扶養控除と配偶者控除。所得税法83-84条と年齢区分

公開: 更新: カテゴリ: 所得税法

扶養控除は何で決まる?理解する3つの軸

扶養控除の話は、3つの軸で整理できます。

  • 扶養控除(84条): 16歳以上の扶養親族、年齢区分で38/63/48/58万円
  • 配偶者控除(83条): 配偶者の合計所得48万円以下、本人所得制限あり
  • 配偶者特別控除(83条の2): 配偶者の合計所得48-133万円範囲で段階適用

ここがポイント。16歳未満は扶養控除対象外ということ。2010年の児童手当(旧子ども手当)統合で控除が廃止され、現在は16歳から扶養控除の対象になります。

それから、配偶者控除には本人所得制限があるという事実。本人の合計所得が900万円超で控除額減額、1,000万円超で控除なしという二段階の所得制限が課されています。

なぜそう言えるのか、3つの軸を順番に見ていきます。


扶養控除はいくら?——年齢区分(所得税法84条)

扶養親族の定義

扶養親族とは、納税者と 生計を一にする 親族(配偶者除く)で、合計所得金額48万円以下の者(所得税法2条1項34号)。

扶養親族の要件

**生計を一にする**同居でなくても仕送り等で生活援助があれば該当
**配偶者を除く**配偶者は別に配偶者控除・配偶者特別控除で扱う
**合計所得48万円以下**給与収入なら103万円以下(給与所得控除55万円差引後)
**青色事業専従者・白色事業専従者除く**事業所得の必要経費として処理

年齢区分と控除額

扶養控除は 年齢で4区分(その年12月31日時点で判定)。

扶養控除の年齢区分(所得税法84条)

**0〜15歳**控除対象外(児童手当に統合)
**16〜18歳・23〜69歳**一般扶養親族 38万円
**19〜22歳**特定扶養親族 63万円(大学生年代の優遇)
**70歳以上**老人扶養親族 48万円(同居老親等は 58万円

トリビア:16歳未満の扶養控除は2010年の児童手当統合で廃止

16歳未満の扶養控除は 2011年(平成23年)分から廃止されました(2010年の改正)。それまで16歳未満も一般扶養親族として38万円の控除がありましたが、子ども手当(現児童手当)の創設と引き換えに廃止された経緯があります。改正時には増税・減税の効果が世帯収入で異なる議論が起きましたが、現在は児童手当(中学生まで月10,000-15,000円)で代替されています。

同居老親等の優遇

70歳以上の扶養親族のうち、納税者または配偶者の直系尊属(父母・祖父母)で同居している者は同居老親等扱いで控除額が58万円に増額。介護負担軽減の趣旨で設けられた優遇措置です。


配偶者控除と特別控除はどう使い分ける?——所得税法83条・83条の2

配偶者控除(83条)

配偶者の 合計所得48万円以下(給与収入103万円以下)の場合に適用される控除。

配偶者の年齢通常控除額老人控除(70歳以上)
70歳未満38万円
70歳以上48万円

本人の所得制限

配偶者控除は 本人の合計所得900万円超で控除額減額、1,000万円超で控除なし。

本人所得別の配偶者控除額(70歳未満配偶者)

**本人合計所得900万円以下**38万円(満額)
**本人合計所得900万円超〜950万円以下**26万円
**本人合計所得950万円超〜1,000万円以下**13万円
**本人合計所得1,000万円超**控除なし

配偶者特別控除(83条の2)

配偶者の 合計所得48万円超〜133万円以下 で適用。配偶者の所得増加に応じて段階的に減額され、133万円超で控除なし。

配偶者の合計所得控除額(本人900万円以下)
48万円超〜95万円以下38万円
95万円超〜100万円以下36万円
100万円超〜105万円以下31万円
105万円超〜110万円以下26万円
110万円超〜115万円以下21万円
115万円超〜120万円以下16万円
120万円超〜125万円以下11万円
125万円超〜130万円以下6万円
130万円超〜133万円以下3万円

いわゆる「103万円の壁」「150万円の壁」

103万円の壁」は配偶者控除(38万円)が満額適用される境界(給与所得控除55万円+基礎控除48万円)。「150万円の壁」は配偶者特別控除が満額適用される境界(年収150万円≒合計所得95万円)。これらを意識した働き方調整が広く行われています。

実務家の視点から言えば、社会保険の壁(106万円・130万円)と所得税の壁は別物。所得税のみで議論するなら150万円までは満額控除、150万円超で段階減額となります。


どう申告する?——手続と書類

年末調整での申告

給与所得者は年末調整で 扶養控除等(異動)申告書 を勤務先に提出すれば、所得税は年末調整で完結。配偶者特別控除は 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 を併せて提出します。

年末調整必要書類

**扶養控除等(異動)申告書**扶養親族の氏名・生年月日・所得見積を記載
**基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書**本人所得・配偶者所得を記載
**給与所得者の保険料控除申告書**生命保険料・地震保険料等
**マイナンバー通知**本人・扶養親族のマイナンバー記載

確定申告での修正

年末調整で扶養控除を漏らした場合は 確定申告で還付申告。過去5年分まで遡って修正可能(更正の請求は5年)。

私たちが取材した税理士の話では、「学生の子の扶養控除は19-22歳で63万円に増額するので忘れずに修正申告すべき」とのこと。意外と申告漏れが多い区分です。

  • 扶養控除制度の核心は 扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除 の3軸
  • 扶養控除は 所得税法84条、年齢区分で控除額異なる
  • 16歳未満は対象外(2011年分から廃止、児童手当に統合)
  • 一般扶養(16-18・23-69歳)38万円、特定扶養(19-22歳)63万円、老人扶養(70歳以上)48万円、同居老親等 58万円
  • 配偶者控除(83条)は配偶者合計所得 48万円以下 で適用、本人合計所得 1,000万円超で対象外
  • 配偶者特別控除(83条の2)は配偶者合計所得 48万円超〜133万円以下 で段階適用
  • 「103万円の壁」「150万円の壁」は所得税の境界、社保の壁とは別
  • 給与所得者は 年末調整で申告、漏れは 5年以内なら還付申告で修正
  • 扶養親族は 生計を一にする+48万円以下 が共通要件
  • 同居老親等(直系尊属)は 介護負担軽減の優遇で控除額増

理解度チェック

ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。

📝 オリジナル問題 1 扶養控除の年齢区分

扶養控除の年齢区分について、正しい説明はどれか。

  1. すべての年齢で扶養控除額は一律38万円という決まり仕組み
  2. 16歳未満も一般扶養親族として38万円控除される原則ルール
  3. 19歳から22歳までは特定扶養親族として63万円が控除される
  4. 70歳以上は控除対象外という決まりがある仕組み形となる
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 3 である。

所得税法84条により、扶養控除は年齢区分で異なる。16歳未満は対象外(2011年分から廃止)、16-18歳・23-69歳は一般扶養38万円19-22歳は特定扶養63万円(大学生年代の優遇)、70歳以上は老人扶養48万円(同居老親等は58万円)。年齢判定は その年12月31日時点で行う。19-22歳の特定扶養は教育費負担への配慮で増額設定されている。

選択肢判定理由
1✗ 誤り年齢区分で異なる
2✗ 誤り16歳未満は対象外
3✓ 正解84条の正しい年齢区分
4✗ 誤り70歳以上も対象

19-22歳の特定扶養63万円——これが扶養控除の年齢区分の核心なのである。

📝 オリジナル問題 2 配偶者控除と本人所得制限

配偶者控除の本人所得制限について、正しい説明はどれか。

  1. 本人の合計所得1,000万円超で配偶者控除が受けられない仕組み
  2. 本人の所得は配偶者控除の適用には一切影響しない原則ルール扱い
  3. 本人の合計所得2,000万円超で初めて控除制限がかかる仕組み形
  4. 本人の所得が高いほど配偶者控除額が増額される一般的な原則
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 1 である。

所得税法83条により、配偶者控除は 本人の合計所得900万円超で減額・1,000万円超で対象外。具体的には900万円以下=38万円、900万円超950万円以下=26万円、950万円超1,000万円以下=13万円、1,000万円超=控除なし、の4段階。配偶者特別控除(83条の2)でも同様の本人所得制限が課される。高所得者の租税公平性を確保する設計。

選択肢判定理由
1✓ 正解83条の正しい所得制限
2✗ 誤り本人所得で減額あり
3✗ 誤り1,000万円で対象外
4✗ 誤り高所得ほど減額

1,000万円超で控除なしの所得制限——これが配偶者控除の核心なのである。

📝 オリジナル問題 3 16歳未満の扶養控除(2011年改正)

16歳未満の扶養控除について、正しい説明はどれか。

  1. 16歳未満は児童手当との統合で2011年分から控除対象外
  2. 16歳未満は引き続き38万円控除される原則仕組みである形
  3. 16歳未満は63万円の特定扶養控除が適用される決まり扱い
  4. 16歳未満の扶養控除は法律上一切議論されない原則ルール形
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 1 である。

2010年の所得税法改正で2011年分から16歳未満の扶養控除が廃止された。それまで16歳未満も一般扶養親族として38万円の控除がありましたが、子ども手当(現児童手当)の創設と引き換えに廃止された経緯。現在は児童手当(中学生まで月10,000-15,000円)で代替されており、扶養控除は 16歳から段階的に適用 される現行制度に整理されている。

選択肢判定理由
1✓ 正解2011年廃止の正しい経緯
2✗ 誤り廃止済
3✗ 誤り特定扶養は19-22歳
4✗ 誤り法定で議論された経緯あり

2011年廃止+児童手当への統合——これが16歳未満扶養控除の核心なのである。



おわりに

扶養控除制度は、知っているか知らないかで動き方が大きく変わる典型例です。今日見た3つの基本——年齢区分・配偶者控除・配偶者特別控除——を覚えておけば、家族構成が変わった時の地図が手に入ります。

自分の権利を知るというのは、誰かに任せきりにするのではなく、自分で判断できる材料を持つこと。法律はそのための道具です。

扶養控除問題は、税務・家族・金融が交錯する複雑な分野。税務署・税理士・ファイナンシャルプランナー・国税庁ホームページ・職場の経理担当——相談先は意外と多くあります。気になることがあれば、まず話を聞いてもらうところから始めるのがおすすめです。

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