結論——費用は「二段階」で見れば見通せる
まず、いちばん大事な整理から。行政書士にかかるお金は、大きく二つの段階に分かれます。
ひとつは、「受験までの費用」。受験料と、勉強のための教材費や講座費です。もうひとつは、「合格してから、登録・開業するまでの費用」。登録にかかるお金や、事務所まわりの準備費です。
この二つを混ぜて考えると、「行政書士って、すごくお金がかかりそう」と、漠然と不安になります。でも、分けて見れば、それぞれは見通せる金額です。実際、多くの人は、かかる費用を実際より高く見積もって、最初の一歩をためらいがちです。正体が見えれば、その不安の多くは小さくなります。
しかも、大事なポイントがあります。受験までの費用は、勉強のしかたで大きく変わるということ。つまり、自分の選び方しだいで、総額はかなりコントロールできるんです。では、順に見ていきましょう。
第一段階——受験までにかかるお金
まず、合格するまでにかかるお金から見ていきます。ここには、二種類の費用があります。
ひとつは、受験料です。行政書士試験を受けるには、受験手数料がかかります。これは決まった金額で、誰でも共通です。金額はそれほど大きなものではありませんが、年度によって改定されることがあるので、申し込む前に、受験する年度の公式情報で確認してください。
もうひとつが、勉強のための費用。これは、選ぶ方法で大きく差が出ます。市販のテキストと問題集で独学するなら、ひととおり揃えても、比較的少額で収まります。一方、通信講座や予備校を使うなら、数万円から十数万円ほどかかることもあります。
独学の場合、用意するものは意外とシンプルです。基本のテキスト、分野別の問題集、過去問集。そして、法律の条文を確認する六法。必要に応じて、直前期の模試を受ける費用を足すくらいです。これらを合計しても、講座一つ分より、ずっと安く収まることが多いんです。
受験料は共通。されど、教材費は独学か講座かで大きく変わる。お金を抑えたいなら独学、手厚さを買うなら講座。汝の状況で選べばよいのである。
つまり、受験までの費用は、「受験料+教材費」。そして教材費は、独学を選べば抑えられ、講座を選べば手厚さと引き換えに増える。ここが、総額を左右する最初の分かれ道です。なお、教材は一度に全部そろえる必要はありません。まずはテキストと問題集から始め、必要になったものを足していけば、無駄な出費を抑えられます。
第二段階——合格後、登録・開業の費用
次に、合格してから行政書士として活動するまでにかかるお金です。ここは、合格しただけでは発生せず、「実際に登録して開業する」と決めた人にかかる費用です。
登録のときにかかる主なお金は、国に納める登録免許税、都道府県の行政書士会への入会金、そして登録手数料などです。地域によっては、これに別の会費が加わることもあります。これらを合わせると、初期費用としては数十万円ほどになることが多いと言われます。さらに、行政書士であり続けるあいだは、毎月(または毎年)の会費も必要で、月あたり数千円から一万円程度を見込んでおくと計画が立てやすくなります。
そして、開業するなら、事務所まわりの準備費も見ておきましょう。机やパソコン、職印、通信環境など、最低限のものは要りますが、自宅の一室を事務所にすれば、家賃という大きな固定費を抑えられます。最初は身の丈に合った形で始めるのが、堅実です。
ここで大事なのは、この第二段階の費用は、「合格後、開業すると決めたとき」に考えればいいということ。受験を考えている段階で、登録費用まで心配して足がすくむ必要はありません。まずは第一段階に集中すればいいんです。なお、登録や会費の金額は地域や年度で変わるため、具体的な数字は、登録予定の行政書士会で確認してください。
費用を、賢く抑えるコツ
総額が見えたところで、費用を抑えるコツを、いくつかお伝えします。どれも、特別なことではなく、知っているかどうかで差がつくものばかりです。
ひとつ目は、受験までの費用を独学で抑えること。行政書士は市販教材が豊富で、独学と相性のいい資格です。たとえば行政法の行政行為のような頻出テーマも、どのテキストでも手厚く扱われています。苦手な分野だけ単科講座を足す、という「いいとこ取り」も、費用を抑えながら手厚さを足す賢い方法です。
ふたつ目は、できるだけ少ない回数で合格すること。当たり前のようですが、これがいちばん効きます。受験を重ねるほど、受験料も教材の買い替えも増えます。一回の挑戦を大切にし、計画的に学ぶことが、結果的にいちばんの節約になります。
そして三つ目は、開業するなら自宅から始めること。最初から立派なオフィスを構えなくても、行政書士の仕事は始められます。実務に関わる行政指導のような知識を備え、身近なところから依頼を受けていけば、固定費を抑えながら、少しずつ育てていけます。
もうひとつ、知っておくと得な制度があります。講座のなかには、国の「教育訓練給付制度」の対象になっているものがあり、条件を満たせば、支払った受講料の一部が後から戻ってくることがあります。講座を選ぶなら、こうした制度が使えるかも確認しておくと、実質的な負担を減らせます。利用できる条件は人によって違うので、詳しくは公式の案内で確かめてください。
独学で教材費を抑える。少ない回数で合格する。自宅から小さく始める。この三つを押さえれば、総額はぐっと現実的になるのである。
要するに、お金は「我慢して削る」のではなく、「賢く選んで抑える」もの。選び方を知っているだけで、負担はずいぶん軽くなります。
二つのルートで、イメージしてみる
具体的に、二人の進み方で、総額のイメージをつかんでみましょう。
ひとりは、独学ルートのAさん。市販のテキストと問題集で勉強し、一度の挑戦で合格。受験料と教材費を合わせても、受験までの費用は比較的軽く収まりました。合格後、自宅で開業したので、初期費用も最小限。トータルの負担を、しっかり抑えられたタイプです。
もうひとりは、講座ルートのBさん。仕事が忙しく、通信講座のカリキュラムに乗って合格。受験までの費用は独学より大きくなりましたが、その分、教材選びや計画に悩む時間を買えました。本人にとっては、納得のいくお金の使い方でした。
このAさんとBさん、どちらが正しいということはありません。総額は違っても、それぞれが自分の状況に合った選択をしています。お金を惜しんで独学を選ぶのも、時間を買って講座を選ぶのも、どちらも立派な判断です。大事なのは、「自分はどちらに近いか」を考え、納得して選ぶこと。金額だけでなく、「何にお金を払うのか」を自分で決められれば、後悔は残りません。
費用は「投資」として考える
最後に、お金の考え方を、ひとつ。かかる費用は、「出ていくお金」ではなく、「未来への投資」として見ると、景色が変わります。
行政書士の勉強で得る法律の知識は、合格後の仕事だけでなく、暮らしのなかでも生きてきます。民法でいう権利能力のような、人と財産をめぐる基礎は、契約や相続の場面で、自分や家族を守る力になります。
もちろん、「かけたお金が必ず大きく返ってくる」と約束はできません。でも、知識やスキル、そして「やり遂げた」という経験は、お金には換えにくい価値を持ちます。
それに、資格は一度取れば、原則として一生ものです。かけた費用は最初の一度きりですが、得た資格と知識は、その後の長い人生で何度も生きてきます。そう考えると、目先の金額だけで「高い・安い」を判断するのは、少しもったいないのかもしれません。
個人的には、費用を考えるときに大切なのは、金額の大小だけでなく、「自分にとって、それだけの価値があるか」という視点だと思っています。総額を見通したうえで、「これなら挑戦する価値がある」と納得できたなら、その一歩は、きっといい投資になります。
理解度チェック
ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。
行政書士にかかる費用の考え方として、正しいものはどれか。
- 受験を考える段階で登録費用まで全額用意する
- 合格だけで登録費が自動でかかる
- 受験までと合格後の二段階に分けて考える
- かかるお金はすべて一度にまとめて支払う
解答は 3 である。
費用は、受験までと、合格後の登録・開業の二段階に分かれる。つまり、分けて見れば、それぞれは見通せる金額なのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | まず受験段階に集中でよい |
| 2 | ✗ 誤り | 登録費は開業時にかかる |
| 3 | ✓ 正解 | 二段階で分けて考える |
| 4 | ✗ 誤り | 段階ごとに発生する |
要するに、二つに分ければ、お金の姿は見通せるのである。
受験までの費用について、正しいものはどれか。
- 受験料も教材費も全員まったく同じ額だ
- 受験料は共通だが教材費は選び方で変わる
- 独学より講座のほうが必ず安く済むとされる
- 教材にお金をかけた人ほど必ず合格する
解答は 2 である。
受験料は誰でも共通だが、教材費は独学か講座かで大きく変わる。わかりやすく言い換えると、勉強の選び方が、総額を左右するのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 教材費は人により違う |
| 2 | ✓ 正解 | 教材費は選び方で変わる |
| 3 | ✗ 誤り | 独学のほうが安いことが多い |
| 4 | ✗ 誤り | 金額は合否を決めない |
つまり、独学を選べば、費用は抑えられるのである。
費用を賢く抑えるコツとして、正しいものはどれか。
- 独学を軸に少ない回数での合格を目指す
- 受験回数を増やして何度も挑戦すればよい
- 合格後はすぐ立派なオフィスを借りるべきだ
- 高い講座を複数受けるのが近道だ
解答は 1 である。
独学で教材費を抑え、少ない回数で合格し、自宅から小さく始める。つまり、賢く選ぶことが、いちばんの節約になるのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 独学+一発合格が効く |
| 2 | ✗ 誤り | 回数が増えると費用も増す |
| 3 | ✗ 誤り | 自宅開業で抑えられる |
| 4 | ✗ 誤り | 重複は費用がかさむ |
要するに、我慢でなく、賢い選択で抑えるのである。
「お金の全体像が見えれば、一歩を踏み出せる」と感じてもらえたなら、編集部としてはとても嬉しいです。
費用は「受験まで」と「合格後」の二段階。受験までは独学で抑えられ、合格後の登録費は開業を決めたときに考えればいい。少ない回数での合格と、自宅からの小さなスタートが、総額をぐっと現実的にします。完璧に貯めてから動くより、まずは今日、独学の一問から始めてみる。その小さな一歩が、いちばん確かなスタートになります。
その「独学の一問」に、4択で解けるシカクエのアプリも選択肢の一つです。すきま時間に、5分から触れられます。
もちろん、市販のテキストや問題集で、じっくり進めるのも、まったく問題ありません。
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