借主を守る請求権とは(全体像)
土地や建物を借りる人は、貸す側より立場が弱くなりやすい。そこで借地借家法は、契約が終わるときなどに借主が使える請求権を用意している。
押さえるのは、代表的な3つの請求権。造作買取請求権(付けた設備を買い取ってもらう)、建物買取請求権(借地の上の建物を買い取ってもらう)、敷金返還請求権(敷金の残りを返してもらう)。ここがFP2級で問われる。
詳しく:3つの請求権
ここが記事の心臓部。3つの請求権を並べて押さえると整理しやすい。
借主を守る3つの請求権
| 請求権 | 中身 |
|---|---|
| 造作買取請求権 | 大家の同意を得て付けた畳・建具などの造作を、契約終了時に時価で買い取ってもらう |
| 建物買取請求権 | 借地の上に建てた建物を、借地契約の終了時に地主へ時価で買い取ってもらう |
| 敷金返還請求権 | 退去時に、未払い分などを差し引いた敷金の残りを返してもらう |
ポイントは、何が対象かの違い。造作買取請求権は「畳・建具などの設備」、建物買取請求権は「借地の上の建物」、敷金返還請求権は「敷金の残り」。とくに造作と建物の取り違えに注意。
敷金は、未払いの家賃や原状回復の費用などを差し引いたうえで、残りが返ってくる。要件は改正で変わることがあるので、受験する年度の最新の内容もあわせて確認しておこう。
わかりやすく言い換えると
つまり、「借主は、①付けた設備(造作)、②借地の上の建物、③敷金の残り、を買い取って(返して)もらえる」とイメージするとラク。
要するに、借主を守る請求権は、造作買取請求権(畳・建具などを時価で)、建物買取請求権(借地上の建物を時価で)、敷金返還請求権(未払い分を引いた残りを返してもらう)の3つ、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:3つの請求権の対象
①造作買取請求権=畳・建具などの造作
②建物買取請求権=借地の上の建物
🔴 次に出る:敷金返還請求権
①退去時に敷金の残りを返してもらえる
②未払い分などを差し引いた残り
🟡 押さえると安定:造作と建物の取り違え注意
①造作は「付けた設備」、建物は「建てた家」
②時価で買い取ってもらう点は共通
よくある間違い
①「造作買取請求権は、借地の上の建物を買い取ってもらう権利だ」→ ✗ 建物を買い取ってもらうのは建物買取請求権。造作は畳・建具などの設備。
②「敷金は、未払いがあっても全額そのまま返ってくる」→ ✗ 未払い分などを差し引いた残りが返ってくる。
③「借主を守る請求権は1つもない」→ ✗ 造作買取・建物買取・敷金返還などの請求権がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(造作買取請求権)
造作買取請求権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 造作買取請求権は、借地の上に建てた建物を、地主に買い取ってもらう権利のことだとされている
- 造作買取請求権は、敷金の残りを返してもらうための権利だと決められているものとされる
- 造作買取請求権は、借主の権利とはいっさい関係のないものだと決められているものとされる
- 造作買取請求権は、大家の同意を得て付けた畳・建具などを、時価で買い取ってもらう権利である
解答は 4 だ。
造作買取請求権は、大家の同意を得て付けた畳・建具などの造作を、契約終了時に時価で買い取ってもらう権利だ。造作は「付けた設備」だぞ。
選択肢1の「借地上の建物」(これは建物買取請求権)、選択肢2の「敷金の残り」(これは敷金返還請求権)、選択肢3の「関係ない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 建物は建物買取請求権 |
| 2 | ✗ | 敷金は敷金返還請求権 |
| 3 | ✗ | 借主を守る権利の一つ |
| 4 | ✓ | 畳・建具などを時価で買い取りで正しい |
オリジナル問題2(建物買取請求権)
建物買取請求権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 建物買取請求権は、借地の上に建てた建物を、地主に時価で買い取ってもらえる権利となる
- 建物買取請求権は、畳や建具などの設備を買い取ってもらう権利だと決められている
- 建物買取請求権は、敷金の残りを返してもらうための権利だと決められているものとされる
- 建物買取請求権は、借主の権利とはまったく関係がないものと決められているものとされている
解答は 1 だ。
建物買取請求権は、借地の上に建てた建物を、借地契約の終了時に地主へ時価で買い取ってもらう権利だ。建物は「建てた家」だぞ。
選択肢2の「畳・建具」(これは造作買取請求権)、選択肢3の「敷金の残り」(これは敷金返還請求権)、選択肢4の「関係ない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 借地上の建物を時価で買い取りで正しい |
| 2 | ✗ | 畳・建具は造作買取請求権 |
| 3 | ✗ | 敷金は敷金返還請求権 |
| 4 | ✗ | 借主を守る権利の一つ |
オリジナル問題3(敷金返還請求権)
敷金返還請求権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 敷金は、未払いの家賃があっても、いつも必ず全額そのまま返ってくるものと決められている
- 敷金は、退去してもいっさい返ってこないものと法律で決められているものとされる
- 敷金は、退去時に未払いの家賃などを差し引いたうえで、その残りが返ってくるものである
- 敷金は、建物ではなく土地を借りたときにだけ預けるものと決められているものとされている
解答は 3 だ。
敷金は、退去時に未払い分などを差し引いたうえで、残りが返ってくるぞ。全額そのままではなく「残り」が返る、というのがポイントだ。
選択肢1の「いつも全額」、選択肢2の「いっさい返らない」、選択肢4の「土地のときだけ」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 未払い分は差し引かれる |
| 2 | ✗ | 残りは返ってくる |
| 3 | ✓ | 未払い分を引いた残りが返り正しい |
| 4 | ✗ | 建物の賃貸でも預ける |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 3つの請求権の対象。造作買取=畳・建具、建物買取=借地上の建物。
- 🔴 敷金返還請求権。退去時に未払い分などを差し引いた残りが返ってくる。
- 🟡 造作と建物の取り違え注意。造作は「付けた設備」、建物は「建てた家」。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部