遺族厚生年金とは(全体像)
遺族厚生年金は、会社員などで厚生年金に入っていた人が亡くなったときに、その家族の生活を支える年金。国民年金から出る遺族基礎年金とあわせて、遺族の暮らしを支える。
ポイントは、受けるための要件が2つのパターン(短期要件と長期要件)に分かれること、そして年金額の計算と加算。ここがFP2級でよく問われる。
詳しく:2類型と年金額
ここが記事の心臓部。まず、受けるための2つの要件。
遺族厚生年金の2類型
| 類型 | 中身 |
|---|---|
| 短期要件 | 厚生年金の加入中に亡くなった、初診日から5年以内に亡くなった など |
| 長期要件 | 保険料を納めた期間などが25年以上ある |
次に、年金額と加算。
年金額と加算
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 年金額 | 亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3 |
| 中高齢寡婦加算 | 40歳以上65歳未満の妻に上乗せされる加算 |
整理のコツは2つ。
①要件は短期と長期の2類型。「全部が短期要件」ではない。加入中の死亡などは短期、25年以上の納付は長期。
②年金額は報酬比例の4分の3。そして、40歳以上65歳未満の妻には中高齢寡婦加算が上乗せされる。
なお、要件や加算の扱いは改正で変わることがある。受験する年度の最新の基準もあわせて確認しておくとよい。
わかりやすく言い換えると
つまり遺族厚生年金は、「厚生年金に入っていた人が亡くなったとき、残された家族に出る年金」だとイメージするとラク。
要するに、受けられるかどうかは2つのパターンで決まる。短期要件は「亡くなったときの状況」(加入中の死亡や初診から5年以内の死亡など)、長期要件は「これまでにどれだけ納めたか」(25年以上)。
そして金額は、亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3。さらに40歳以上65歳未満の妻には中高齢寡婦加算が乗る、と覚えよう。
試験のツボ
🔴 一番出る:要件は2類型
①短期要件=厚生年金加入中の死亡、初診日から5年以内の死亡など
②長期要件=保険料を納めた期間などが25年以上
🔴 次に出る:年金額は報酬比例の4分の3
①亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3
②全部が短期要件というわけではない
🟡 押さえると安定:中高齢寡婦加算
①40歳以上65歳未満の妻に上乗せされる
②遺族の暮らしを支える加算
よくある間違い
①「遺族厚生年金の要件はすべて短期要件」→ ✗ 短期要件と長期要件の2類型がある。
②「年金額は報酬比例部分の全額」→ ✗ 報酬比例部分の4分の3。
③「中高齢寡婦加算は何歳の妻にも付く」→ ✗ 40歳以上65歳未満の妻に上乗せされる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(要件の類型)
遺族厚生年金を受けるための要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺族厚生年金の要件はすべて短期要件だけで、長期要件という考え方はいっさいないものとされている
- 遺族厚生年金の要件は、保険料を一度も納めていない場合に限り認められるものとされている
- 遺族厚生年金の要件には、加入中の死亡などの短期要件と、25年以上納付の長期要件の2類型がある
- 遺族厚生年金は要件がいっさいなく、誰が亡くなっても遺族が必ず受け取れるものとされている
解答は 3 だっ。
遺族厚生年金の要件には、加入中の死亡などの短期要件と、25年以上納付の長期要件の2類型があるよっ。
選択肢1は「すべて短期」、選択肢2は「一度も納めていない場合」、選択肢4は「要件がない」で、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 長期要件もある |
| 2 | ✗ | 納付の有無は逆の考え方 |
| 3 | ✓ | 短期要件と長期要件の2類型で正しい |
| 4 | ✗ | 受けるための要件がある |
オリジナル問題2(年金額)
遺族厚生年金の年金額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺族厚生年金の額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の全額がそのまま支給されるとされる
- 遺族厚生年金の額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3といった割合で計算される
- 遺族厚生年金の額は、亡くなった人の収入にいっさい関係なく、全員が同じ定額になるものとされている
- 遺族厚生年金の額は、報酬比例部分の10分の1だけが支給される仕組みになっているものとされている
解答は 2 だよっ。
遺族厚生年金の額は、亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3として計算されるよっ。
選択肢1は「全額」、選択肢3は「全員同じ定額」、選択肢4は「10分の1」で、いずれも誤りだよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 全額ではなく4分の3 |
| 2 | ✓ | 報酬比例部分の4分の3で正しい |
| 3 | ✗ | 報酬に応じて額が変わる |
| 4 | ✗ | 10分の1ではない |
オリジナル問題3(中高齢寡婦加算)
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 中高齢寡婦加算は20歳未満の妻にだけ上乗せされる加算であると法律で定められているものとされる
- 中高齢寡婦加算は妻の年齢にいっさい関係なく、すべての妻に同じように上乗せされるものとされている
- 中高齢寡婦加算は80歳以上の妻にだけ上乗せされる加算であると決められているものとされている
- 中高齢寡婦加算は、40歳以上65歳未満の妻に上乗せされる加算で、遺族の暮らしを支えるものである
解答は 4 だっ。
中高齢寡婦加算は、40歳以上65歳未満の妻に上乗せされる加算だよっ。遺族の暮らしを支えるためのものだっ。
選択肢1は「20歳未満」、選択肢2は「年齢に関係なく」、選択肢3は「80歳以上」で、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 20歳未満ではない |
| 2 | ✗ | 年齢の条件がある |
| 3 | ✗ | 80歳以上ではない |
| 4 | ✓ | 40歳以上65歳未満の妻で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 要件は短期と長期の2類型。加入中の死亡などは短期、25年以上の納付は長期。
- 🔴 年金額は報酬比例の4分の3。亡くなった人の老齢厚生年金をもとに計算する。
- 🟡 中高齢寡婦加算は40歳以上65歳未満の妻に上乗せされる。
次に学ぶ
- 遺族年金 ── FP3級で学ぶ遺族年金の土台。遺族基礎年金とあわせた全体像をおさらいすると整理できる。
- 障害年金の等級 ── 同じく万一に備える年金のしくみ。障害・遺族の給付をセットで押さえると理解が深まる。
執筆: SikakuQuest編集部