市街化区域・市街化調整区域とは(全体像)
都市計画区域の中を、街づくりの方針で2つに分けることを区域区分(線引き)という。
- 市街化区域 … すでに市街地になっている区域と、おおむね10年以内に優先的・計画的に街にしていく区域。
- 市街化調整区域 … 市街化を抑える区域。むやみに建物を建てさせず、自然や農地を守る。
押さえるのは、この線引きが原則は任意だということ。「分けなければならない」わけではなく、分けていない都市計画区域もある。ただし三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)と政令指定都市の都市計画区域だけは線引きが義務になる。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。試験で問われる中身は、次の2つの表につまっている。
市街化区域・市街化調整区域の対比
| 市街化区域 | 市街化調整区域 | |
|---|---|---|
| 方針 | 街にしていく | 街にしないよう抑える |
| 定義 | 市街地+おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化 | 市街化を抑制すべき区域 |
| 用途地域 | 必ず定める | 原則として定めない |
開発行為(建物を建てるなどのための土地の区画形質の変更)をするには、原則として都道府県知事の開発許可がいる。許可がいるかどうかの面積の分かれ目は、区域によって違う。
開発許可がいる面積の基準(4区分)
| 区域 | 開発許可がいる面積 |
|---|---|
| 市街化区域 | 1,000㎡以上(三大都市圏は500㎡以上) |
| 線引きなしの都市計画区域・準都市計画区域 | 3,000㎡以上 |
| 市街化調整区域 | 面積に関係なく原則必要 |
| 都市計画区域・準都市計画区域の外 | 10,000㎡(1ha)以上 |
いちばん大事なのは、市街化調整区域だけ面積基準がないこと。つまり、どんなに小さな開発でも、原則として許可がいる。これは「街にしないよう抑える」区域だから、開発を厳しく見る、というしくみ。
なお、面積基準を満たしていても、市街化区域以外で行う、農林漁業を営む人の住宅や、駅舎・図書館などの公益施設などは、許可がいらない(許可不要の類型)。
わかりやすく言い換えると
要するに、こう覚えるとラク。
市街化区域は「育てる土地」、市街化調整区域は「抑える土地」。役割は真逆。
面積基準は、市街化区域ほど開発しやすく(大きくても許可不要の範囲がある)、市街化調整区域はいちばん厳しい(小さくても許可がいる)、という強弱で理解すると、数字も腹落ちする。
試験のツボ
🔴 一番出る:線引きは原則任意・三大都市圏と政令指定都市だけ義務
①原則 = 線引きするかどうかは任意(分けない区域もある)
②例外 = 三大都市圏・政令指定都市の都市計画区域は義務
🔴 次に出る:開発許可がいる面積の基準
①市街化区域 = 1,000㎡以上(三大都市圏500㎡以上)
②線引きなしの都市計画区域・準都市計画区域 = 3,000㎡以上
③市街化調整区域 = 面積に関係なく原則必要
🟡 押さえると安定:2区域の定義の対比
①市街化区域 = 市街地+おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化
②市街化調整区域 = 市街化を抑制すべき区域(用途地域は原則定めない)
よくある間違い
①「線引きは全国どの都市計画区域でも必ず行う」→ ✗ 原則は任意。三大都市圏と政令指定都市だけが義務で、分けていない区域もある。
②「開発許可がいる面積は、市街化区域も市街化調整区域も同じ1,000㎡」→ ✗ 市街化調整区域は面積に関係なく原則許可が必要。1,000㎡という基準は使わない。
③「市街化調整区域でも用途地域が必ず定められる」→ ✗ 市街化調整区域は原則として用途地域を定めない。必ず定めるのは市街化区域のほう。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(線引きの任意・義務)
都市計画区域の区域区分(線引き)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 区域区分は全国すべての都市計画区域で必ず行う決まりで、線引きをしない都市計画区域は存在しない
- 区域区分は原則として任意だが、三大都市圏と政令指定都市の都市計画区域では行う扱いになっている
- 区域区分は首都圏のみで義務とされ、近畿圏・中部圏や政令指定都市では行わない決まりになっている
- 区域区分は市街化区域だけを定めるもので、市街化調整区域という区分はそもそも設けられていない
解答は 2 である。
つまり、線引きは原則任意で、分けていない都市計画区域もある。ただし三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)と政令指定都市の都市計画区域だけは線引きが義務になる。
要するに、「全国一律で必ず分ける」わけではない、というのがポイント。選択肢1・3・4はいずれも線引きの範囲を取り違えている。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 線引きは原則任意で、分けていない区域もある |
| 2 | ✓ | 原則任意・三大都市圏と政令指定都市は義務で正しい |
| 3 | ✗ | 義務は首都圏だけでなく近畿圏・中部圏・政令指定都市も含む |
| 4 | ✗ | 市街化調整区域という区分はきちんと設けられている |
オリジナル問題2(開発許可がいる面積)
開発許可がいる面積の基準に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 市街化区域も市街化調整区域も、同じ1,000㎡以上の開発で初めて開発許可が必要になるとされる
- 市街化調整区域は3,000㎡未満なら許可が不要で、3,000㎡以上で初めて開発許可が必要になるとされる
- 市街化区域では面積に関係なくすべての開発に許可が必要で、調整区域では1,000㎡以上が必要とされる
- 市街化区域は原則1,000㎡以上、市街化調整区域は面積に関係なく原則として開発許可が必要である
解答は 4 だっ。
つまり、市街化区域は原則1,000㎡以上(三大都市圏は500㎡以上)で許可がいるけど、市街化調整区域は面積に関係なく原則許可が必要だっ!
わかりやすく言い換えると、調整区域は「小さくてもダメ」がルール。選択肢1・2・3は、この調整区域の扱いを取り違えているよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 市街化調整区域は面積に関係なく原則許可が必要 |
| 2 | ✗ | 調整区域に3,000㎡という面積基準はない |
| 3 | ✗ | 市街化区域は1,000㎡以上が原則で、説明が逆になっている |
| 4 | ✓ | 市街化区域1,000㎡以上・調整区域は面積問わず原則必要で正しい |
オリジナル問題3(2区域の定義)
市街化区域と市街化調整区域の定義に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 市街化区域は市街化を抑える区域で、市街化調整区域はおおむね10年以内に市街化を図る区域である
- 市街化区域と市街化調整区域はどちらも市街化を抑える区域で、用途地域はどちらにも必ず定められる
- 市街化区域はおおむね10年以内に市街化を図る区域で、市街化調整区域は市街化を抑える区域である
- 市街化調整区域は市街地として育てる区域で、用途地域も市街化区域と同じく必ず定められている
解答は 3 だよ。
要するに、市街化区域は「市街地+おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る」区域、市街化調整区域は「市街化を抑える」区域。役割は真逆だよ。
つまり、用途地域は市街化区域には必ず定めるけれど、市街化調整区域には原則として定めない。選択肢1は2区域が逆、2・4は方針や用途地域の扱いを取り違えているよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 市街化区域と市街化調整区域の説明が逆になっている |
| 2 | ✗ | 市街化区域は育てる区域で、用途地域は調整区域には原則定めない |
| 3 | ✓ | 市街化区域=10年以内に市街化・調整区域=抑制で正しい |
| 4 | ✗ | 市街化調整区域は抑える区域で、用途地域は原則定めない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 線引きは原則任意。三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)と政令指定都市の都市計画区域だけは義務。
- 🔴 開発許可がいる面積:市街化区域1,000㎡以上(三大都市圏500㎡以上)/線引きなしの都市計画区域・準都市計画区域3,000㎡以上/市街化調整区域は面積問わず原則必要/区域外10,000㎡以上。
- 🟡 市街化区域=市街地+おおむね10年以内に市街化(用途地域を必ず定める)/市街化調整区域=市街化を抑制(用途地域は原則定めない)。
次に学ぶ
- 都市計画法 ── 街づくりのルールの土台。市街化区域・市街化調整区域は、この法律が定める線引きのしくみ。
- 用途地域 ── 市街化区域の中で「どんな建物を建ててよいか」を13種類で決めるルール。線引きとセットで押さえると混ざらない。
- 接道義務 ── 建物を建てる土地は道路に2m以上接していること。同じ建築都市計画の関連論点。
執筆: SikakuQuest編集部