国際課税とは(全体像)
たとえば日本に住む人が外国の株から配当を受けると、外国でも日本でも税がかかり、同じ所得に二重で課税されてしまう。これを調整するのが国際課税のしくみ。
押さえるのは、3つの柱があること。国どうしのルールである租税条約、外国で払った税を取り戻す外国税額控除、そして外国企業を日本で課税する基準になるPE課税。ここがFP2級で問われる。
詳しく:3つの柱
ここが記事の心臓部。3つの用語を並べて押さえると整理しやすい。
国際課税の3つの柱
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 租税条約 | 国と国の間で二重課税を防ぐ条約(OECDモデルなどが土台) |
| 外国税額控除 | 外国で納めた税を、日本の税額から差し引く |
| PE課税 | 外国企業が日本に恒久的施設(支店など)を持つと、その所得に日本で課税 |
いちばん試験で問われるのが外国税額控除。外国で税を払い、日本でも同じ所得に税がかかるとき、外国で払った分を日本の税額から引いて、二重課税を取り除く。
そしてPE課税。「PE(恒久的施設)」とは、支店や工場など、事業の拠点のこと。外国企業でも、日本にPEがあれば、そこで生まれた所得には日本で税がかかる。逆に、PEがなければ日本で課税されないのが原則(「PEなければ課税なし」)。
なお、条約の内容や控除のしくみは国や改正で変わることがあるので、受験する年度の最新の内容もあわせて確認しておこう。
わかりやすく言い換えると
つまり、「国をまたぐと税が二重になりやすい。それを条約と外国税額控除で取り除き、外国企業は日本に拠点があれば課税する」とイメージするとラク。
要するに、国際課税の柱は3つ。租税条約(国どうしで二重課税を防ぐ)、外国税額控除(外国で払った税を日本の税額から引く)、PE課税(日本に恒久的施設がある外国企業に課税)。中心は、二重課税を取り除く外国税額控除、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:外国税額控除で二重課税を取り除く
①外国で納めた税を日本の税額から差し引く
②同じ所得への二重課税を調整する
🔴 次に出る:PE課税
①PE(恒久的施設)=支店・工場などの拠点
②日本にPEがあれば、その所得に日本で課税
🟡 押さえると安定:租税条約
①国と国の間で二重課税を防ぐ条約
②OECDモデルなどが土台になる
よくある間違い
①「外国で払った税は、日本では何も調整されない」→ ✗ 外国税額控除で、日本の税額から差し引ける。
②「外国企業は日本にいくら拠点があっても課税されない」→ ✗ 日本に恒久的施設(PE)があれば、その所得に日本で課税される。
③「租税条約は税を新たに増やすための条約だ」→ ✗ 租税条約は、二重課税を防ぐためのもの。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(租税条約)
租税条約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 租税条約は、外国との取引にあえて二重で課税し、税収を増やすための条約と決められている
- 租税条約は、国内だけで完結する税のルールで、外国とのやり取りには関係がないものとされる
- 租税条約は、国と国の間で結ばれ、同じ所得への二重課税を防ぐことを目的とした条約である
- 租税条約は、税とは関係なく、国どうしの貿易の数量だけを取り決める条約であるとされている
解答は 3 です。
租税条約は、国と国の間で、同じ所得への二重課税を防ぐことを目的とした条約なのよ。OECDモデルなどが土台になっているのね。
選択肢1は「あえて二重課税」、選択肢2は「国内だけ」、選択肢4は「貿易の数量」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 二重課税を防ぐのが目的 |
| 2 | ✗ | 外国とのやり取りが対象 |
| 3 | ✓ | 二重課税を防ぐ条約で正しい |
| 4 | ✗ | 税に関する条約 |
オリジナル問題2(外国税額控除)
外国税額控除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 外国税額控除は、外国で納めた税を日本の税額から差し引き、二重課税を取り除くしくみである
- 外国税額控除は、外国で税を払った人ほど、日本でさらに重く課税するためのしくみとされる
- 外国税額控除は、日本で納めた税を外国に納め直すしくみのことをさすものと決められている
- 外国税額控除は、外国に住んでいる人だけが使えるもので、日本に住む人は使えないものとされる
解答は 1 です。
外国税額控除は、外国で納めた税を日本の税額から差し引いて、二重課税を取り除くしくみなのよ。同じ所得に二重で税がかからないようにするのね。
選択肢2は「さらに重く課税」、選択肢3は「外国に納め直す」、選択肢4は「外国居住者だけ」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 外国で納めた税を差し引き正しい |
| 2 | ✗ | 二重課税を取り除くしくみ |
| 3 | ✗ | 日本の税額から差し引く |
| 4 | ✗ | 日本に住む人の二重課税を調整する |
オリジナル問題3(PE課税)
PE(恒久的施設)課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- PEとは個人の趣味の道具を指すことばで、税の世界とはいっさい関係のないものと決められている
- 外国企業は、日本に支店などの恒久的施設があれば、その所得について日本で課税されることになる
- 外国企業は、日本にどれだけ大きな支店を構えても、日本ではいっさい課税されないものとされる
- PE課税は、日本企業が国内で支店を増やしたときにだけ関係するものと決められている
解答は 2 です。
外国企業は、日本に支店などの恒久的施設(PE)があると、その所得について日本で課税されるのよ。「PEなければ課税なし」とセットで覚えてね。
選択肢1は「趣味の道具」、選択肢3は「いっさい課税されない」、選択肢4は「国内の支店だけ」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | PEは事業の拠点のこと |
| 2 | ✓ | 日本にPEがあれば課税され正しい |
| 3 | ✗ | PEがあれば日本で課税される |
| 4 | ✗ | 外国企業の日本での課税の話 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 外国税額控除。外国で納めた税を日本の税額から差し引き、二重課税を取り除く。
- 🔴 PE課税。外国企業は、日本に恒久的施設(支店など)があれば、その所得に日本で課税される。
- 🟡 租税条約。国と国の間で二重課税を防ぐ条約。OECDモデルなどが土台。
次に学ぶ
- 所得税の申告・納付(延納) ── 税の申告と納付の基本。国内の手続きとあわせて整理できる。
- 所得税の計算(速算表) ── 税額の計算。外国税額控除がどこで差し引かれるかを押さえられる。
執筆: SikakuQuest編集部