所定給付日数とは?雇用保険法22条・23条

公開: 更新: カテゴリ: 雇用保険法

30秒で結論

所定給付日数とは何か(本質)

条文の趣旨

基本手当を何日分受けられるかは、人によって違う。雇用保険法は、算定基礎期間という勤続の長さと、離職の理由・年齢を組み合わせ、再就職に時間がかかりやすい人ほど手厚くする日数設計を置いている。

所定給付日数は受給資格者が基本手当の支給を受けることができる日数で、一般の受給資格者は算定基礎期間のみにより定まり(22条1項)、特定受給資格者・一部の特定理由離職者は年齢区分と算定基礎期間により定まる(23条)。就職困難者は別に手厚い日数となる(22条2項)(所定給付日数の要旨)。

核心は 「一般は算定基礎期間のみ、特定は年齢×算定基礎期間、就職困難者は別枠」 という三本立て。算定基礎期間が被保険者期間とは別物である点を併せて押さえる。

わかりやすく言い換えると

要するに「失業手当を何日もらえるかは、勤めた長さ(算定基礎期間)で決まる。自己都合等の一般は最大150日、倒産・解雇等の特定は年齢も見て最大330日、障害者等の就職困難者は最大360日」ということ。

試験での位置付け

所定給付日数は、雇用保険法で頻出の論点。一般の90/120/150日、特定の最高330日(45歳以上60歳未満・20年以上)、就職困難者の最高360日、算定基礎期間と被保険者期間の違いが、横断的に問われる。


なぜ重要か

出題の傾向

所定給付日数をめぐる出題は、おおむね三つの形に整理できる。

押さえるとどう効くか

ここをつかんでおくと、基本手当の総額がつながる。基本手当の受給資格 を得た人について、1日の額が 賃金日額・基本手当日額 で決まり、その額に所定給付日数を乗じて総額が決まる。要件が緩む 特定受給資格者・特定理由離職者 は日数でも優遇される、という形で押さえると、給付の全体像が定着する。

関連論点との接続

所定給付日数は、複数の論点と接続している。

「勤続と事情に応じて日数を手厚く」という枠の中で、所定給付日数は給付の長さを担っている。


詳細解説

所定給付日数は、三つの軸 で分解すると整理しやすい。第1軸「所定給付日数と算定基礎期間」、第2軸「一般の受給資格者」、第3軸「特定受給資格者と就職困難者」。順に押さえれば、一般問題も特定問題も落ち着いて解ける。

ポイント1: 所定給付日数は何で決まるのか ── 算定基礎期間は被保険者であった期間

土台となる算定基礎期間を押さえる。

所定給付日数と算定基礎期間(雇用保険法22条・23条)

論点整理
所定給付日数受給資格者が基本手当の支給を受けることができる日数
決定要素算定基礎期間と離職理由・年齢で決まる
算定基礎期間原則として被保険者であった期間(22条3項に通算・除外の調整あり)
被保険者期間と別受給資格を判定する被保険者期間(11日・80時間で数える)とは別物
受給期間内原則、離職の日の翌日から1年の受給期間内に所定給付日数を限度に支給

ポイントは、所定給付日数は受給資格者が基本手当の支給を受けることができる日数で、算定基礎期間と離職理由・年齢で決まり、算定基礎期間は原則として被保険者であった期間である こと。算定基礎期間には雇用保険法22条3項により前後の被保険者であった期間の通算や、既に基本手当等を受けた期間の除外といった調整があり得るが、勤続の長さを表すもので、受給資格を判定する被保険者期間(賃金支払基礎日数11日以上又は80時間以上の月で数える)とは別概念である。基本手当は原則として離職の日の翌日から1年の受給期間内に、所定給付日数を限度として支給される(20条)。

ポイント2: 一般の受給資格者はどうなるのか ── 年齢区分なし、算定基礎期間のみ

一般の受給資格者の日数を押さえる。

一般の受給資格者の所定給付日数(雇用保険法22条1項)

特徴年齢区分なし。算定基礎期間のみで決まる
10年未満90日(1年未満も1年以上10年未満も90日)
10年以上20年未満120日
20年以上150日
対象定年・自己都合等の一般の受給資格者

ポイントは、一般の受給資格者の所定給付日数は年齢区分がなく算定基礎期間のみで決まり、算定基礎期間10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日である こと。一般の受給資格者(定年退職や自己都合離職等で特定に当たらない者)は、何歳であっても算定基礎期間だけで日数が定まる。最高でも150日であり、特定受給資格者等のように年齢で日数が増えることはない。

ポイント3: 特定受給資格者や就職困難者はどうなるのか ── 特定は最高330日、就職困難者は最高360日

特定受給資格者等と就職困難者の日数を押さえる。

特定受給資格者と就職困難者(雇用保険法23条・22条2項)

区分整理
特定受給資格者等離職時の年齢区分×算定基礎期間で90日〜330日(23条)
最高330日45歳以上60歳未満・算定基礎期間20年以上
対象倒産・解雇等の特定受給資格者、一部の特定理由離職者
就職困難者障害者等。1年未満150日、1年以上は45歳未満300日
就職困難者の最高算定基礎期間1年以上・45歳以上65歳未満で360日(22条2項)

ポイントは、特定受給資格者・一部の特定理由離職者は離職時の年齢区分と算定基礎期間で90日〜330日(最高330日は45歳以上60歳未満・算定基礎期間20年以上)、就職困難者は1年未満150日・1年以上は45歳未満300日/45歳以上65歳未満360日である こと。特定受給資格者等は年齢区分(30歳未満・30歳以上35歳未満・35歳以上45歳未満・45歳以上60歳未満・60歳以上65歳未満)と算定基礎期間の組合せで定まり、最も手厚いのは45歳以上60歳未満で算定基礎期間20年以上の330日。障害者等の就職困難者は別表により最高360日となる。

ポイント4: 哲学コラム ── 所定給付日数が映す「再就職の難しさに応じて支える設計」

所定給付日数という仕組みは、単なる日数表ではなく、「再就職に時間がかかりやすい人ほど長く支える」という設計思想 を映している。法は勤続の長さを算定基礎期間で測りつつ、自分の意思でない離職(倒産・解雇)には年齢も見て日数を厚くし、障害等で就職が困難な人には別枠で最も長い日数を当てた。長さは勤続に、手厚さは事情に ── どれも「働く人が、次の仕事が見つかるまでの間、立場の違いで取り残されない」ことを実現するための仕組みだ。シカクエが「仕組みで攻略する」と伝えているのは、こうした趣旨ごと理解すると、暗記が記憶として根づき、応用が利くようになるからだ。

所定給付日数の総整理

ここまでを整理する。第1に土台(所定給付日数=基本手当を受けられる日数・22条23条/算定基礎期間=被保険者であった期間で被保険者期間と別物)、第2に一般(年齢区分なし・算定基礎期間のみ/10年未満90日・10年以上20年未満120日・20年以上150日・22条1項)、第3に特定と就職困難者(特定は年齢×算定基礎期間で最高330日・23条/就職困難者は最高360日・22条2項)。この軸を順に当てはめれば安定して解ける。


よくある間違い・注意点

間違いパターン1: 「一般の受給資格者の所定給付日数も年齢区分により決まる」

これは誤り。一般の受給資格者は年齢区分がなく、算定基礎期間のみで決まる(10年未満90日・10年以上20年未満120日・20年以上150日)。年齢区分があるのは特定受給資格者等であり、一般と取り違えない。

間違いパターン2: 「特定受給資格者の所定給付日数の最高は150日である」

これも誤り。特定受給資格者・一部の特定理由離職者の最高は330日(45歳以上60歳未満・算定基礎期間20年以上)である。150日は一般の最高であり、特定と取り違えない。

一般は年齢区分なし・算定基礎期間のみで最高150日。特定受給資格者等は年齢×算定基礎期間で最高330日。就職困難者は最高360日。算定基礎期間は被保険者であった期間で被保険者期間とは別物。「一般も年齢で変わる」「特定の最高150日」「算定基礎期間=被保険者期間」はいずれも誤り。

間違いパターン3: 「算定基礎期間は受給資格を判定する被保険者期間と同じものである」

これも誤り。算定基礎期間は被保険者であった期間(勤続の長さ)であり、受給資格を判定する被保険者期間(賃金支払基礎日数11日以上又は80時間以上の月で数える)とは別物である。同じものと取り違えない。

似た用語との違い

賃金日額・基本手当日額 は基本手当の1日あたりの額、所定給付日数はその基本手当を受けられる日数 ── 1日の額か支給される日数かが違う、と並べて押さえると混ざらない。


試験での出題パターン

完全自作のオリジナル問題で確認する。過去問そのままではない。

オリジナル問題1(基本論点)

📝 オリジナル問題 1 基本論点

雇用保険法の所定給付日数に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 所定給付日数はすべての受給資格者について一律90日と定められている
  2. 所定給付日数を決める算定基礎期間は受給資格判定の被保険者期間と同一だ
  3. 所定給付日数は受給資格者が基本手当の支給を受けられる日数のことである
  4. 所定給付日数は離職理由を問わず年齢のみによって決まるものとされている
セーフビーバ
セーフビーバ 解答・解説

解答は 3 だよ。

所定給付日数の意義を問う基本論点なんだ。

選択肢判定理由
1一律ではない
2別物の期間
3受けられる日数
4算定基礎も見る

所定給付日数は基本手当を受けられる日数——ここを固めるのが第一歩だよ。

オリジナル問題2(応用論点)

📝 オリジナル問題 2 応用論点

一般の受給資格者の所定給付日数に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 一般の受給資格者は年齢区分なく算定基礎期間のみで定まるものである
  2. 一般の受給資格者は離職時の年齢区分により日数が決まるものである
  3. 一般の受給資格者の所定給付日数は最高で330日とされているものである
  4. 一般の受給資格者は算定基礎期間にかかわらず一律150日となるものだ
ロウミーア
ロウミーア 解答・解説

解答は 1 だっ。

一般の受給資格者を問う応用論点だっ。

選択肢判定理由
1算定基礎期間のみ
2年齢区分なし
3一般は最高150日
490/120/150日

年齢区分なし・算定基礎期間のみ——区別で見るのが要だっ!

オリジナル問題3(特殊論点:特定・就職困難者)

📝 オリジナル問題 3 特殊論点:特定・就職困難者

特定受給資格者等と就職困難者の所定給付日数に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 特定受給資格者等の所定給付日数の最高は一般の受給資格者と同じ150日である
  2. 就職困難者の所定給付日数は一般の受給資格者と全く同一である
  3. 就職困難者の所定給付日数は離職時の年齢にかかわらず一律90日である
  4. 特定受給資格者等の最高330日は45歳以上60歳未満で20年以上である
ロウタイテイ
ロウタイテイ 解答・解説

解答は 4 である。

特定と就職困難者の最高日数を問うものである。

選択肢判定理由
1特定は最高330日
2就職困難者360日
31年で150/300等
445-60歳20年以上

特定は最高330日・就職困難者は最高360日と押さえるのが肝要である。


まとめ

所定給付日数は、勤続と離職事情に応じて基本手当を受けられる日数を手厚くする、雇用保険法22条・23条の仕組み。所定給付日数と算定基礎期間/一般の受給資格者/特定受給資格者と就職困難者 ── この三軸を押さえれば、一般問題も特定問題も安定して解ける。

押さえどころ3つ

  1. 所定給付日数と算定基礎期間: 受給資格者が基本手当を受けられる日数(22条・23条)/算定基礎期間は被保険者であった期間で、受給資格判定の被保険者期間(11日・80時間で数える)とは別物
  2. 一般の受給資格者: 年齢区分なし・算定基礎期間のみ(22条1項)/10年未満90日・10年以上20年未満120日・20年以上150日/最高150日
  3. 特定受給資格者と就職困難者: 特定受給資格者等は年齢×算定基礎期間で最高330日(45歳以上60歳未満・算定基礎期間20年以上・23条)/就職困難者は1年未満150日・1年以上は45歳未満300日/45歳以上65歳未満360日(22条2項)

次に学ぶべき関連用語

所定給付日数をつかんだら、前提となる 基本手当の受給資格 を読み返し、1日の額を決める 賃金日額・基本手当日額 と、日数面でも優遇される 特定受給資格者・特定理由離職者 を確かめると、基本手当の総額の組み立てが立体的になる。

論点を一つずつ積み上げれば、見える景色は確かに変わっていく。所定給付日数は給付の長さの中核。ここを越えれば、特定受給資格者や延長給付の各論点が順につながって見えてくる。

学習の進め方の目安

所定給付日数を自分のものにできたかは、次の三つの問いで確かめられる。「一般の受給資格者が年齢区分なし・算定基礎期間のみで決まり最高150日であることを述べられるか」「特定受給資格者等が年齢×算定基礎期間で最高330日(45歳以上60歳未満・20年以上)であることを説明できるか」「算定基礎期間が被保険者であった期間で、受給資格判定の被保険者期間とは別物であることを区別できるか」。即答できなければ、該当のセクションに戻ればいい。戻ることは後退ではなく、定着への近道になる。


執筆: SikakuQuest編集部

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