渉外相続とは(全体像)
渉外相続は、相続関係に外国の要素が入るケース。たとえば日本人が海外に不動産を持っていたり、外国籍の人が日本に財産を残したりした場合だ。
このとき問題になるのは、どの国の法律で相続を処理するか。押さえるのは、相続は原則として亡くなった人の本国法が適用されること、そして遺言の方式は複数の法律から選べること。ここがFP2級で問われる。
詳しく:適用される法律のルール
ここが記事の心臓部。どの法律が使われるかを表で押さえる。
渉外相続で適用される法律
| 項目 | 適用される法律 |
|---|---|
| 相続そのもの | 原則として亡くなった人の本国法(国籍国の法律) |
| 遺言の方式 | 本国法・行為地法・住所地法などから選べる |
相続の中身(だれが相続人か、取り分など)は、原則として亡くなった人の本国法で決まる。日本に財産があっても、亡くなった人が外国籍なら、その国の法律が基準になるのが原則だ。
一方、遺言の方式(書き方)は、本国法・遺言を書いた場所の法律(行為地法)・住所地の法律などから、どれかに合っていればよい。選択肢が広いので、遺言が方式の不備で無効になりにくいよう配慮されている。なお実際の適用は事案で変わるので、受験する年度の最新の内容もあわせて確認しておこう。
わかりやすく言い換えると
つまり、渉外相続は「外国がからむ相続。中身は原則として亡くなった人の国籍の法律、遺言の書き方は複数の法律から選べる」とイメージするとラク。
要するに、相続そのものは本国法が原則、遺言の方式は選択肢が広い、と2点で押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:相続は本国法が原則
①相続の中身は原則として亡くなった人の本国法
②財産の所在地ではなく国籍の国の法律が基準
🔴 次に出る:遺言の方式は選べる
①本国法・行為地法・住所地法などから選べる
②選択肢が広く、無効になりにくい
🟡 押さえると安定:渉外相続の場面
①日本人が外国に財産を持つ場合
②外国人が日本に財産を持つ場合
よくある間違い
①「日本にある財産は必ず日本の法律で相続する」→ ✗ 相続は原則として亡くなった人の本国法。財産の所在地ではない。
②「遺言の方式は本国法でしか認められない」→ ✗ 本国法・行為地法・住所地法などから選べる。
③「渉外相続は外国人だけの問題」→ ✗ 日本人が外国に財産を持つ場合も渉外相続になる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(適用される法律)
渉外相続で相続そのものに適用される法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相続は、その財産が置かれている場所の国の法律で必ず処理されるものと決められている
- 相続は、原則として亡くなった人の本国法(国籍の国の法律)が適用されるものである
- 相続は、相続人の住んでいる国の法律で必ず処理されるものと決められている
- 相続は、世界共通の一つの法律で処理されるものと決められているものとされている
解答は 2 だ。
相続そのものは、原則として亡くなった人の本国法(国籍の国の法律)が適用される。財産がどこにあるかではなく、亡くなった人の国籍が基準だよ。
選択肢1の「財産の所在地」、選択肢3の「相続人の住む国」、選択肢4の「世界共通の法律」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 財産の所在地ではなく本国法が原則 |
| 2 | ✓ | 原則は亡くなった人の本国法で正しい |
| 3 | ✗ | 相続人の住む国ではない |
| 4 | ✗ | 世界共通の法律はない |
オリジナル問題2(遺言の方式)
渉外相続における遺言の方式に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺言の方式は、亡くなった人の本国法でしか認められないものと決められている
- 遺言の方式は、いっさいどの国の法律でも認められないものと決められているものとされる
- 遺言の方式は、相続人が選んだ国の法律だけに合わせる必要があるものとされている
- 遺言の方式は、本国法・行為地法・住所地法などのどれかに合っていればよいものである
解答は 4 だ。
遺言の方式は、本国法・行為地法・住所地法などのどれかに合っていればよい。選択肢が広いので、方式の不備で無効になりにくいよう配慮されているんだ。
選択肢1の「本国法だけ」、選択肢2の「どの法律も不可」、選択肢3の「相続人が選んだ国だけ」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 本国法以外でも認められる |
| 2 | ✗ | 複数の法律から選べる |
| 3 | ✗ | 相続人が選ぶのではない |
| 4 | ✓ | 本国法・行為地法・住所地法から選べるで正しい |
オリジナル問題3(渉外相続の場面)
渉外相続になる場面に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 日本人が外国に財産を持つ場合も、外国人が日本に財産を持つ場合も渉外相続になる
- 渉外相続は外国籍の人だけの問題で、日本人にはいっさい関係ないものとされている
- 渉外相続は、財産がすべて日本国内にある場合にだけ起こるものと決められている
- 渉外相続は、相続人が全員日本に住んでいる場合にだけ起こるものと決められている
解答は 1 だ。
渉外相続は、日本人が外国に財産を持つ場合も、外国人が日本に財産を持つ場合も起こる。外国の要素が入れば、日本人でも関係するよ。
選択肢2の「外国籍だけ」、選択肢3の「すべて日本国内」、選択肢4の「全員日本在住」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 日本人の海外財産・外国人の国内財産どちらもで正しい |
| 2 | ✗ | 日本人にも関係する |
| 3 | ✗ | 外国に財産がある場合などが対象 |
| 4 | ✗ | 外国の要素が入るかどうかで決まる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 相続そのものは原則として亡くなった人の本国法(国籍の国の法律)。財産の所在地ではない。
- 🔴 遺言の方式は本国法・行為地法・住所地法などから選べる(無効になりにくい)。
- 🟡 日本人が外国に財産を持つ場合も渉外相続になる(外国籍だけの問題ではない)。
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執筆: SikakuQuest編集部