専任の宅建士とは?宅建業法31条の3が定める必置義務

公開: 更新: カテゴリ: 宅建業法

30秒で結論

専任の宅建士とは何か(本質)

条文の趣旨

宅建業法31条の3が定める、業者の事務所等への宅建士必置義務。

業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、業務に従事する者の数に対する一定割合以上の成年者である専任の宅建士を置かなければならない。事務所の業務品質を 専任の専門家配置 によって担保する制度だ。

専任の宅建士の趣旨は 取引品質の担保。宅建業の事務所では多くの取引が同時並行で進行するが、専門家不在の事務所では適切な重要事項説明や契約書面交付が機能しなくなる。事務所単位の必置義務 で、消費者保護と取引秩序を維持する設計だ。

宅地建物取引士 は 個人資格者 を指す概念。本論点は 業者規制の側面 で、業者がその事務所に専任宅建士を配置する義務を扱う。両者は別概念で、宅建士が事務所に配置されることで初めて専任宅建士となる。

わかりやすく言い換えると

要するに「不動産会社の事務所には、業務をしている人5人につき1人以上、専任の宅建士がいなくちゃダメ」という制度。事務所の規模に応じて必要な人数が決まり、規模拡大には専任宅建士の追加配置が必要になる。

実務では、宅地建物取引業者 が新規開業する際、最初に専任宅建士の人員確保が課題になる。事務所5人なら1人、10人なら2人、20人なら4人と必要数が増える。専任要件(常勤+専属)が厳格なため、兼業者や非常勤者は専任宅建士になれない。

試験での位置付け

専任の宅建士は宅建本試験の宅建業法ブロック(20問中)でほぼ毎年出題される最頻出論点。問題文では「5人に1人比率」「専任要件」「案内所等への配置」「違反時の2週間ルール」がピンポイントで問われる。

宅地建物取引業者 ・ 免許権者 ・ 営業保証金 と並ぶ業者規制の中核論点。本論点を押さえれば、業者免許制度の入口クラスタが完成する。


なぜ重要か

過去5年の出題傾向

専任の宅建士の出題パターンは3つに集約される。

3パターンとも事例形式。条文番号レベルの正確性が問われる場合もある。

押さえるとどう効くか

宅建業法は20問。専任の宅建士は業者規制の中核論点で、ここを押さえれば派生論点(重要事項説明・35条書面・37条書面 )の理解も連鎖的に進む。

業者規制クラスタの中で、専任の宅建士は 数値が明確で覚えやすい論点。5・1・2週間という3つの数値を正確に押さえれば、確実な得点源になる。

関連論点との接続

専任の宅建士は宅建業法の中核論点と複数つながる。

「業者免許→事務所設置→専任宅建士配置→業務開始」という流れの 第3段階 が専任の宅建士だ。

出題形式のパターン

形式は3つに大別される。第一に 正誤判定の四肢択一で、5人に1人比率や専任要件を問う。第二に 事例の組み合わせ判定で、事務所の業務従事者数から必要な専任宅建士数を計算する設問。第三に 案内所等への配置で、必置の場所と人数が論点になる。

形式は変わっても核心は同じ。「比率(5人に1人)」「専任要件(常勤+専属)」「違反時2週間ルール」の3軸で機械的に判定できる。


詳細解説

専任の宅建士は、3軸での分解 が解きやすい。第1軸「必置義務の比率」、第2軸「専任要件の2つ」、第3軸「違反時の対応」。3軸を順に押さえれば、専任の宅建士関連の事例問題は機械的に解ける。

ポイント1: 必置義務の比率 ─ 「5人に1人以上」

専任の宅建士の必置比率は 業務従事者の5人に1人以上(業法31条の3、施行規則15条の5の3)。

必置義務の比率

業務従事者数必要な専任宅建士数
1〜5人1人以上
6〜10人2人以上
11〜15人3人以上
16〜20人4人以上
21〜25人5人以上

5人に1人以上」が要点。たとえば業務従事者が13人なら、5人に1人計算で2.6人 → 切り上げて 3人以上 の専任宅建士が必要になる。1未満は1人で足りる。

業務従事者の範囲には 代表者・役員・営業職員・事務職員等 が含まれる。受付・清掃等の付随業務のみの者は除外される場合があるが、原則として 継続的に業務に関与する全員 がカウント対象だ。

業者の 複数事務所 がある場合、事務所単位で比率を満たす必要がある。本店30人で6人配置・支店10人で2人配置なら全社で8人の専任宅建士が必要。1事務所だけ満たしても、別事務所で不足すれば違反になる。

ポイント2: 専任要件の2つ ─ 「常勤+専属」

専任宅建士になるには 2つの専任要件 を満たす必要がある。

専任要件の2つ

常勤要件当該事務所に常時勤務すること(フルタイム勤務)
専属要件宅建業に専属すること(他業の兼業原則禁止)
除外類型非常勤・他業兼業・業務委託のみは専任になれない
例外業務時間内に他業を行わない場合等は柔軟運用される場合あり

常勤要件 は当該事務所への フルタイム勤務。複数事務所の兼任、リモートワーク主体、出張中心の勤務形態は原則として常勤要件を満たさない。

専属要件 は宅建業への 専属性。他業(小売・飲食等の異業種)の兼業は原則禁止。同じ業者内の役員業務との兼任は許容されるが、外部企業の正社員と兼業する形態は不可。

両要件は AND判定。常勤でも専属でなければ、または専属でも常勤でなければ、専任宅建士になれない。

ポイント3: 違反時の対応 ─ 「2週間以内ルール」

比率を満たさなくなった場合、業者は 2週間以内 に必要な措置を取る義務がある(業法31条の3第3項)。

違反時の対応フロー

比率不足発生退職・配置転換等で比率を割り込む
2週間以内採用・配置転換等で必要数を確保
措置完了比率回復で適法状態
措置不履行業法違反として業務停止処分 等の監督処分対象

2週間以内」が要点。退職・休職等で専任宅建士が不足したら、2週間以内に新規採用や他事務所からの配置転換で比率を回復する必要がある。

不足解消の手段は 採用・配置転換・既存社員の宅建士登録 等。業者は柔軟な対応で比率を維持する責務がある。違反継続は監督処分の対象で、業務停止処分等が想定される。

案内所等への配置 ─ 「1人以上」

事務所だけでなく、案内所等 にも専任宅建士の配置義務がある(施行規則15条の5の2)。対象となる案内所等は 一団地分譲の現地案内所・共同販売の案内所・催事会場の販売所 の3類型で、いずれも 規模に関係なく1人以上 の専任宅建士配置が必要だ。これは事務所の5人に1人比率とは別の規定で、たとえば現地案内所で業務従事者が10人いても、専任宅建士は1人で足りる。

設置時には 業務開始10日前まで に免許権者へ届出が必要。届出には案内所の所在地・期間・専任宅建士の氏名等を記載する。届出を怠れば違反として監督処分の対象になる。事務所と案内所等は規制の枠組みが異なるため、設置時の手続も別系統で運用される構造だ。

専任の宅建士の総まとめ

ここまでの要素を整理する。第1に必置義務の比率(事務所5人に1人以上、案内所等は規模問わず1人以上)、第2に専任要件の2つ(常勤+専属、両要件AND判定)、第3に違反時の対応(2週間以内に措置、違反継続は監督処分)。3軸を順に当てはめれば、専任の宅建士関連の事例問題は機械的に解ける。


よくある間違い・注意点

間違いパターン1: 「事務所10人なら専任宅建士1人で足りる」

これは大間違い。事務所5人に1人比率で計算する。10人なら2人以上必要。「事務所1つにつき1人」と覚えると、規模拡大事例で揺らぐ。

間違いパターン2: 「専任要件は常勤要件のみ」

これも誤り。専任要件は常勤+専属の両方が要件(AND判定)。常勤でも他業兼業者は専任になれない。「常勤のみ」と覚えると、兼業事例で揺らぐ。

専任要件は 常勤要件+専属要件のAND判定。「常勤=フルタイム勤務、専属=宅建業に専従」の両方が必要。一方だけでは専任宅建士になれない。

間違いパターン3: 「比率不足は1か月以内に解消すれば足りる」

これも誤り。2週間以内に措置を取る義務がある(業法31条の3第3項)。1か月や30日以内と覚えると、期間判定で揺らぐ。

似た用語との違い

宅地建物取引士 は 個人資格者 で、本論点は 業者規制側の必置義務。両者は別概念で、宅建士が事務所に配置されることで初めて専任宅建士となる。

重要事項説明 の説明者は宅建士であれば足り、専任要件は不要。同様に35条書面 ・ 37条書面 の記名も専任要件不要。「専任宅建士でなければ説明できない」と覚えると、説明者要件の事例で揺らぐ。

欠格事由 は業者免許の拒否事由で、本論点とは適用される段階が異なる別制度。両者は業者規制の中で異なる位置を占める。


試験での出題パターン

完全自作のオリジナル問題で確認する。過去問そのままではない。

オリジナル問題1(基本論点)

📝 オリジナル問題 1 基本論点

専任の宅建士に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 業者の事務所には、業務従事者の数に関わらず1人以上の専任宅建士を置けば足りるの構造
  2. 業者の事務所には、業務従事者5人に1人以上の専任宅建士を置く必要があるという決まりとなる
  3. 専任宅建士は、当該事務所に常勤していれば、他業の兼業も認められるという枠組みが法定
  4. 業者の事務所で専任宅建士の比率を満たさなくなった場合、3か月以内に措置を取る必要がある
ビズマスター
ビズマスター 解答・解説

解答は 2 である。

専任の宅建士の基本要件を問う問題なのだ。

選択肢判定理由
1❌ 誤り5人に1人比率で計算するのである。1人で足りるのは業務従事者5人以下の場合のみだ
2⭕ 正しい業法31条の3の正確な比率なのだ
3❌ 誤り専任要件は 常勤+専属の両方が必要。他業兼業は専属要件違反である
4❌ 誤り違反時の対応期限は 2週間以内だ。3か月ではないのである

専任の宅建士は 「5人に1人+常勤+専属+2週間以内」 が4要素。数値の正確性が要点なのだ!

オリジナル問題2(応用論点)

📝 オリジナル問題 2 応用論点

専任の宅建士の必置数に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 業務従事者が15人の事務所には、最低3人の専任宅建士が必要である
  2. 業務従事者が20人の事務所には、最低3人の専任宅建士が必要である
  3. 業務従事者が25人の事務所には、最低4人の専任宅建士が必要である
  4. 業務従事者が30人の事務所には、最低5人の専任宅建士が必要である
セツドラ
セツドラ 解答・解説

解答は 1 なのじゃ。

5人に1人比率の数値計算を問う応用論点じゃ。

選択肢判定理由
1⭕ 正しい15÷5=3、最低3人で正解じゃ
2❌ 誤り20÷5=4人が正解。3人ではないのじゃぞ
3❌ 誤り25÷5=5人が正解。4人ではないのじゃ
4❌ 誤り30÷5=6人が正解。5人ではないのじゃ

業務従事者数を5で割って 切り上げ で必置数が決まる。基本的な割り算で確実に判定できるのじゃ!

オリジナル問題3(特殊論点:案内所等への配置)

📝 オリジナル問題 3 特殊論点:案内所等への配置

案内所等への専任宅建士の配置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 案内所等には、業務従事者5人に1人以上の比率で専任宅建士を配置する必要がある扱い
  2. 案内所等には、業務従事者の数に関わらず1人以上の専任宅建士を配置する必要がある
  3. 案内所等の設置は、業務開始日と同時に免許権者へ届出を行えば足りるとなる扱い
  4. 一団地分譲の現地案内所には、専任宅建士の配置義務はないという構造として運用
ライゴブ
ライゴブ 解答・解説

解答は 2 だっぴ!

案内所等への配置の特例を問う論点なんだぴ。

選択肢判定理由
1❌ 誤り案内所等は 規模問わず1人以上っぴ。事務所の5人に1人とは違うルールだぴ
2⭕ 正しい施行規則15条の5の2の正確な内容っぴ
3❌ 誤り案内所等の設置届出は 業務開始10日前までっぴ。同時届出ではないんだぴ
4❌ 誤り一団地分譲の現地案内所も 配置義務ありっぴ。代表的な対象案内所なんだぴ

事務所と案内所等は 必置数のルールが違うっぴ。事務所=5人に1人、案内所等=規模問わず1人以上、で覚えるんだぴよ!


まとめ

専任の宅建士は業者規制の中核論点。比率・専任要件・違反時対応の3軸を押さえれば、専任宅建士関連の事例問題は機械的に解ける。

押さえどころ3つ

  1. 必置義務の比率: 事務所は業務従事者5人に1人以上、案内所等は規模問わず1人以上
  2. 専任要件の2つ: 常勤要件(フルタイム)+専属要件(宅建業に専属)。両要件AND判定
  3. 違反時の対応: 2週間以内に必要措置。違反継続は業務停止処分 等の監督処分対象

次に学ぶべき関連用語

専任の宅建士をマスターしたら、次の論点に進むのが効率的だ。宅地建物取引士 で個人資格者の制度を再確認し、宅地建物取引業者 で必置義務を負う業者の地位を整理する。次に重要事項説明 ・ 35条書面 ・ 37条書面 で専任要件不要の業務範囲を統合すれば、業者規制クラスタが完成する。

論点を1つずつ積み上げれば、必ず景色は変わる。専任の宅建士は業者規制クラスタの中核。ここを越えれば、業者規制全体の論点群が順に攻略可能になる。

学習の進め方の目安

専任の宅建士を完全に覚えたかをセルフチェックする方法。次の3つの問いに即答できれば合格レベル。「事務所と案内所等の必置義務の違いを述べられるか」「専任要件の2つを説明できるか」「違反時の2週間ルールを述べられるか」。即答できなければ、もう一度この記事の該当セクションに戻ればいい。重要論点ほど、繰り返した分だけ得点が伸びる。


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