労災保険(事業者の立場)とは(全体像)
労災保険は、働く人を守る公的な制度。仕事中や通勤中のケガ・病気が補償される。原則として、労働者は全員が強制的に加入する。
ここで事業者の立場から見ると、ポイントになるのが「社長や役員はどうなるか」。事業主は本来、労災保険の対象外。ただし、中小事業主などは特別加入制度で任意に加入できる。この強制加入と特別加入の違いがFP2級でよく問われる。
詳しく:強制加入と特別加入
ここが記事の心臓部。まず、立場による加入のちがい。
立場ごとの労災保険の扱い
| 立場 | 労災保険の扱い |
|---|---|
| 労働者 | 原則として全員が強制加入 |
| 中小事業主など | 本来は対象外だが、特別加入制度で任意に加入できる |
そして、もうひとつの備え。
上乗せの備え
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 国の労災保険 | 仕事・通勤によるケガ・病気を補償(土台) |
| 労災総合保険(民間) | 国の労災に上乗せする任意の保険 |
整理のコツは2つ。
①労働者は強制・事業主は特別加入。労働者は原則全員が強制加入。社長などの事業主は本来対象外だが、中小事業主などは特別加入制度で任意に加入できる。
②上乗せに労災総合保険。国の労災を土台に、さらに手厚くしたいときは、民間の労災総合保険で上乗せできる。
なお、加入の要件や範囲は改正で変わることがある。受験する年度の最新の内容もあわせて確認しておくとよい。
わかりやすく言い換えると
つまり事業者から見た労災保険は、「働く人は全員が強制で守られ、社長などは特別加入で仲間入りできる制度」だとイメージするとラク。
要するに、労働者は原則全員が強制加入。一方で社長などの事業主は本来対象外だが、中小事業主などは特別加入制度を使えば任意に加入できる。そして、国の労災だけでは足りないと感じたら、民間の労災総合保険で上乗せの備えもできる。
ひっかけは「事業主も自動で労災に入っている」という思い込み。事業主は特別加入が必要、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:労働者は強制・事業主は特別加入
①労働者は原則として全員が強制加入
②事業主は本来対象外だが、中小事業主などは特別加入できる
🔴 次に出る:上乗せの労災総合保険
①国の労災を土台にした民間の保険
②さらに手厚くしたいときの上乗せに使う
🟡 押さえると安定:補償の対象
①仕事中や通勤中のケガ・病気が対象
②働く人を守るための公的な制度
よくある間違い
①「社長などの事業主も自動で労災保険に加入している」→ ✗ 事業主は本来対象外。中小事業主などは特別加入制度で任意に加入する。
②「労働者は希望した人だけが労災保険に入る」→ ✗ 労働者は原則として全員が強制加入になる。
③「労災総合保険は国が運営する制度である」→ ✗ 労災総合保険は、国の労災に上乗せする民間の任意保険。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(労働者の加入)
労災保険の労働者の加入に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労働者は、本人が希望して申し込んだ場合だけ労災保険に加入できるものとされている
- 労働者は、労災保険にはいっさい加入できず、自分で別の保険に入るものと決められている
- 労働者は、原則として全員が労災保険に強制的に加入し、仕事や通勤による災害に備える
- 労働者は、勤続年数が一定を超えた人だけが労災保険に加入できるものとされている
解答は 3 だよ。
労働者は、原則として全員が強制的に加入し、仕事や通勤による災害に備えるんだ。希望した人だけ、ではないよ。
選択肢1は「希望した場合だけ」、選択肢2は「加入できない」、選択肢4は「勤続年数で決まる」で、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 原則全員が強制加入 |
| 2 | ✗ | 労働者は労災に加入する |
| 3 | ✓ | 原則全員が強制加入で正しい |
| 4 | ✗ | 勤続年数では決まらない |
オリジナル問題2(事業主の特別加入)
労災保険の特別加入に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 中小事業主などは本来対象外だが、特別加入制度を使えば労災保険に任意で加入できる
- 社長などの事業主は、労働者と同じく自動で労災保険に加入しているものとされている
- 事業主は、特別加入という制度を使ってもいっさい労災保険に加入できないものとされている
- 事業主は、特別加入をすると労働者の労災保険がかえって使えなくなるものとされている
解答は 1 だよ。
中小事業主などは本来対象外だけど、特別加入制度を使えば労災保険に任意で加入できるんだ。社長なども仲間入りできるよ。
選択肢2は「自動で加入」、選択肢3は「加入できない」、選択肢4は「労働者の労災が使えなくなる」で、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 特別加入で任意に加入でき正しい |
| 2 | ✗ | 事業主は本来対象外 |
| 3 | ✗ | 特別加入で加入できる |
| 4 | ✗ | 労働者の労災に影響しない |
オリジナル問題3(上乗せの保険)
労災総合保険に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労災総合保険は、国が運営する公的な制度そのものであると決められている
- 労災総合保険は、国の労災のかわりに入る制度で、国の労災には入れなくなるものとされている
- 労災総合保険は、保険料を払うだけで何も上乗せされない仕組みであるものとされている
- 労災総合保険は、国の労災保険に上乗せして手厚く備える、民間が扱う任意の保険である
解答は 4 だよ。
労災総合保険は、国の労災保険に上乗せして備える、民間の任意の保険なんだ。土台の国の労災に積み増しするイメージだよ。
選択肢1は「公的な制度そのもの」、選択肢2は「国の労災のかわり」、選択肢3は「何も上乗せされない」で、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 民間の任意保険 |
| 2 | ✗ | 上乗せであり代わりではない |
| 3 | ✗ | 上乗せの備えになる |
| 4 | ✓ | 国の労災に上乗せする民間保険で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 労働者は強制・事業主は特別加入。労働者は原則全員が強制加入。事業主は本来対象外だが特別加入できる。
- 🔴 上乗せの労災総合保険。国の労災を土台に、民間の任意保険で上乗せできる。
- 🟡 補償の対象。仕事中や通勤中のケガ・病気が対象になる。
次に学ぶ
- PL・施設賠償責任保険 ── 事業者向けの賠償保険。労災とあわせて事業のリスクへの備えを整理できる。
- 経営者保険 ── 経営者を支える保険。事業を続けるための備えという視点で横断して押さえられる。
執筆: SikakuQuest編集部