800万円以下の特例とは何か(本質)
この特例は 令和6年(2024年)7月1日施行の報酬告示改正 で内容が拡大された。改正前は「代金400万円以下・上限18万円(税抜)・売主側からの媒介のみ」だったが、改正後は 「代金800万円以下・上限30万円(税抜=税込33万円)・売主買主双方から受ける報酬」 が対象になった。宅建試験の出題根拠法令は 受験年度の4月1日時点で施行されている法令。令和7年度(2025年)以降の受験では改正後(800万円・33万円・買主側も)が出題基準だ。
低廉な空家等(代金が800万円以下の宅地・建物)の売買又は交換の媒介について宅地建物取引業者が依頼者から受けることのできる報酬の額は、通常の報酬の額に当該媒介に要する費用を勘案した額を加えた額とする。ただし、その合計額は30万円の1.1倍に相当する額(税込33万円)を超えてはならない。これが800万円以下の特例の核心。低廉物件の流通促進と業者負担の調整 が制度の中心目的だ。低廉物件は通常報酬が少額になりすぎて媒介に手間が割けないため、当該媒介に要する費用の加算を認めて流通を促進する仕組みになっている。
条文の趣旨
国土交通省告示が定める 報酬計算特例。低廉な空家等(代金800万円以下、税抜)の売買・交換の媒介で、当該媒介に要する費用を勘案した額の加算を認めて報酬上限を緩和する制度だ。
特例の趣旨は 空き家等の流通促進と業者負担調整。低廉物件は通常報酬計算では業者の収益が薄く媒介に消極的になりがちなため、適正な費用負担を認めて流通促進を図る設計だ。
令和6年7月1日の改正で、対象が400万円以下から 800万円以下 に拡大され、上限も18万円から 30万円(税抜) に引き上げられた。さらに、改正前は売主側からの媒介に限られていたが、改正後は 売主・買主の双方(依頼者)から受ける報酬 が特例の対象になった。
わかりやすく言い換えると
要するに「安い空き家を売り買いする時、媒介業者は普通より少し多く報酬をもらえる」という制度。具体的には、500万円の空き家を媒介する場合、通常報酬に加えて当該媒介に要する費用を勘案した額を上乗せでき、合計で税込33万円(30万円+消費税)まで受け取れる。
実務では、地方の空き家・古家付き土地等の媒介で活用される。空き家流通促進+業者負担調整の重要な制度として位置付けられる。
試験での位置付け
800万円以下の特例は宅建本試験の業法ブロックで 頻出論点。問題文では「適用要件」「上限報酬(税込33万円)」「売主・買主双方が対象である点」がピンポイントで問われる。報酬制度+空き家流通促進の交差論点として位置付けられる。
業法20問のうち、報酬論点は2-3問。本特例は報酬論点の中で特殊事例として安定した出題頻度を維持する。
なぜ重要か
過去5年の出題傾向
過去5年で、低廉な空家等の特例関連は本試験で 2-3問 出題されている。特に「適用要件」と「上限額」は頻出論点。改正後は「800万円への対象拡大」「税込33万円への引上げ」「買主側も対象になった点」が事例形式で問われる。
業法ブロックの中で、本特例論点は 報酬計算+空き家流通促進論点 が中心。両論点を組み合わせて押さえる訓練が得点につながる。
押さえるとどう効くか
800万円以下の特例を体系的に押さえれば、報酬クラスタが安定理解できる。代理報酬・媒介報酬・特例報酬と並んで、業法の中核論点であり、これらを押さえれば事例問題は機械的に解ける。
業法20問のうち、報酬論点は2-3問。本論点を押さえれば派生論点(代理報酬・媒介報酬・低廉な空家等)の理解も連鎖的に進む。
関連論点との接続
800万円以下の特例は業法の中核論点と複数つながる。
「低廉物件の媒介依頼 → 依頼者への説明と合意 → 当該媒介に要する費用の見積り → 通常報酬+費用を勘案した額 → 税込33万円以内で報酬請求」という流れの 特例適用段階 が800万円以下の特例だ。
出題形式のパターン
形式は3つに大別される。第一に 正誤判定の四肢択一で、適用要件を問う。第二に 事例の組み合わせ判定で、具体的事案で報酬額を計算する設問。第三に 特殊事例で、改正後の対象拡大や上限額が論点になる。
形式は変わっても核心は同じ。「800万円以下の代金」「売主・買主双方が対象」「上限税込33万円」の3軸で機械的に判定できる。
詳細解説
800万円以下の特例は、3軸での分解 が解きやすい。第1軸「適用要件」、第2軸「上限報酬(税込33万円)」、第3軸「費用を勘案した額の加算ルール」。3軸を順に押さえれば、関連の事例問題は機械的に解ける。
ポイント1: 第1軸 ─ 「適用要件」
800万円以下の特例の適用要件は 3つ。
適用要件3つ
| # | 要件 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 代金要件 | 売買・交換代金800万円以下(税抜)の低廉な空家等 |
| ② | 対象報酬 | 依頼者(売主・買主)から受ける媒介報酬 |
| ③ | 説明と合意 | あらかじめ依頼者に説明し合意を得ること |
①代金要件: 売買・交換の代金が800万円以下(消費税等相当額を含まない)の低廉な空家等が対象。空き家・古家付き土地等が典型例。
②対象報酬: 改正後は 売主・買主のいずれの依頼者から受ける報酬 も対象。改正前の「売主側からの媒介のみ」という限定は撤廃された。
③説明と合意: 費用を勘案した額を加算するには、あらかじめ依頼者に対して報酬額について説明し、合意を得ておく必要がある。
3要件を満たさない場合、特例は適用されず通常の媒介報酬計算が適用される。
ポイント2: 第2軸 ─ 「上限報酬(税込33万円)」
特例の 上限報酬は30万円(税抜)+消費税=税込33万円。
上限報酬の計算
上限税込33万円: 特例適用時の報酬上限は30万円(税抜)で、消費税(現行10%)を加えると税込33万円。これを超える報酬は受領不可。
算定方法: 通常の媒介報酬+当該媒介に要する費用を勘案した額の合計が報酬額。ただし合計が税込33万円(30万円+消費税)を超えてはならない。
改正前との差: 改正前は上限18万円(税抜)・対象400万円以下だった。令和6年7月改正で上限30万円(税抜)・対象800万円以下に引き上げられた。
ポイント3: 第3軸 ─ 「費用を勘案した額の加算ルール」
当該媒介に要する費用の勘案は 特例の特徴的要素。
加算可能: 通常の媒介報酬に、当該媒介に要する費用を勘案した額を加算可能。 文言: 改正後の告示文言は「当該媒介に要する費用を勘案して」(改正前は「現地調査等に要する費用に相当する額」)。 説明と合意: 加算は依頼者へのあらかじめの説明と合意が前提。 上限: 加算しても合計が税込33万円(30万円+消費税)を超えてはならない。
加算可能: 通常の媒介報酬計算に加えて、当該媒介に要する費用を勘案した額を加算できる。これが特例の最大の特徴だ。
文言の変化: 改正前は「現地調査等に要する費用に相当する額」という文言だったが、改正後は 「当該媒介に要する費用を勘案して」 に改められた。
説明と合意: 加算には依頼者へのあらかじめの説明と合意が必要。
上限制限: 加算しても合計が税込33万円を超えてはならない。
ポイント4: 計算例
具体的計算例で 特例の効果を確認。通常の媒介報酬(税抜)の速算は、代金200万円以下は5%、200万円超400万円以下は4%+2万円、400万円超は3%+6万円だ。
計算例(いずれも税抜→上限は税込33万円)
代金200万円: 通常報酬10万円(税抜)+費用を勘案した額(最大20万円まで)=上限30万円(税抜)・税込33万円。
代金500万円: 通常報酬21万円(税抜)+費用を勘案した額(最大9万円まで)=上限30万円(税抜)・税込33万円。
代金800万円: 通常報酬30万円(税抜)。既に上限なので費用加算余地なし。
代金が低いほど特例による加算効果が大きく、低廉物件流通促進の趣旨に合致する設計だ。
800万円以下の特例の総まとめ
ここまでの要素を整理する。第1軸(適用要件: 代金800万円以下・売主買主双方の依頼者・説明と合意)、第2軸(上限30万円税抜=税込33万円)、第3軸(当該媒介に要する費用を勘案した額の加算ルール: 説明合意+上限内)、計算例(低代金ほど加算効果大)。これらを順に当てはめれば、関連の事例問題は機械的に解ける。
実務での典型シーンは、地方の空き家媒介・古家付き土地媒介・低廉物件の流通促進等。これらはいずれも800万円以下の特例で報酬計算が処理される。論点ごとに3軸を機械的に判定する習慣が、本試験での得点につながる設計だ。
よくある間違い・注意点
間違いパターン1: 「対象は代金400万円以下」
これは改正前の情報。令和6年7月改正で対象は800万円以下(税抜)に拡大。受験年度が令和7年度以降なら800万円が出題基準だ。
間違いパターン2: 「上限は18万円(税抜)」
これも改正前の情報。改正後の上限は30万円(税抜)+消費税=税込33万円。18万円は改正前の上限なので注意。
間違いパターン3: 「買主側からの媒介には特例適用不可」
これも誤り。改正後は売主・買主の双方(依頼者)から受ける報酬が対象。改正前の「売主側のみ」という限定は撤廃された。
似た用語との違い
通常の媒介報酬は 代金×料率の標準計算(報酬告示)、本論点(800万円以下の特例)は その特例形式(費用を勘案した額の加算+上限税込33万円)。両者は包含関係にある。
代理報酬は 代理形式での報酬(媒介の2倍が原則上限)、本論点(媒介の特例)は 媒介形式の特例。両者は契約形式で異なる別制度だ。
試験での出題パターン
完全自作のオリジナル問題で確認する。過去問そのままではない。
オリジナル問題1(基本論点)
低廉な空家等の媒介特例(800万円以下の特例・改正後)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 対象は代金500万円以下の物件であるという枠組みが法定されている
- 対象は代金800万円以下(税抜)の低廉な空家等の売買・交換の媒介である
- 改正後も売主側からの媒介に限り適用されるという構造として運用される
- 依頼者への説明や合意がなくても費用を加算できるという扱いになっている
解答は 2 だ!
改正後の適用範囲を問う問題なのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ❌ 誤り | 対象は800万円以下、500万円ではないのだ |
| 2 | ⭕ 正しい | 改正後の正確な対象範囲なのだ |
| 3 | ❌ 誤り | 売主・買主双方が対象、売主のみは改正前なのだ |
| 4 | ❌ 誤り | 説明と合意が前提、なしの加算は不可なのだ |
800万円以下の特例は 「800万円以下+売主買主双方+説明合意」、これが核心なのだ!
オリジナル問題2(応用論点・上限)
低廉な空家等の媒介特例(改正後)の上限報酬に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 上限報酬は30万円(税抜)+消費税で、税込では33万円である
- 通常報酬と費用を勘案した額の合計が上限を超えてはならない
- 上限報酬は改正後も18万円(税抜)のまま据え置かれている
- 消費税10%のとき、税込の上限額は33万円という扱いになる
解答ハ 3 デアル。
上限報酬ヲ問ウ応用論点ナリ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ⭕ 正シイ | 30万円(税抜)+消費税=税込33万円ノ告示通リナリ |
| 2 | ⭕ 正シイ | 通常報酬+費用ヲ勘案シタ額ノ合計ガ上限制約ナリ |
| 3 | ❌ 誤リ | 改正後ハ30万円(税抜)、18万円ハ改正前ナリ |
| 4 | ⭕ 正シイ | 税込33万円ガ実際ノ上限ナリ |
上限報酬ハ 「30万円(税抜)+消費税=税込33万円」ガ要点ナリ!
オリジナル問題3(特殊論点・改正による対象拡大)
令和6年7月改正による低廉な空家等の媒介特例の変更に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 改正後は買主から受ける媒介報酬についても特例の対象とされている
- 改正により対象の代金が800万円以下から400万円以下へと縮小された
- 改正後も特例の対象は売主側からの媒介に限られたままとなっている
- 改正により上限報酬が30万円から18万円(税抜)へと引き下げられた
解答は 1 なのぉ〜!
改正による対象拡大を問う論点だよぉ〜。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ⭕ 正しい | 改正後は売主・買主双方の依頼者が対象なのぉ〜 |
| 2 | ❌ 誤り | 400万→800万円へ拡大、縮小ではないのぉ〜 |
| 3 | ❌ 誤り | 買主側も対象に拡大、売主のみは改正前なのぉ〜 |
| 4 | ❌ 誤り | 18万→30万円へ引上げ、引下げではないのぉ〜 |
改正のポイントは 「800万円・税込33万円・売主買主双方へ拡大」、これが要点なのぉ〜!
まとめ
800万円以下の特例は宅建業法の報酬論点の中核。3軸を押さえれば、関連の事例問題は機械的に解ける。
押さえどころ3つ
- 適用要件: 代金800万円以下(税抜)・売主買主双方の依頼者・説明と合意
- 上限報酬: 30万円(税抜)+消費税=税込33万円
- 費用を勘案した額の加算: 説明と合意が前提+上限税込33万円以内
次に学ぶべき関連用語
800万円以下の特例をマスターしたら、次の論点に進むのが効率的だ。媒介報酬で上位概念を整理し、代理報酬で対比制度を確認する。次に報酬制限・代金区分別計算で関連論点を統合すれば、報酬クラスタが完成する。
論点を1つずつ積み上げれば、景色は着実に変わる。800万円以下の特例は報酬の特殊論点。ここを越えれば、業法の報酬論点は順に攻略可能になる。
学習の進め方の目安
800万円以下の特例を完全に覚えたかをセルフチェックする方法。次の3つの問いに即答できれば合格レベル。「適用要件(800万円以下・売主買主双方・説明合意)を即答できるか」「上限税込33万円を述べられるか」「令和6年7月改正の対象拡大を整理できるか」。即答できなければ、もう一度この記事の該当セクションに戻ればいい。重要論点ほど、繰り返した分だけ得点が伸びる。