く人
次に、通信講座。これが向くのは、こんな人です。
まず、教材選びや学習計画に時間をかけたくない人。通信講座は、必要な教材とカリキュラムがひとまとめになっています。「何を、どの順で」を考える手間が省けるので、その時間をそのまま勉強に回せます。
そして、「強制力がないと続けにくい」と感じる人。講座には、スケジュールや進捗管理の仕組みが用意されていることが多く、ペースメーカーになってくれます。ひとりだとサボりがちな人にとって、これは大きな支えです。
質問できる環境がある点も見逃せません。民法の意思表示のような抽象的で分かりにくい論点は、独学だとつまずきやすいところ。そこで「聞ける相手がいる」のは、通信講座ならではの安心材料です。
もちろん、費用は独学より高くなります。ただ、その分の価値を「時間と挫折しにくさを買う」と捉えるなら、けっして高い買い物ではない人もいます。要は、何にお金を払っているのかを納得して選べるかどうか、です。
教材選びに時間をかけたくない者、仕組みの力で続けたい者には、講座が支えとなる。払う費用は、時と、くじけにくさを買う対価と知るがよい。
ふたつを並べて見ると
ここで、市販テキストの独学と通信講座を、ひとつの表で並べてみましょう。
| 比べる点 | 市販テキストで独学 | 通信講座 |
|---|---|---|
| 費用 | 安く抑えられる | やや高め |
| 自由度 | 高い(自分次第) | 決まった流れに乗る |
| 教材選び | 自分で選ぶ手間あり | 用意されている |
| 続けやすさ | 自己管理が要る | 仕組みが支える |
| 質問のしやすさ | 基本ひとりで解決 | 聞ける環境あり |
こうして並べると、どちらにも良い面と気をつける面があるのが分かります。大事なのは、この表のどこが自分にとって重いかを考えること。要するに、自分がどの項目をいちばん大切にするかで、答えは自然と決まってくるんです。「費用」を重く見る人と、「続けやすさ」を重く見る人とでは、答えが変わって当然なんです。
AさんとBさん、二人の選び方
もう少し具体的に、二人の例で考えてみましょう。
Aさんは、平日は仕事、休日は家のことで忙しい社会人。教材をあれこれ選ぶ余裕はなく、「気づいたら一週間勉強していなかった」ということもしばしば。こういうAさんには、カリキュラムと進捗管理がある通信講座が、結果的に近道になりそうです。背中を押してくれる仕組みが、忙しさのなかで効いてくるからです。
一方、Bさんは、学生時代から自分で計画を立てて進めるのが得意なタイプ。お金もできるだけ節約したい。こういうBさんなら、市販テキストでの独学が向いています。自由に進められる強みを、最大限に活かせるからです。
このAさんとBさん、どちらが正しいということはありません。性格も生活も違うのだから、合う方法が違うのは当たり前。大切なのは、人と比べることではなく、自分がどちらに近いかを見つめることです。
第3の道——いいとこ取りという選び方
実は、「独学か、通信講座か」という二択だけが選択肢ではありません。両方のいいとこ取りをする、第3の道もあります。
たとえば、基本は市販テキストで独学を進めつつ、どうしても苦手な分野だけ、単科の講座や動画を使う。費用を抑えながら、つまずきやすいところだけ手厚くする。そんな柔らかい組み合わせが、いまはふつうにできます。
行政法の行政行為のような土台となるテーマは独学で固め、理解に時間のかかる論点だけ講座の力を借りる。こうした使い分けは、とても理にかなっています。
個人的には、最初から完璧に決めなくていい、とお伝えしたいです。まずは市販テキストで始めてみて、「ここは独学だとしんどい」と感じた分野が出てきたら、そこだけ講座を足す。走りながら調整していく。そのくらいの気楽さで、ちょうどいいんです。
実際、合格した人の話を聞くと、最初に決めた方法を最後まで貫いた人ばかりではありません。途中で独学から講座に切り替えた人、逆に講座だけでは物足りず市販の問題集を足した人。みんな、その時々の手応えに合わせて、柔らかく軌道修正しています。だから、いまの選択を「一生の決断」のように重く考えすぎなくて大丈夫です。
失敗しないテキストの選び方
最後に、市販テキストを選ぶときのコツを、いくつか。通信講座を選ぶ人にも、共通して役立つ視点です。
ひとつ目は、「最新版を選ぶ」こと。行政書士試験は法律を扱うため、法改正が反映されているかが重要です。古い版だと、改正前の内容で覚えてしまうおそれがあります。表紙やまえがきで、対応年度を必ず確かめましょう。
ふたつ目は、「一冊を繰り返す前提で選ぶ」こと。何冊も浮気するより、相性のいい一冊を決めて、それを何度も回すほうが力になります。だからこそ、最初に手に取ったときの「読みやすさ」「レイアウトの見やすさ」を、自分の感覚で確かめてください。中身が正しくても、自分が読み続けられなければ意味がないからです。
みっつ目は、「テキストと問題集をセットで考える」こと。読んで終わりにせず、すぐ問題で確かめる。この往復が学習の軸になります。シリーズで揃えると、参照ページがそろっていて行き来しやすい、という利点もあります。
そして、勉強は一気にやるより、少しずつ間隔をあけて繰り返すほうが定着します。通勤の電車で5分、寝る前に10分。そんなスキマ時間を積み重ねる前提で考えると、持ち運びやすさやアプリ対応の有無も、選ぶときの判断材料になってきます。
通信講座を選ぶなら、ここを見る
通信講座を選ぶ場合にも、見ておきたいポイントがあります。値段だけで決めてしまうと、後悔につながりやすいからです。
ひとつは、サンプル講義を試せるかどうか。多くの講座は、一部の講義を無料で体験できるようにしています。講師の話し方や説明の進め方には、人によって合う・合わないがあるもの。お金を払う前に、実際の雰囲気を確かめておくと、ミスマッチを避けられます。
ふたつ目は、質問やサポートの仕組みです。分からないところを聞ける窓口があるか、記述式の答案を添削してもらえるか。独学にはない「支えてもらえる」部分こそ、講座にお金を払う値打ちの中心です。自分がいちばん不安に感じているところが、どこまでカバーされるのかを確かめましょう。
そして、合格に必要な範囲がひととおりそろっているか。安さだけで選ぶと、後から教材を買い足すことになり、かえって割高になる場合もあります。わかりやすく言い換えると、入り口の値段ではなく、最後までにかかる総額で見比べるということ。月々の表示額に惑わされず、ゴールまでの合計で考えるのが、落ち着いた選び方です。
なお、講座の費用は数万円から十数万円ほどまで幅が広く、内容によって大きく変わります。金額の目安は年度や講座によって動くので、申し込む前に、必ず最新の公式情報で確かめてください。
理解度チェック
ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。
テキストと通信講座の選び方について、正しいものはどれか。
- 費用が高い通信講座のほうが必ず合格に近づく
- 自分の性格や予算に合う方を選べばよい
- 独学のほうが常に優れている
- みんなが選ぶ方法に合わせれば安心だ
解答は 2 である。
テキストと通信講座は、優劣ではなく相性の話。つまり、自分の性格・予算・生活に合う方を選ぶのがいちばんなのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 費用の高さは合否を決めない |
| 2 | ✓ 正解 | 自分に合う方を選ぶ |
| 3 | ✗ 誤り | 独学が常に上とは限らない |
| 4 | ✗ 誤り | 他人基準では合わないことも |
要するに、外側の理由でなく、自分を基準に選ぶのが賢いのである。
独学と通信講座の組み合わせについて、正しいものはどれか。
- 一度選んだ方法は最後まで変えてはいけない
- 二つを混ぜると効果が消える
- 苦手な分野だけ講座を足していくとよい
- 講座を使うなら独学の教材は捨てるべき
解答は 3 である。
二択で割り切る必要はない。わかりやすく言い換えると、独学を芯にしつつ、苦手な分野だけ講座の力を借りる——そんないいとこ取りができるのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 途中で変えてかまわない |
| 2 | ✗ 誤り | 組み合わせは打ち消さない |
| 3 | ✓ 正解 | 苦手分野だけ講座を足せる |
| 4 | ✗ 誤り | 教材を捨てる必要はない |
つまり、走りながら柔らかく調整していけばよいのである。
市販テキストを選ぶときのコツとして、正しいものはどれか。
- 法改正に対応した最新版を選ぶ
- 分厚いテキストほど良い
- 評判が良ければ古い版でも問題ない
- 中身は同じなので見た目は気にしなくてよい
解答は 1 である。
行政書士は法律を扱う試験。つまり、法改正が反映された最新版を選ぶことが、まず欠かせないのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 最新版で改正に対応する |
| 2 | ✗ 誤り | 厚さは良さの基準ではない |
| 3 | ✗ 誤り | 古い版は改正前のおそれ |
| 4 | ✗ 誤り | 読みやすさも続ける鍵 |
要するに、最新版で、自分が読み続けられる一冊を選ぶのである。
「自分に合う方を選べばいい」と思えたなら、編集部としてはとても嬉しいです。
独学でも、通信講座でも、その組み合わせでも、正解は人それぞれ。大事なのは、外側の理由ではなく、自分の性格と暮らしを基準に選ぶこと。そして、最初から完璧に決めず、走りながら調整していくこと。完璧な準備を待つより、まずは一冊、自分が読み続けられそうなテキストを手に取ってみる。その小さな一歩が、いちばん確かなスタートになります。
その「毎日少しずつ」の積み重ねに、4択で解けるシカクエのアプリも選択肢の一つです。スキマ時間を効率重視で使いたい方なら、通勤の途中でも寝る前でも、5分から触れられます。
もちろん、市販のテキストでじっくり進めるのも、まったく問題ありません。
次に読むなら、こんな記事もどうぞ。
→ 行政指導 — どの教材でも手厚い、行政法の頻出テーマ → 意思表示 — 独学だとつまずきやすい、民法の抽象論点 → 行政行為 — まず独学で固めたい、行政法の土台テーマ