追納とは(全体像)
免除や猶予で保険料を納めなかった期間は、そのままだと年金額に十分反映されない。後から余裕ができたときに納めて年金を取り戻せるよう用意されたのが追納。
押さえるのは2点。
- ⭐承認の月から10年以内(時効2年とは別) … 追納できるのは承認の月から10年以内。通常の保険料の徴収時効(2年)とは別もの。
- 反映率が全額に改善・翌々年度以降は加算 … 追納で年金額への反映率が全額反映に格上げ。承認の翌々年度以降の分には加算額が上乗せ(早く納めるほど有利)。
⭐一番の引っかけは「2年以内」「追納しても2分の1のまま」「加算でなく割引」。追納は10年以内、反映率は全額に改善、翌々年度以降は加算(上乗せ)。
詳しく:対象期間・反映率・加算を表でつかむ
ここが心臓部。「いつまで・どう改善し・上乗せはどうか」は次の表に全部つまっている。
対象期間と反映率の改善
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間 |
| 期間 | 承認の月から10年以内に遡って納付(厚生労働大臣に申出) |
| 時効との区別 | 通常の保険料の徴収時効(2年)とは別 |
| 全額免除 | 2分の1反映 → 全額反映に格上げ |
| 猶予・学特 | 不反映 → 全額反映に格上げ |
加算額
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 当時の保険料額で追納する |
| 加算 | 承認の翌々年度以降の追納分に加算額が上乗せ |
| 増加 | 経過年数が長いほど加算額は増える |
| 方向 | 割引ではなく上乗せ(早く納めるほど有利) |
押さえどころは、①対象は免除・猶予・学特を承認の月から10年以内(時効2年とは別)、②反映率は全額免除2分の1→全額・猶予学特 不反映→全額、③承認の翌々年度以降は加算(経過年数で増加)、の3つ。
なお、これらの期間は受給資格期間にはもともと算入されており、追納は「年金額」を回復する手続。
わかりやすく言い換えると
要するに「免除や猶予・学生納付特例で払わなかった保険料を、後から(承認の月から10年以内に)遡って納める仕組み」。納めると、全額免除だった期間は年金額が2分の1から満額に、猶予・学特だった期間は0から満額に格上げされる。
つまり、引っかけられやすいのは2つ。1つ目は「追納も徴収時効と同じく2年以内」と思い込むこと。実際は承認の月から10年以内。2つ目は「追納しても全額免除は2分の1のまま」と思い込むこと。実際は全額反映に格上げされる。ただし承認の翌々年度以降に納める分には加算がつく。
試験のツボ
🔴 一番出る:承認の月から10年以内(時効2年と区別)
①追納できるのは承認の月から10年以内
②通常の保険料の徴収時効(2年)とは別もの(混同しない)
🔴 次に出る:反映率の改善
①全額免除期間は2分の1反映から全額反映に格上げ
②納付猶予・学生納付特例期間は不反映から全額反映に格上げ
🟡 押さえると安定:加算額
①承認の翌々年度以降に追納する分は当時の保険料に加算額が上乗せ
②経過年数が長いほど加算額は増える(早く追納するほど有利)
よくある間違い
①「追納は保険料の徴収時効と同じく2年以内に行わなければならない」→ ✗ 追納は承認の月から10年以内に遡って納付できる(通常の保険料徴収時効2年とは別)。
②「追納しても全額免除期間は2分の1反映のままで改善しない」→ ✗ 追納すると全額免除期間は全額反映に、猶予・学生納付特例期間は不反映から全額反映に格上げされる。
③「追納はいつ納めても常に当時の保険料額のままで加算はない」→ ✗ 承認の翌々年度以降に追納する分には加算額が上乗せされ、経過年数が長いほど増える。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(追納できる期間)
国民年金の追納ができる期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 追納は、保険料の徴収時効と同じく、承認の月から2年以内に行わなければならないものとされる
- 追納は、免除等を受けた期間につき、承認の月から10年以内に遡って納付できるものとされている
- 追納は、期間の制限がなく、何年前の免除期間でも自由に遡って納付できるものとされているものである
- 追納は、免除を受けた当該年度内に限り行うことができ、翌年度以降はいっさいできないものとされる
解答は 2 だよ。
追納は、免除等を受けた期間につき、承認の月から10年以内に遡って納付できるんだ。
選択肢1の「2年以内」、選択肢3の「制限なし」、選択肢4の「当該年度内のみ」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 2年ではなく承認の月から10年以内である |
| 2 | ✓ | 承認の月から10年以内に遡って納付で正しい |
| 3 | ✗ | 10年以内という制限がある |
| 4 | ✗ | 当該年度内に限られず10年以内である |
オリジナル問題2(年金額への効果)
追納の年金額への効果に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 追納をしても、全額免除期間は2分の1反映のまま据え置かれ、改善することはないものとされる
- 追納は、受給資格期間を延ばすだけで、年金額への反映率にはまったく影響を与えないものとされる
- 追納をすると、年金額が法定の上限を超えて増額され、満額を上回る給付が受けられるものとされる
- 追納をすると、全額免除期間は全額反映に格上げされ、猶予・学特期間も全額反映になるとされる
解答は 4 だっ。
追納をすると、全額免除期間は全額反映に格上げされ、猶予・学特期間も不反映から全額反映になるんだっ。
選択肢1の「2分の1のまま」、選択肢2の「反映率に影響なし」、選択肢3の「上限超え」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 全額免除は全額反映に格上げされる |
| 2 | ✗ | 反映率が全額反映に改善される |
| 3 | ✗ | 上限を超えて増額されるものではない |
| 4 | ✓ | 全額免除も猶予・学特も全額反映で正しい |
オリジナル問題3(加算額)
追納の保険料に上乗せされる加算額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 追納では、承認の翌々年度以降の納付分は、当時の保険料に加算額が上乗せされるものとされている
- 追納の保険料額は、経過年数にかかわらず常に当時の保険料額のままで、加算はいっさいないものとされる
- 追納の加算額は、免除を受けた当初から一律に高い割合で課される仕組みとされているものである
- 追納をすると加算どころか割引が適用され、当時よりも低い額で納付できるものとされているものである
解答は 1 である。
追納では、承認の翌々年度以降の納付分は、当時の保険料に加算額が上乗せされる。
選択肢2の「加算なし」、選択肢3の「当初から一律に高い」、選択肢4の「割引」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 承認の翌々年度以降に加算額が上乗せで正しい |
| 2 | ✗ | 翌々年度以降は加算がある |
| 3 | ✗ | 当初一律ではなく翌々年度以降に加算 |
| 4 | ✗ | 割引ではなく上乗せである |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 対象期間 = 免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間の保険料を、承認の月から10年以内に遡って納付(厚生労働大臣に申出・通常の徴収時効2年とは別)。
- 🔴 反映率の改善効果 = 全額免除期間は2分の1反映から全額反映に、猶予・学生納付特例期間は不反映から全額反映に格上げ。
- 🟡 加算額 = 承認の翌々年度以降に追納する分は当時の保険料に加算額が上乗せされ、経過年数が長いほど増える(早期追納が有利)。
次に学ぶ
- 保険料免除 ── 全額免除期間(2分の1反映)を追納で全額反映に取り戻す。
- 保険料納付猶予・学生納付特例 ── 不反映の期間を追納で全額反映まで取り戻す。
執筆: SikakuQuest編集部