事業承継税制とは(全体像)
会社(とくに中小企業)を後継者に引き継ぐとき、株式に多額の贈与税・相続税がかかると、納税のために会社の資金が必要になり、事業が続けにくくなる。これを助けるのが事業承継税制で、税の納付を猶予(先送り)してくれる。
押さえるのは、より手厚い特例措置があること。特例措置では対象株式の全額が猶予の対象になる。ただし、使うには計画の提出などの条件があり、適用には期限がある。ここがFP2級で問われる。
詳しく:特例措置のしくみと要件
ここが記事の心臓部。一般措置と特例措置を並べて押さえると整理しやすい。
事業承継税制(一般措置と特例措置)
| 一般措置 | 特例措置 | |
|---|---|---|
| 猶予の対象 | 株式の一部など | 対象株式の全額 |
| 計画の提出 | 不要 | 特例承継計画の提出が必要 |
| 雇用維持の要件 | 厳しい(一定の維持が必要) | 大きく緩和 |
| 適用の期限 | 期限の定めなし | 期限がある(受験年度で要確認) |
特例措置の柱は3つ。第一に、対象株式の全額が納税猶予の対象になること。第二に、使うには特例承継計画を提出していること。第三に、一般措置で厳しかった雇用維持の要件が緩和されたこと。
ただし、特例措置は期限つきの優遇。いつまでの贈与・相続が対象になるかは改正で動くため、受験する年度の最新の内容を必ず確認しておこう。
わかりやすく言い換えると
つまり、「会社を継ぐときの株の税金を、計画を出せば全額あと回しにできる特例。ただし期限つき」とイメージするとラク。
要するに、事業承継税制は、非上場株式にかかる贈与税・相続税の納税を猶予する制度。特例措置を使えば対象株式の全額が猶予の対象になり、雇用維持の要件も緩和されている。使うには特例承継計画の提出が必要で、適用には期限がある、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:特例措置は全額が猶予の対象
①特例措置では対象株式の全額が納税猶予の対象
②一般措置より手厚い
🔴 次に出る:特例承継計画の提出
①特例措置を使うには特例承継計画の提出が必要
②雇用維持の要件も大きく緩和された
🟡 押さえると安定:期限つき
①特例措置は適用に期限がある
②受験する年度の最新の内容を要確認
よくある間違い
①「事業承継税制は税を完全に免除する制度だ」→ ✗ 免除ではなく、まずは納税を猶予(先送り)する制度。
②「特例措置は計画を出さなくても使える」→ ✗ 特例措置には特例承継計画の提出が必要。
③「特例措置はいつまでも使える」→ ✗ 特例措置には期限がある(受験年度で要確認)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(特例措置の猶予範囲)
事業承継税制の特例措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 特例措置は、非上場株式の税の納付をいったん猶予するのではなく、最初から全額を免除する制度だ
- 特例措置を使うと、対象となる非上場株式にかかる税の全額が納税猶予の対象になるものとされる
- 特例措置は、上場している大企業の株式だけが対象で、中小企業の株式は対象外と決められている
- 特例措置は、後継者がいなくても、会社の株式さえあれば自動で適用されるものとされている
解答は 2 です。
特例措置を使うと、対象となる非上場株式にかかる税の全額が納税猶予の対象になるのよ。一般措置より手厚いのね。
選択肢1は「最初から全額免除」、選択肢3は「上場大企業だけ」、選択肢4は「後継者がいなくても自動」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 免除ではなく猶予 |
| 2 | ✓ | 全額が納税猶予の対象で正しい |
| 3 | ✗ | 対象は非上場株式 |
| 4 | ✗ | 後継者への承継が前提 |
オリジナル問題2(特例承継計画)
事業承継税制の特例措置を使うための手続きに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 特例措置は、何の手続きもいらず、株式を引き継いだだけで自動で適用されるものとされている
- 特例措置は、後継者が会社をすぐに売却することを条件に、はじめて使えるものと決められている
- 特例措置を使うには、特例承継計画をあらかじめ提出していることが要件となるものとされている
- 特例措置は、会社の規模が大きいほど有利になるよう、上場が条件になるものと決められている
解答は 3 です。
特例措置を使うには、特例承継計画を提出していることが要件になるのよ。計画を出すというひと手間が必要なのね。
選択肢1は「手続き不要で自動」、選択肢2は「すぐ売却が条件」、選択肢4は「上場が条件」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 計画の提出が必要 |
| 2 | ✗ | 売却が条件ではない |
| 3 | ✓ | 特例承継計画の提出が要件で正しい |
| 4 | ✗ | 対象は非上場株式 |
オリジナル問題3(雇用維持要件と期限)
事業承継税制の特例措置の特徴に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 特例措置では雇用維持の要件が大きく緩和されており、適用にはきちんと期限が設けられている
- 特例措置では雇用維持の要件がむしろ厳しくなり、期限もいっさいないものと正式に決められている
- 特例措置は、従業員を全員解雇することを条件にはじめて使える制度であると決められている
- 特例措置は、期限の定めがなく、いつ引き継いでも同じ条件で使えるものと決められている
解答は 1 です。
特例措置では雇用維持の要件が大きく緩和されていて、適用には期限が設けられているのよ。手厚いけれど期限つき、なのね。
選択肢2は「要件が厳しく・期限なし」、選択肢3は「全員解雇が条件」、選択肢4は「期限の定めなし」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 雇用維持要件は緩和・期限ありで正しい |
| 2 | ✗ | 要件は緩和されている |
| 3 | ✗ | 解雇が条件ではない |
| 4 | ✗ | 特例措置には期限がある |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 特例措置は全額が猶予の対象。非上場株式にかかる税の全額が納税猶予の対象(一般措置より手厚い)。
- 🔴 特例承継計画の提出。特例措置を使うには計画の提出が必要。雇用維持の要件も緩和。
- 🟡 期限つき。特例措置には適用の期限がある(受験年度で要確認)。免除ではなく猶予。
次に学ぶ
- 国税通則法(更正の請求・加算税) ── 税の手続きの共通ルール。納税猶予とあわせて手続きを整理できる。
- タックスプランニング実務 ── 法人化や承継を含む総合的な節税の考え方。事業承継の位置づけを押さえられる。
執筆: SikakuQuest編集部