育児・介護休業法とは(全体像)
育児・介護休業法は、子育てや家族の介護をしながら仕事を続けられるように、休業を取る権利と会社の義務を定めた法律のこと。労働者には休業を申し出る権利があり、事業主はこれを拒めず、休業を理由とする不利益な取扱いも禁止される。
押さえるのは、この法律が3つの休業を柱にしていること。
- 育児休業 … 子を育てるための休業。原則1歳まで(延長で2歳)。
- 介護休業 … 家族の介護のための休業。1人につき通算93日。
- 産後パパ育休 … 子の出生直後にとる育児の休業。8週間以内に4週間。
このほか、短期の介護休暇や、子の看護等休暇といった制度もある。つまり、この法律は「働きながら家庭を支える人」を、複数の休業・休暇でまとめて守るしくみだ。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。3つの休業の年数・要件は、次の表に全部つまっている。
3つの休業の年数と要件
| 休業 | 期間 | 分割 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 育児休業 | 原則 子が1歳まで | 2回まで | 保育所に入れない等で1歳6か月・さらに2歳まで延長できる |
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日 | 3回まで | 「家族全体で93日」ではなく1人ごと |
| 産後パパ育休 | 出生後8週間以内に4週間(28日)以内 | 2回まで | 出生直後の取得に特化した別枠の制度 |
産後パパ育休(出生時育児休業)は、育児休業とは別枠の制度。「育児休業=原則1歳・延長で2歳/産後パパ育休=出生後8週間以内に4週間以内」と分けて押さえる。
次に、誰が取れるかと会社が外せる範囲を押さえる。
適用と労使協定による除外
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 有期雇用労働者 | 申出時点で雇用の継続が見込まれる等の要件を満たせば取得できる(一切取得できないわけではない) |
| 労使協定による除外 | 入社1年未満の者などを対象から除外できる |
| 不利益取扱い | 休業を理由とする解雇など、不利益な取扱いは禁止 |
有期雇用労働者は「正社員ではないから取れない」のではなく、要件を満たせば取れるのが原則。ただし会社と労働組合などの取り決め(労使協定)があれば、入社1年未満の者などを対象から外せる。ここが社労士試験でよく問われる。
わかりやすく言い換えると
要するに、3つの休業の数字をリズムでつかむとラク。
①育児休業 … 「1歳まで、延ばせて2歳」
②介護休業 … 「家族1人に93日、3回まで」
③産後パパ育休 … 「8週間のうち4週間、2回まで」
試験のツボ
🔴 一番出る:3つの休業の年数
①育児休業 = 原則1歳・延長で1歳6か月・2歳
②介護休業 = 対象家族1人につき通算93日・3回まで分割
③産後パパ育休 = 出生後8週間以内に4週間以内・2回まで分割
🟡 押さえると安定:誰が取れるか
①有期雇用労働者も、雇用の継続が見込まれる等の要件を満たせば取得できる
②労使協定があれば、入社1年未満の者などを対象から除外できる
③休業を理由とする不利益な取扱いは禁止
よくある間違い
①「介護休業は家族全体で通算93日まで」→ ✗ 93日は対象家族1人につき。3回まで分割できる。
②「有期雇用労働者は一切取得できない」→ ✗ 要件を満たせば取得できる。労使協定で入社1年未満の者などは除外できる。
③「産後パパ育休は出生後1年以内に合計8週間を自由に取れる」→ ✗ 出生後8週間以内の期間に4週間(28日)以内を2回まで分割して取る制度。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(育児休業・産後パパ育休)
育児休業と産後パパ育休に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 育児休業は子が3歳になるまでが原則とされ、いかなる事情があっても延長は一切認められないものと定められている取扱いである
- 育児休業は原則として子が1歳まで、保育所に入れない等の事情があれば1歳6か月・さらに2歳まで延長できるとされている
- 産後パパ育休は子の出生後1年以内であれば合計8週間までをまとめて一括して取得することができる制度とされている取扱いである
- 産後パパ育休は廃止され、現在は子の出生直後に取得できる育児関係の休業はおよそ存在しないものとされている取扱いである
解答は 2 だよ。
育児休業は原則として子が1歳まで。保育所に入れない等の事情があれば、1歳6か月、さらに2歳まで延長できるんだ。
選択肢3の産後パパ育休は、出生後8週間以内に4週間(28日)以内を2回まで分割して取る制度。出生直後にとる別枠の休業だよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 原則1歳・延長で2歳まで |
| 2 | ✓ | 原則1歳・延長で1歳6か月・2歳 |
| 3 | ✗ | 8週間以内に4週間以内 |
| 4 | ✗ | 産後パパ育休は存在する |
オリジナル問題2(介護休業)
介護休業に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 介護休業は要介護状態の対象家族の人数にかかわらず、労働者一人につき全体で通算93日までとされている
- 介護休業は対象家族1人につき通算93日まであるが、分割は認められず必ず一度に取得しなければならないとされる
- 介護休業は対象家族1人につき通算93日まで取得でき、3回を上限に分割して取得することができるとされている
- 介護休業は対象家族1人につき通算1年まで取得でき、取得回数の制限はおよそ設けられていないとされている
解答は 3 だっ。
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで。しかも3回を上限に分割して取れるんだっ。
「家族全体で93日」と引っかけてくる選択肢1が定番のワナだっ。93日は対象家族1人ごとだよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 対象家族1人につき93日 |
| 2 | ✗ | 3回まで分割できる |
| 3 | ✓ | 1人につき93日・3回分割 |
| 4 | ✗ | 通算93日・3回まで |
オリジナル問題3(適用と労使協定)
育児・介護休業法の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 育児休業や介護休業は正社員に限られ、有期雇用労働者はいかなる場合もこれを取得できないものと定められている取扱いである
- 育児休業や介護休業は、労使協定があっても入社年数を理由に対象から除外することはできないものと定められている取扱いである
- 育児休業や介護休業を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、特に制限なく当然に認められるものとされている取扱いである
- 有期雇用労働者も雇用の継続が見込まれる等の要件を満たせば取得でき、労使協定で入社1年未満の者などを除外できるとされる
解答は 4 である。
有期雇用労働者も、雇用の継続が見込まれる等の要件を満たせば取得できる。一切取れないわけではない。
ただし労使協定があれば、入社1年未満の者などを対象から除外できる。なお、休業を理由とする不利益な取扱いは禁止である。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 要件を満たせば有期も取得可 |
| 2 | ✗ | 労使協定で除外できる |
| 3 | ✗ | 不利益取扱いは禁止 |
| 4 | ✓ | 要件で取得可・労使協定で除外可 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 育児休業 = 原則 子が1歳まで(保育所に入れない等で1歳6か月・さらに2歳まで延長)。2回まで分割。
- 🔴 介護休業 = 対象家族1人につき通算93日まで・3回まで分割(「家族全体で93日」は誤り)。
- 🔴 産後パパ育休 = 出生後8週間以内に4週間(28日)以内・2回まで分割。
- 🟡 有期雇用労働者も要件を満たせば取得でき、労使協定で入社1年未満の者などを除外できる。不利益取扱いは禁止。
次に学ぶ
- 育児休業給付金 ── 育児休業中の所得を雇用保険から支える給付。「休業する権利」と「休業中のお金」の対比で押さえると混ざらない。
- 介護休業給付金 ── 介護休業中の所得を支える給付。介護休業の93日とセットで押さえる。
- 男女雇用機会均等法 ── 性別を理由とする差別を禁じ、両立支援と並んで働く環境を支える法律。
執筆: SikakuQuest編集部