WAN最適化とは(全体像)
まずWAN(ワン)は、本社と遠くの支店のように、離れた拠点どうしをつなぐ広い範囲のネットワークのこと。距離が長く回線も細めなので、遅くなりがちだ。
そこで、その遅い遠距離通信を速く・効率よくするのがWAN最適化。ポイントは、回線を太くするのではなく、流すデータの量を減らして速く届ける、という発想にある。
押さえるのは、「量を減らす手法」と、よく混同されるQoSとの違いだ。
詳しく:手法とQoSとの違いを押さえる
ここが心臓部。WAN最適化のおもな手法は、データ量を減らす方向でそろっている。
WAN最適化のおもな手法
| 手法 | やること |
|---|---|
| 圧縮 | データを小さくまとめて送り、流す量を減らす |
| 重複排除 | 一度送ったのと同じデータは送らず、差分だけ送る |
| キャッシュ | よく使うデータを手元に置き、再送をへらす |
| プロトコル最適化 | やり取りの手順を効率化(TCPやファイル共有の高速化) |
これと混同しやすいのがQoS。両者は目的がちがう。
WAN最適化とQoSの違い
| WAN最適化 | QoS | |
|---|---|---|
| やること | データの量を減らして速く届ける | 通信に優先順位をつけて先に通す |
| たとえ | 荷物を軽くする | 急ぎの荷物を先に通す |
言葉を噛み砕いておく。
- 重複排除 … 前に送った箱とまったく同じ中身なら、もう一度送らずに「前のと同じ」と伝えるだけ。これで大きく量を減らせる。
- WAN最適化とQoSの関係 … WAN最適化は荷物そのものを減らす、QoSはどの荷物を先に通すか。並べて使うこともあるが、役割は別。
代表的な製品にはRiverbedなどがあるが、いまはSD-WANやSASEといった新しいしくみに統合されつつあり、WAN最適化だけの専用機は縮小傾向にある。
わかりやすく言い換えると
つまり、遠い支店へ毎日たくさんの荷物を送る配送便にたとえるとスッと入る。
道(回線)は細いので、そのままだと渋滞する。そこで、荷物を圧縮袋で小さくし(圧縮)、前と同じ箱はもう送らず「前のと同じ」と伝え(重複排除)、よく使う書類は支店に置いておく(キャッシュ)。こうして運ぶ量そのものを減らすのがWAN最適化だ。
これに対してQoSは、「救急の荷物を先に通す」という順番の話。荷物を減らすのか、順番を決めるのか——ここが両者のちがいになる。
試験のツボ
🔴 一番出る:WAN最適化のおもな手法
①圧縮・重複排除・キャッシュ=送る量を減らす
②プロトコル最適化=やり取りの手順を効率化
🔴 次に出る:QoSとの違い
①WAN最適化=データの量を減らす
②QoS=通信に優先順位をつける
🟡 押さえると安定:いまはSD-WAN・SASEへ統合され、WAN最適化専用機は縮小傾向
よくある間違い
①「WAN最適化とQoSは同じもの」→ ✗ WAN最適化は量を減らす技術、QoSは優先順位をつける技術。目的がちがう。
②「WAN最適化は回線そのものを太くする技術」→ ✗ 太くするのではなく、流すデータの量を減らして速くする。
③「WAN最適化専用機がいまの主流」→ ✗ いまはSD-WANやSASEに統合されつつあり、専用機は縮小傾向。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(WAN最適化の手法)
WAN最適化に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- WAN最適化は回線の物理的な太さを必ず二倍にする技術で、データの量を減らすこととは無関係とされている
- WAN最適化は圧縮や重複排除、キャッシュなどで流すデータの量を減らし、遠距離の通信を速くする技術である
- WAN最適化は通信に優先順位をつけて急ぎの通信を先に通す技術で、データの量を減らすことはしないとされる
- WAN最適化は通信を必ず暗号化するためだけの技術で、速度や帯域の効率とはまったく関係がないものとされる
解答は 2 である。
WAN最適化は、圧縮・重複排除・キャッシュなどで流すデータの量を減らし、遠距離の通信を速くする技術。回線を太くするのではなく、荷物そのものを軽くする発想だ。
選択肢1は「回線を二倍に太くする」が誤り。選択肢3はQoSの説明と取り違えている。選択肢4の「暗号化のためだけ」も誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 回線を太くするのではなく量を減らす |
| 2 | ✓ | 圧縮・重複排除・キャッシュで量を減らすで正しい |
| 3 | ✗ | 優先順位づけはQoSの役割 |
| 4 | ✗ | 暗号化のためだけの技術ではない |
オリジナル問題2(WAN最適化とQoSの違い)
WAN最適化とQoSの違いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- WAN最適化は流すデータの量を減らす技術で、QoSは通信に優先順位をつけて先に通す技術であり目的が違う
- WAN最適化もQoSもまったく同じ技術の別名で、やることにも目的にも違いはないものとされているのが実情だ
- WAN最適化は通信の優先順位をつける技術で、QoSはデータを圧縮して量を減らす技術であるとされている
- WAN最適化もQoSも社員の勤務時間を記録する人事のしくみで、通信の効率とはまったく関係がないとされる
解答は 1 だ。
WAN最適化はデータの量を減らす技術、QoSは通信に優先順位をつける技術。荷物を軽くするのか、順番を決めるのか、という目的のちがいで覚えるとよい。
選択肢2は「まったく同じ」が誤り。選択肢3は両者の役割を入れ替えてしまっている。選択肢4は勤務時間の記録と取り違えており誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 量を減らす(WAN最適化)と優先順位(QoS)で正しい |
| 2 | ✗ | 同じ技術ではなく目的が違う |
| 3 | ✗ | 役割が逆になっている |
| 4 | ✗ | 勤務時間の記録とは無関係 |
オリジナル問題3(WAN最適化の現状)
WAN最適化の現状に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- WAN最適化はクラウド時代に専用機の販売だけがいっそう拡大し、ほかの技術への統合は起きていないとされる
- WAN最適化は近年まったく使われなくなり、圧縮や重複排除という考え方そのものがすっかり消えてしまったとされている
- WAN最適化は法律で各社に導入が義務づけられた制度で、通信を速くする技術的なしくみとは無関係とされる
- WAN最適化の機能はSD-WANやSASEに統合されつつあり、専用機は縮小傾向だが手法自体は引き続き使われる
解答は 4 だ。
WAN最適化の機能は、いまはSD-WANやSASEといった新しいしくみに統合されつつある。専用機は縮小傾向だが、圧縮や重複排除といった手法そのものは引き続き使われている。
選択肢1は「専用機の販売だけが拡大」が誤りで、実際は統合が進む。選択肢2は「考え方が消えた」が誤り。選択肢3は法律で義務づけられた制度という誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 専用機は縮小傾向で、統合が進んでいる |
| 2 | ✗ | 手法そのものは引き続き使われている |
| 3 | ✗ | 法律の制度ではなく技術のしくみ |
| 4 | ✓ | SD-WAN・SASEへ統合・手法は継続で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 WAN最適化 = 遠距離の通信を、データ量を減らして速く届ける技術。圧縮・重複排除・キャッシュが中心。
- 🔴 QoSとの違い = WAN最適化は量を減らす、QoSは優先順位をつける。目的が別。
- 🟡 いまはSD-WAN・SASEへ統合され、専用機は縮小傾向。ただし手法自体は使われ続ける。
次に学ぶ
- SD-WAN・SASE ── WAN最適化の機能が統合されていく、いまの広域ネットワークのしくみ。
- QoS(DSCP・DiffServ) ── WAN最適化と混同しやすい、通信に優先順位をつけるしくみ。
- VPN詳細(WireGuard) ── 拠点と拠点を安全につなぐ、WANでよく使われるしくみ。
執筆: SikakuQuest編集部