TL;DR(30秒で結論)
- 確定拠出年金改正(2022年10月1日)は、会社の企業型DCに入っている人が、iDeCoにも入りやすくなった改正。
- これまで必要だった「企業型年金規約の定め」が不要になった。会社が認めていなくても、本人の意思で加入できる。
- 掛金は月5.5万円から、その月の事業主掛金を引いた残りまで。ただしiDeCo側の上限は月2万円。
- 企業型DCと確定給付型(DBなど)の両方に入っている人は、5.5万円→2.75万円、2万円→1.2万円になる。
- 条件が2つ。掛金が各月拠出であることと、マッチング拠出を使っていないこと。
確定拠出年金改正とは(全体像)
確定拠出年金には、会社が掛金を出す企業型DCと、自分で掛金を出すiDeCoがある。
改正前は、企業型DCに入っている人がiDeCoにも入るには、勤め先の企業型年金規約にその定めがあることが必要だった。規約に書かれていなければ、本人が望んでも入れなかった。
2022年10月1日の改正で、この規約の定めが不要になった。会社側の手続きを待たずに、本人の判断でiDeCoを始められる形に変わった。
とくに効くのは、事業主掛金が少ない人である。会社が出してくれる額が小さいほど、iDeCoで上乗せできる余地が大きくなる。
詳しく:掛金は「引き算」で決まる
この改正でいちばん問われるのが、掛金をいくら出せるかである。定額ではなく引き算で決まる。
確定拠出年金改正(2022年10月)のキホン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改正の時期 | 2022年10月1日から |
| 変わったところ | 企業型年金規約の定めが不要に |
| iDeCoの掛金 | 月5.5万円 − その月の事業主掛金(上限は月2万円) |
| 確定給付型にも入っている場合 | 月2.75万円 − 事業主掛金(上限は月1.2万円) |
| 条件① | 掛金が各月拠出であること |
| 条件② | 企業型DCのマッチング拠出を使っていないこと |
つまり、事業主掛金が月1万円の人なら「5.5万円−1万円=4.5万円」だが、iDeCo側の上限2万円が効くので、出せるのは2万円までとなる。一方、事業主掛金が月4.5万円の人なら「5.5万円−4.5万円=1万円」で、上限より少ない1万円が限度になる。
わかりやすく言い換えると
要するに、5.5万円という器を、会社と自分で分け合うしくみである。
会社が入れたぶんを引いた残りが自分の枠になる。ただし自分の枠には2万円という天井もあるので、「残り」と「2万円」の小さいほうが実際に出せる額になる。
会社が確定給付型の年金も持っている場合は、器そのものが2.75万円に縮み、天井も1.2万円に下がる。
試験のツボ
- 規約の定めが不要になったのが改正の中身。会社の同意が要るようになった、ではない。
- 掛金は引き算。5.5万円から事業主掛金を引く。
- iDeCo側の上限は2万円。引き算の結果が2万円を超えても、2万円までである。
- 確定給付型を併用していれば2.75万円と1.2万円に下がる。
- 条件は各月拠出であることと、マッチング拠出を使っていないこと。
よくある間違い
- 5.5万円をiDeCoの上限と覚える。5.5万円は事業主掛金と合わせた器で、iDeCo側の上限は2万円である。
- 2万円と5.5万円を逆にする。引く相手が5.5万円、天井が2万円である。
- マッチング拠出と併用できると覚える。マッチング拠出を使っている人は対象外で、どちらかを選ぶ形になる。
- 「事業主の同意が必要になった」と覚える。逆で、規約の定めが要らなくなった。
試験での出題パターン
オリジナル問題1(改正の中身)
2022年10月からの企業型DC加入者のiDeCo加入に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 企業型年金規約の定めがなくてもiDeCoに加入できるようになった
- 企業型年金規約に定めがある場合にかぎり加入できるままである
- 企業型DCの加入者はiDeCoに加入できないことに変わりはないのだ
- 企業型DCの加入者は事業主の同意があればiDeCoに加入できる
解答は 1 だよ。
2022年10月1日から、企業型年金規約の定めが不要になったよ。会社が規約に書いていなくても、本人の判断でiDeCoを始められるようになったんだ。
事業主の同意が新しく必要になったわけではないから、選択肢4も誤りだね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 規約の定めが不要になった |
| 2 | ✗ | 定めがなくても加入できる |
| 3 | ✗ | 加入できるようになった |
| 4 | ✗ | 事業主の同意は要件ではない |
オリジナル問題2(掛金の上限)
企業型DC加入者がiDeCoに拠出できる掛金に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- iDeCoの掛金は事業主掛金と合わせて月額2.0万円が上限である
- iDeCoの掛金は事業主掛金と関係なく月額5.5万円まで出せる
- 事業主掛金を5.5万円から引いた残りで、上限は月額2.0万円だ
- 事業主掛金を2.0万円から引いた残りで、上限は月額5.5万円だ
解答は 3 だっ。
月5.5万円から、その月の事業主掛金を引いた残りの範囲で出せるんだっ。ただしiDeCo側の上限は月2万円だから、引き算の結果が2万円を超えても2万円までだよっ。
つまり「引いた残り」と「2万円」の小さいほうが実際の限度になるんだっ。確定給付型にも入っている人は、2.75万円と1.2万円に下がるよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 合算の器は5.5万円 |
| 2 | ✗ | 事業主掛金を引く必要がある |
| 3 | ✓ | 5.5万円から引き、上限は2万円 |
| 4 | ✗ | 引く相手と天井が逆 |
オリジナル問題3(マッチング拠出との関係)
マッチング拠出とiDeCoの関係に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- マッチング拠出をしていてもiDeCoに同時に加入できるようになった
- マッチング拠出を利用している場合はiDeCoに加入できないとされる
- マッチング拠出を導入した企業の従業員はiDeCoに加入できなくなる
- マッチング拠出とiDeCoはどちらも利用しなければならなくなった
解答は 2 である。
マッチング拠出を利用していないことが、iDeCoに加入するための条件のひとつである。両方を同時に使うことはできないのである。
ただし、マッチング拠出を導入している会社の従業員が一律に加入できない、という意味ではない。その場合は、マッチング拠出を使うかiDeCoに入るかを本人が選べる。会社の制度の有無ではなく、本人が使っているかどうかで決まるのである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 同時には利用できない |
| 2 | ✓ | 利用していないことが条件 |
| 3 | ✗ | 導入企業でも本人が選べる |
| 4 | ✗ | 併用の義務は無い |
まとめ
押さえどころ
覚えるのは3点である。規約の定めが不要になったこと、掛金は5.5万円から事業主掛金を引いた残りで上限2万円であること、マッチング拠出との併用はできないこと。
数字は5.5万円と2万円の組み合わせで、確定給付型を併用していれば2.75万円と1.2万円に下がる。引く相手と天井を入れ替えた選択肢が出やすいので、役割で覚えておくとよい。
次に学ぶ
同じ2022年には、iDeCoに加入できる年齢が65歳未満に広がり、受け取りを始める時期の上限が75歳に延びた改正もある。こちらは「いつからいつまで使えるか」の話で、ここで見た「いくら出せるか」と対になる論点である。