QoSとは(全体像)
QoS(キューオーエス)は、通信の優先順位づけのこと。ネットワークが混んだとき、すべてを平等に遅らせるのではなく、遅れて困る通信を優先して通すしくみだ。
たとえば、ネット電話(VoIP)や動画、オンラインゲームは、ほんの少し遅れただけで品質がガクッと落ちる。一方で、メールやファイルのダウンロードは多少遅れても問題が小さい。そこで急ぎの通信を先に通すのがQoSの役目になる。
押さえる軸は、「印をつけて優先する」+「出しすぎを抑える」の2本立て。
詳しく:手法とモデルを押さえる
ここが心臓部。QoSの手法は、大きく次のように分かれる。
QoSのおもな手法
| 手法 | 内容(何をする) |
|---|---|
| 優先度制御(DSCP) | パケットに優先度のラベル(DSCP)を付け、印に従って先に通す |
| 帯域保証 | この通信に「最低これだけの道幅」を確保する |
| 輻輳(ふくそう)制御 | 混みそうなとき早めに一部を間引いて、全体の渋滞を防ぐ |
| 帯域制限:Shaping | 出しすぎた分を遅らせて平す(捨てずに待たせる) |
| 帯域制限:Policing | 出しすぎた分を捨てる(破棄する) |
優先度を「どう全体で扱うか」には、2つの考え方(モデル)がある。
QoSの2つのモデル
| モデル | やり方 | 向き |
|---|---|---|
| DiffServ | クラス(DSCPの印)ごとにまとめて優先する | 大規模向け・いまの主流 |
| IntServ | 通信ごとに事前に帯域を予約する | きめ細かいが大規模には不向き |
言葉を噛み砕いておく。
- DSCP … パケットに貼る「優先ステッカー」。6ビットなので最大64段階の区別ができる。ネット電話にはEFという低遅延クラスがよく使われる。
- DiffServ … ステッカーのランクごとに、まとめてさばく方式。台数が多くても回るので、いまの主流。
- IntServ … 1つの通信ごとに「この通信のために道を予約」する方式。丁寧だが、数が増えると管理しきれない。
- ShapingとPolicing … どちらも出しすぎを抑える方法。Shapingは待たせる(遅延)/Policingは捨てる(破棄)のがちがい。
わかりやすく言い換えると
つまり、QoSは道路の交通整理にたとえるとスッと入る。
混んだ道路で、救急車(急ぎの通信)を優先的に通すのがQoS。車に貼る優先ステッカーがDSCPで、ステッカーのランクごとにさばくのがDiffServ。「この1台のために車線を丸ごと予約」する丁寧すぎる方式がIntServで、台数が増えると回らなくなる。
入口の交通整理にも2種類ある。台数が多いとき、間隔を空けて少しずつ入れるのがShaping(待たせる)、量を超えた車は入れないのがPolicing(追い返す=捨てる)だ。
試験のツボ
🔴 一番出る:DSCPとDiffServ
①DSCP=パケットに付ける優先度のラベル(6ビット)
②DiffServ=クラスごとにまとめて優先する主流モデル
🔴 次に出る:ShapingとPolicingの違い
①Shaping=出しすぎを遅らせる(待たせる)
②Policing=出しすぎを捨てる(破棄)
🟡 押さえると安定:主流はIntServ(通信ごとに予約)ではなくDiffServ。VoIPなど遅延に弱い通信を優先する
よくある間違い
①「ShapingとPolicingは同じもの」→ ✗ Shapingは超過分を遅らせて待たせる、Policingは超過分を捨てる。結果がちがう。
②「QoSの主流はIntServ」→ ✗ 主流はDiffServ。IntServは通信ごとに予約する方式で、大規模には向かない。
③「DSCPは通信の中身を暗号化するしくみ」→ ✗ DSCPは優先度のラベル。暗号化とは別もの。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(DSCPとDiffServ)
QoSに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- DSCPは通信の中身をまるごと暗号化するためのしくみで、優先順位の制御にはまったく関わらないとされる
- DiffServは通信ごとに事前に帯域を予約する方式で、規模が大きくなるほどいっそう扱いやすくなるものとされる
- DSCPはパケットに付ける優先度のラベルで、DiffServはそのクラスごとにまとめて優先するモデルである
- QoSはすべての通信をまったく同じ優先度で扱うしくみで、急ぎの通信を先に通すことはできないとされる
解答は 3 である。
DSCPはパケットに付ける優先度のラベル(6ビット)で、DiffServはそのクラスごとにまとめて優先するモデル。これがいまの主流だ。
選択肢1はDSCPを暗号化と取り違えている。選択肢2はIntServの説明に近く、しかも大規模では扱いにくくなる。選択肢4はQoSの目的(優先順位づけ)を否定しており誤り。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | DSCPは優先度のラベルで暗号化ではない |
| 2 | ✗ | 予約方式はIntServで、大規模に不向き |
| 3 | ✓ | DSCP=ラベル・DiffServ=クラスで優先で正しい |
| 4 | ✗ | 急ぎの通信を優先するのがQoSの目的 |
オリジナル問題2(ShapingとPolicing)
帯域制限に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ShapingとPolicingはまったく同じ動きをする手法で、超過した通信の扱いに違いはないものとされている
- Shapingは出しすぎた分を遅らせて待たせる手法で、Policingは出しすぎた分を捨てる(破棄)手法である
- Shapingは通信を必ず暗号化する手法で、Policingは通信の経路をランダムに切り替える手法とされている
- ShapingもPolicingも通信量を増やすための手法で、混雑をわざと起こして速度を上げるものとされている
解答は 2 だ。
どちらも出しすぎを抑える方法だが、Shapingは遅らせて待たせる、Policingは捨てる(破棄)という違いがある。ここはよく問われる。
選択肢1は「同じ動き」が誤り。選択肢3は暗号化や経路切り替えと取り違えている。選択肢4は「通信量を増やす」が誤りで、どちらも出しすぎを抑える側の手法だ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 待たせるか捨てるかで動きが違う |
| 2 | ✓ | Shaping=遅延・Policing=破棄で正しい |
| 3 | ✗ | 暗号化や経路切り替えとは別もの |
| 4 | ✗ | 量を増やすのではなく抑える手法 |
オリジナル問題3(QoSのモデルと用途)
QoSのモデルと使いどころに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- QoSの主流は通信ごとに帯域を予約するIntServで、DiffServはほとんど使われなくなったとされている
- QoSはファイルのダウンロードだけを優先するしくみで、ネット電話や動画は対象外になるものとされる
- QoSを使うと通信の総量そのものが二倍に増えるため、混雑はどんな状況でも完全に解消するとされている
- QoSの主流はクラスごとに優先するDiffServで、ネット電話など遅延に弱い通信を先に通すために使われる
解答は 4 だ。
いまの主流はDiffServ(クラスごとに優先)。ネット電話(VoIP)や動画のように遅延に弱い通信を先に通すために使われる。
選択肢1は主流を逆にしている(IntServではなくDiffServ)。選択肢2は優先する相手を取り違えており、むしろ遅延に弱い通信こそ優先する。選択肢3は「総量が二倍」が誤りで、QoSは順番をさばくしくみだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 主流はDiffServで、逆になっている |
| 2 | ✗ | 遅延に弱いネット電話や動画こそ優先する |
| 3 | ✗ | 総量は増えない。順番をさばくしくみ |
| 4 | ✓ | DiffServ主流・遅延に弱い通信を優先で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 QoS = 通信に優先順位をつけて急ぎの通信を先に通すしくみ。DSCP=優先ラベル、DiffServ=クラスで優先する主流モデル。
- 🔴 帯域制限はShaping(遅らせる)とPolicing(捨てる)で結果がちがう。
- 🟡 主流はIntServ(予約方式)ではなくDiffServ。VoIPなど遅延に弱い通信を優先する。
次に学ぶ
- UDP詳細(QUIC基盤) ── QoSで優先されるネット電話や動画が使う、軽さ重視の通信のしくみ。
- TCP輻輳制御(CUBIC・BBR) ── 混雑を抑えるという点でQoSと並ぶ、通信側のしくみ。
- ネットワーク監視(SNMP・NetFlow・Zabbix) ── QoSが効いているか確かめるための、状態の見張り方。
執筆: SikakuQuest編集部