ゼロトラストとは(全体像)
ゼロトラストとは、「だれも無条件に信頼せず、アクセスのたびに確認する」という考え方である。英語で「Never Trust, Always Verify(決して信頼せず、常に検証する)」と表される。
身近にたとえると、部屋ごとに毎回チェックする建物のようなもの。これまでは「入口で身分証を確認したら、中では自由に動ける」方式(境界型)だった。ゼロトラストは「社内にいても信用せず、部屋に入るたびに確認する」方式なのだ。
押さえるのは、従来の境界型との違いと、その実現手段であるZTNAなどである。
詳しく:境界型との違いとZTNAだけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。まず従来の境界型防御との違いを見ていくのだ。
境界型防御 と ゼロトラスト
| 境界型防御 | ゼロトラスト | |
|---|---|---|
| 考え方 | 外は敵・中は信頼 | 内も外も信頼せず常に検証 |
| チェック | 入口で1回 | アクセスのたびに毎回 |
ここでひっかけが「ゼロトラストは社内ネットだけを信頼しない」という誤解である。そうではなく、社内・社外を区別せず、すべてのアクセスを検証するのがゼロトラストだ。内側だから安全、とは考えないのである。
次に、実現するための主な手段である。
ゼロトラストの主な要素
| 要素 | 内容(やさしく) |
|---|---|
| ZTNA | アプリ単位でアクセスを認可する(VPNの代わり) |
| マイクロセグメンテーション | ネットワークを細かく区切る |
| ID中心の制御 | だれかを本人確認(多要素認証など)して許可する |
ここでもう1つのひっかけが「ZTNAはVPNと同じもの」という誤解だ。ZTNAは「アプリ単位」で許可するのに対し、VPNは「ネットワーク単位」で入れてしまう。ZTNAのほうが細かく絞れるのである。なお、GoogleのBeyondCorp(2011年〜)が先駆けで、テレワークの広がりとともに普及した。
わかりやすく言い換えると
要するに、建物のチェックでイメージするとよい。
①境界型 … 入口で1回チェックしたら、中では自由(中は信頼)
②ゼロトラスト … 社内にいても信用せず、部屋に入るたびに毎回チェック
③ZTNA … 「部屋(アプリ)」単位で入室を許可する(VPNは「建物(ネットワーク)」全体に入れる鍵)
つまり、ゼロトラストは内外を区別せず常に検証。ZTNAはアプリ単位でVPNより細かい。ここが試験の急所である。
試験のツボ
🔴 一番出る:原則と境界型との違い
①原則は「Never Trust, Always Verify(決して信頼せず、常に検証)」
②社内・社外を区別せず、すべてのアクセスを検証する
🔴 次に出る:ZTNAはアプリ単位
①ZTNAはアプリ単位でアクセスを認可(VPNの代わり)
②VPNはネットワーク単位で入れてしまう
🟡 押さえると安定:標準と先駆け
①NIST SP 800-207(2020年)で標準化
②GoogleのBeyondCorp(2011年〜)が先駆け
よくある間違い
①「ゼロトラストは社内ネットだけを信頼しないという意味である」→ ✗ 社内・社外を区別せず、すべてのアクセスを検証する。内側だから安全とは考えない。
②「ZTNAはVPNと同じものである」→ ✗ ZTNAはアプリ単位、VPNはネットワーク単位。ZTNAのほうが細かく絞れる。
③「ゼロトラストは入口で1回チェックすれば十分という考え方である」→ ✗ それは境界型。ゼロトラストはアクセスのたびに毎回検証する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(ゼロトラストの原則)
ゼロトラストに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ゼロトラストは画面の明るさを段階で決めるための専用の設定だとされているものである
- ゼロトラストは音の大きさを段階で決めるための専用の機能だとされているものである
- ゼロトラストは保存した文字を全部消す専用の命令だとされている
- ゼロトラストは内外を区別せず、すべてのアクセスをそのつど検証する考え方である
解答は 4 である。
ゼロトラストは、社内・社外を区別せず、すべてのアクセスをそのつど検証する考え方である。「Never Trust, Always Verify(決して信頼せず、常に検証)」が原則なのだ。
選択肢1・2・3の「明るさ」「音の大きさ」「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面の明るさの設定ではない |
| 2 | ✗ | 音の大きさの機能ではない |
| 3 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
| 4 | ✓ | 内外を区別せず常に検証する考え方 |
オリジナル問題2(境界型との違い)
ゼロトラストと境界型防御の違いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ゼロトラストは入口で1回チェックすれば、あとは中で自由にできる考え方だとされている
- ゼロトラストは社内にいても信用せず、アクセスのたびに毎回検証する点が境界型と違う
- ゼロトラストは画面を必ず点滅させるための専用の設定だとされているものなのである
- ゼロトラストは音を必ず二重に鳴らすための専用の機能だとされているものなのである
解答は 2 である。
ゼロトラストは、社内にいても信用せず、アクセスのたびに毎回検証する点が境界型とちがう。境界型は「入口で1回」だが、ゼロトラストは「そのつど」なのだ。
選択肢1の「入口で1回」は境界型の説明で誤りである。選択肢3・4の「点滅」「二重に鳴らす」も関係ない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 入口で1回は境界型の考え方 |
| 2 | ✓ | 社内でも信用せず毎回検証する |
| 3 | ✗ | 画面を点滅させる設定ではない |
| 4 | ✗ | 音を鳴らす機能ではない |
オリジナル問題3(ZTNAとVPN)
ZTNAとVPNの違いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ZTNAは画面を必ず点滅させる専用の設定だとされているもの
- ZTNAは音を必ず二重に鳴らすための専用の機能だとされているものなのである
- ZTNAはアプリ単位で認可し、VPNはネットワーク単位で入れる点が違う
- ZTNAは保存した文字を全部消すための専用の命令だとされているものなのである
解答は 3 である。
ZTNAはアプリ単位でアクセスを認可し、VPNはネットワーク単位で入れてしまう点がちがう。ZTNAのほうが細かく絞れるのだ。「ZTNA=VPN」と思い込まないことが大事である。
選択肢1・2の「点滅」「二重に鳴らす」、選択肢4の「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面を点滅させる設定ではない |
| 2 | ✗ | 音を鳴らす機能ではない |
| 3 | ✓ | ZTNAはアプリ単位・VPNはネットワーク単位 |
| 4 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 原則 = 「Never Trust, Always Verify」。内外を区別せず、すべてのアクセスをそのつど検証する。
- 🔴 ZTNAはアプリ単位 = ZTNAはアプリ単位で認可、VPNはネットワーク単位。ZTNAのほうが細かい。
- 🟡 標準と先駆け = NIST SP 800-207(2020年)で標準化。GoogleのBeyondCorp(2011年〜)が先駆け。
次に学ぶ
- SD-WAN・SASE ── ゼロトラストのセキュリティをSD-WANと統合したクラウドサービス。
- OSI参照モデル(7層) ── ネットワークの役割を層で整理した全体像。
執筆: SikakuQuest編集部