基本手当の受給資格とは?雇用保険法13条・14条

公開: 更新: カテゴリ: 雇用保険法

30秒で結論

基本手当の受給資格とは何か(本質)

条文の趣旨

雇用保険の基本手当は、離職した人すべてに自動で出るのではない。雇用保険法は、被保険者として一定期間働いた実績と、失業の状態という二つを受給資格の柱に置いている。

基本手当は、離職により被保険者資格を失った者が、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間を通算12か月以上有し、かつ失業している場合に支給される(雇用保険法13条1項・4条3項)。特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6か月以上で足りる(13条2項)(基本手当の受給資格の要旨)。

核心は 「被保険者期間の実績と失業の状態がそろって初めて受給資格が生じる」 という設計。原則2年12か月、特定なら1年6か月という数値と、被保険者期間の数え方(11日以上又は80時間以上)を押さえる。

わかりやすく言い換えると

要するに「失業手当をもらうには、辞める前にちゃんと働いて雇用保険に入っていた実績(原則2年で12か月、倒産・正当理由なら1年で6か月)と、働く気も力もあるのに仕事に就けない状態が必要」ということ。

試験での位置付け

基本手当の受給資格は、雇用保険法で最頻出の論点。原則2年12か月と特定の1年6か月、被保険者期間の11日・80時間、待期7日、受給期間1年、算定基礎期間との違いが、横断的に問われる。


なぜ重要か

出題の傾向

基本手当の受給資格をめぐる出題は、おおむね三つの形に整理できる。

押さえるとどう効くか

ここをつかんでおくと、基本手当の入口がつながる。雇用保険の被保険者 であることを前提に受給資格を得て、給付額は 賃金日額・基本手当日額 で決まり、要件が緩和される 特定受給資格者・特定理由離職者 が別枠で問われる、という形で押さえると、給付の全体像が定着する。

関連論点との接続

基本手当の受給資格は、複数の論点と接続している。

「実績と失業がそろって受給資格」という枠の中で、基本手当の受給資格は給付の入口を担っている。


詳細解説

基本手当の受給資格は、三つの軸 で分解すると整理しやすい。第1軸「受給資格の3要素」、第2軸「被保険者期間の計算と算定基礎期間」、第3軸「待期・受給期間・手続」。順に押さえれば、要件問題も計算問題も落ち着いて解ける。

ポイント1: 受給資格は何で決まるのか ── 原則2年12か月・特定は1年6か月

3要素を押さえる。

受給資格の3要素(雇用保険法13条・4条3項)

要素内容
離職と失業離職により被保険者資格を失い、失業していること(4条3項)
失業の意義労働の意思及び能力を有するのに職業に就くことができない状態
原則の要件離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(13条1項)
特定の特例特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に通算6か月以上(13条2項)

ポイントは、基本手当の受給資格は、離職により被保険者資格を失って失業し、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることで生じ、特定受給資格者・特定理由離職者は離職の日以前1年間に通算6か月以上で足りる こと。失業とは、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない状態をいう(4条3項)。原則は2年間に12か月以上(13条1項)だが、倒産・解雇等の特定受給資格者や正当な理由のある自己都合等の特定理由離職者は、1年間に6か月以上に読み替えられる(13条2項)。

ポイント2: 被保険者期間はどう数えるのか ── 11日以上・不足時80時間以上

被保険者期間の数え方を押さえる。

被保険者期間の計算(雇用保険法14条)

区切り方被保険者でなくなった日から1か月ごとにさかのぼって区切る
原則賃金支払基礎日数が11日以上ある期間を被保険者期間1か月とする
補充11日以上の月が足りないとき賃金支払基礎時間80時間以上の月も1か月
改正80時間の時間要件は令和2年改正で追加されたもの
算定基礎期間所定給付日数を決める被保険者であった期間で受給資格の月数とは別物

ポイントは、被保険者期間は被保険者でなくなった日から1か月ごとに区切り、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1か月とし、それで足りないときは賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月も1か月として数える こと。11日基準で12か月(特定は6か月)に満たないときに80時間基準で補う(14条3項)。これは令和2年改正で追加された時間要件である。なお、所定給付日数を決める「算定基礎期間」は被保険者であった期間であり、受給資格を判定する被保険者期間(11日・80時間で数える)とは別物である。

ポイント3: いつから・いつまで受けられるのか ── 待期7日・受給期間原則1年

待期と受給期間を押さえる。

待期・受給期間・手続(雇用保険法15条・20条・21条)

論点整理
待期求職申込み後、失業の日が通算7日に満たない間は不支給(21条)
受給期間原則、離職の日の翌日から起算して1年(20条1項)
受給期間の例外所定給付日数360日は1年+60日、330日の特定受給資格者は1年+30日
受給期間の延長妊娠・出産・育児・疾病・負傷等で30日以上就けないとき申出で延長
失業の認定離職票提出・求職申込み後、原則4週間に1回認定(15条)

ポイントは、離職後最初の求職申込み以後に失業している日が通算7日に満たない間は基本手当を支給せず(待期7日)、受給期間は原則として離職の日の翌日から1年である こと。待期は通算7日で(21条)、受給期間は原則離職の日の翌日から1年(20条1項)だが、所定給付日数360日に対応する者は1年に60日、330日に対応する特定受給資格者は1年に30日を加えた期間となる。妊娠・出産・育児・疾病・負傷等で引き続き30日以上職業に就けないときは申出により延長され、加算後の上限は原則4年である。基本手当は離職票を提出し求職の申込みをして受給資格決定を受け、原則4週間に1回の失業の認定を受けた日について支給される。

ポイント4: 哲学コラム ── 受給資格が映す「実績と意思の両方で支える設計」

基本手当の受給資格という仕組みは、単なる支給要件ではなく、「働いてきた実績と、また働こうとする意思の両方がそろってこそ支える」という設計思想 を映している。法は被保険者として一定期間働いた実績を求めつつ、倒産や正当な理由の離職には要件を緩め、失業を「働く意思と能力があるのに就けない状態」と定めた。実績を求めつつ事情に応じて緩めたのも、再就職を目指す人の生活が、辞め方の違いで不公平にならないようにするためだ。実績と意思の両方で支える ── どれも「働く人が、次の仕事に向かう間も確かに支えられる」ことを実現するための仕組みだ。シカクエが「仕組みで攻略する」と伝えているのは、こうした趣旨ごと理解すると、暗記が記憶として根づき、応用が利くようになるからだ。

基本手当の受給資格の総整理

ここまでを整理する。第1に3要素(離職と失業・4条3項/原則2年12か月・13条1項/特定は1年6か月・13条2項)、第2に被保険者期間と算定基礎期間(11日以上、不足時80時間以上・14条/算定基礎期間は所定給付日数の基礎で別物)、第3に待期受給期間(待期7日・21条/受給期間原則1年・20条/延長は申出・上限原則4年)。この軸を順に当てはめれば安定して解ける。


よくある間違い・注意点

間違いパターン1: 「基本手当の受給資格は離職前1年間に被保険者期間6か月以上が原則である」

これは誤り。原則は離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上である。1年間に6か月以上は特定受給資格者・特定理由離職者の特例であり、原則と特例を取り違えない。

間違いパターン2: 「被保険者期間は賃金支払基礎日数が1日でもあれば1か月と数える」

これも誤り。被保険者期間は賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1か月とし、それで足りないときは賃金支払基礎時間80時間以上の月も1か月とする。1日で1か月とは数えない点を取り違えない。

原則は2年間に被保険者期間12か月以上、特定は1年間に6か月以上。被保険者期間は11日以上、不足時80時間以上。待期は通算7日、受給期間は原則1年。「原則1年6か月」「1日で1か月」「待期は3日」はいずれも誤り。

間違いパターン3: 「受給期間は離職の日の翌日から起算して2年が原則である」

これも誤り。受給期間は原則として離職の日の翌日から起算して1年である。所定給付日数や延長事由による例外はあるが、原則1年である点を取り違えない。

似た用語との違い

雇用保険の被保険者 は給付の前提となる資格そのもの、基本手当の受給資格はその被保険者が離職し失業したときに基本手当を受けられる地位 ── 資格の有無か受給の地位かが違う、と並べて押さえると混ざらない。


試験での出題パターン

完全自作のオリジナル問題で確認する。過去問そのままではない。

オリジナル問題1(基本論点)

📝 オリジナル問題 1 基本論点

雇用保険法の基本手当の受給資格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 受給資格は原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上である
  2. 受給資格は離職の日以前3年間に被保険者期間が通算18か月以上あることが原則とされている
  3. 受給資格は原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上である
  4. 受給資格は失業していなくても離職した事実さえあれば当然に生じるものである
セーフビーバ
セーフビーバ 解答・解説

解答は 3 だよ。

原則の要件を問う基本論点なんだ。

選択肢判定理由
1それは特定の特例
22年12か月が原則
32年12か月が原則
4失業が要件

原則は2年間に12か月以上——ここを固めるのが第一歩だよ。

オリジナル問題2(応用論点)

📝 オリジナル問題 2 応用論点

被保険者期間の計算に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 賃金支払基礎日数11日以上の月を1か月とし不足時は80時間以上も数える
  2. 被保険者期間は賃金支払基礎日数が1日でもあれば1か月と数えるものである
  3. 被保険者期間と所定給付日数を決める算定基礎期間は全く同じものである
  4. 被保険者期間は暦月で区切り賃金の有無にかかわらず1か月と数えるものである
ロウミーア
ロウミーア 解答・解説

解答は 1 だっ。

被保険者期間の数え方を問う応用論点だっ。

選択肢判定理由
111日又は80時間
211日以上が原則
3算定基礎は別物
4賃金基礎で数える

11日以上、不足時80時間以上——数え方で見るのが要だっ!

オリジナル問題3(特殊論点:待期・受給期間)

📝 オリジナル問題 3 特殊論点:待期・受給期間

待期と受給期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 待期は求職申込み後に失業の日が通算3日に満たない間とされているものである
  2. 受給期間は離職の日の翌日から起算して原則2年とされているものである
  3. 待期中であっても基本手当は通常どおり支給されるものとされている
  4. 待期は通算7日で受給期間は原則として離職の日の翌日から1年である
ロウタイテイ
ロウタイテイ 解答・解説

解答は 4 である。

待期と受給期間を問うものである。

選択肢判定理由
1待期は通算7日
2受給期間は1年
3待期中は不支給
4待期7日・1年

待期7日・受給期間原則1年と押さえるのが肝要である。


まとめ

基本手当の受給資格は、被保険者として働いた実績と失業の状態がそろって生じる、雇用保険法13条・14条の地位。3要素/被保険者期間と算定基礎期間/待期と受給期間 ── この三軸を押さえれば、要件問題も計算問題も安定して解ける。

押さえどころ3つ

  1. 3要素: 離職と失業(4条3項=労働の意思及び能力を有するのに就けない)/原則は離職の日以前2年間に被保険者期間通算12か月以上(13条1項)/特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6か月以上(13条2項)
  2. 被保険者期間と算定基礎期間: 被保険者期間は11日以上の月、不足時80時間以上の月で数える(14条・令和2年改正で時間要件)/算定基礎期間は所定給付日数を決める被保険者であった期間で別物
  3. 待期と受給期間: 待期は求職申込み後の失業の日が通算7日(21条)/受給期間は原則離職の日の翌日から1年(20条)・延長は申出で上限原則4年

次に学ぶべき関連用語

基本手当の受給資格をつかんだら、前提となる 雇用保険の被保険者 を読み返し、受給資格を得た後の 賃金日額・基本手当日額 と、要件が緩和される 特定受給資格者・特定理由離職者 を確かめると、基本手当の全体像が立体的になる。

論点を一つずつ積み上げれば、見える景色は確かに変わっていく。基本手当の受給資格は給付の入口。ここを越えれば、賃金日額や所定給付日数の各論点が順につながって見えてくる。

学習の進め方の目安

基本手当の受給資格を自分のものにできたかは、次の三つの問いで確かめられる。「離職して失業し、原則は離職の日以前2年間に被保険者期間通算12か月以上、特定は1年間に6か月以上であることを述べられるか」「被保険者期間を賃金支払基礎日数11日以上、不足時80時間以上で数えること、算定基礎期間とは別物であることを説明できるか」「待期が通算7日で受給期間が原則離職の日の翌日から1年であることを区別できるか」。即答できなければ、該当のセクションに戻ればいい。戻ることは後退ではなく、定着への近道になる。


執筆: SikakuQuest編集部

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