企業IoT・ローカル5Gとは(全体像)
工場などの産業の現場でも、機械にセンサーを付けてインターネットにつなぎ、データを集めて活用する動きが進んでいる。これを産業IoT(IIoT)といい、その大きな流れがIndustry 4.0。
Industry 4.0は、ドイツが2011年ごろに打ち出した「第4次産業革命」のこと。工場をまるごとデジタルでつなぎ、自動化・最適化していく構想だ。
ここで注意。似た言葉に日本のSociety 5.0がある。これは日本が掲げる「超スマート社会」の構想で、社会全体をデジタルで豊かにするねらい。Industry 4.0(ドイツの産業革命)とSociety 5.0(日本の社会構想)は別もの。「Industry 4.0=Society 5.0」と思うのは誤り。
詳しく:産業IoTの4大要素とローカル5G
ここが心臓部。まず産業IoTの4大要素を表で押さえる。
産業IoTの4大要素(Industry 4.0)
| 要素 | 何をする | かみくだくと |
|---|---|---|
| スマートファクトリー | 設備をセンサー化しAIで最適化 | 賢い工場 |
| デジタルツイン | 現実をそっくり再現してシミュレーション | コンピュータ上の双子 |
| 予知保全 | 故障の予兆を検知して対処 | 壊れる前に手を打つ |
| 自営網 | 低遅延・大容量の専用通信 | 自前の高速通信(ローカル5G) |
とくに試験で問われるのがデジタルツインと予知保全。
- デジタルツインは、現実の設備や工場を、コンピュータの中にそっくり再現したもの。本物を動かす前に、双子(ツイン)で試して結果を予測できる。
- 予知保全は、機械学習などで故障の予兆を見つけ、壊れる前に対処すること。壊れてから直す(事後保全)でも、決まった時期に点検する(定期保全)でもなく、「予兆をつかんで先回り」するのが特徴。
そして、これらを支える通信がローカル5G。
ローカル5Gと公衆5Gの違い
| 種類 | 誰が使う・作る | 特徴 |
|---|---|---|
| ローカル5G | 企業が自分の敷地に専用で構築 | 工場・港湾などで低遅延・大容量 |
| 公衆5G | 通信事業者(キャリア)が提供 | 一般の人が広く使う |
ローカル5Gは、企業が自分の工場や敷地に、専用で作る5Gのこと。総務省の制度により導入が進んでいる。一般の人がキャリアと契約して使う公衆5Gとは別もので、「ローカル5G=公衆5G」と思うのは誤り。自前で作るから、工場内の低遅延・大容量通信に使える。
わかりやすく言い換えると
要するに、Industry 4.0は「工場のデジタル大改革(ドイツ発)」、ローカル5Gは「会社の敷地内だけの自前の高速通信」だとイメージするとラク。
つまり、デジタルツインは「現実の双子をパソコンの中に作って試す」、予知保全は「壊れそうな気配を察して先に直す」。どちらも本物が止まる前に手を打つ賢いやり方。
そして、ローカル5Gは「自分の工場専用のWi-Fiの超強力版」のイメージ。みんなが使う公衆5Gとは別に、自分の敷地内だけで使える、というわけ。
試験のツボ
🔴 一番出る:Industry 4.0とSociety 5.0は別
①Industry 4.0=ドイツ発の第4次産業革命(工場のデジタル化)
②Society 5.0=日本の超スマート社会構想。両者は別もの
🔴 次に出る:予知保全とデジタルツイン
①予知保全=故障の予兆を検知して壊れる前に対処(事後・定期保全とは違う)
②デジタルツイン=現実をコンピュータ上にそっくり再現してシミュレーション
🟡 押さえると安定:ローカル5G
ローカル5G=企業が自分の敷地に作る専用5G。通信事業者が提供する公衆5Gとは別もの。
よくある間違い
①「Industry 4.0とSociety 5.0は同じものだ」→ ✗ Industry 4.0はドイツの第4次産業革命、Society 5.0は日本の超スマート社会構想で別もの。
②「ローカル5Gと公衆5Gは同じものだ」→ ✗ ローカル5Gは企業が自分の敷地に作る専用、公衆5Gは通信事業者が提供する一般向け。
③「予知保全とは、機械が壊れてから修理することだ」→ ✗ 予知保全は故障の予兆を検知して、壊れる前に手を打つこと。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(Industry 4.0)
Industry 4.0に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- Industry 4.0は日本が掲げる超スマート社会の構想で、Society 5.0の正式名称であるとされている
- Industry 4.0は工場とは無関係に音楽を配信するサービスのことで、産業とは関係がないものとされる
- Industry 4.0はドイツ発の第4次産業革命で、工場などをIoTやAIでつなぐ動きを指すものである
- Industry 4.0は紙の帳簿を手作業で集計する古い方式のことで、デジタル化とは無関係なものとされる
解答は 3 だ、わが子よ。
Industry 4.0は、ドイツ発の第4次産業革命で、工場などをIoTやAIでつなぎ自動化・最適化する動きを指す。日本のSociety 5.0とは別ものぞ。
選択肢1は「Society 5.0の正式名称」が誤り、選択肢2は「音楽配信」が誤り、選択肢4は「紙の帳簿の集計」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | Society 5.0とは別もの |
| 2 | ✗ | 音楽配信サービスではない |
| 3 | ✓ | ドイツ発の第4次産業革命で正しい |
| 4 | ✗ | 紙の帳簿の集計のことではない |
オリジナル問題2(予知保全)
予知保全に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 予知保全とは、機械が完全に壊れてから修理を始めることだけを指すものとされているものである
- 予知保全とは、機械学習などを使い故障の予兆を検知し、壊れる前に対処することを指すものである
- 予知保全とは、機械を絶対に点検せず、故障してもいっさい手を打たないことを指すものとされる
- 予知保全とは、社員の出社時刻を予測して記録する勤怠管理のしくみのことを指すものとされている
解答は 2 だ。
予知保全は、機械学習などで故障の予兆を検知し、壊れる前に対処することである。壊れてから直す事後保全とは違い、予兆をつかんで先回りするのが特徴ぞ、わが子よ。
選択肢1は「壊れてから修理」が誤り、選択肢3は「手を打たない」が誤り、選択肢4は「勤怠管理」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 壊れてから直すのは事後保全 |
| 2 | ✓ | 故障の予兆を検知し壊れる前に対処し正しい |
| 3 | ✗ | 手を打たないのではなく先回りする |
| 4 | ✗ | 勤怠管理のしくみではない |
オリジナル問題3(ローカル5G)
ローカル5Gに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ローカル5Gは通信事業者が一般向けに提供する公衆5Gとまったく同じもので、違いはないとされる
- ローカル5Gは電波をいっさい使わず、紙の伝言だけで連絡を取り合うしくみのことを指すとされる
- ローカル5Gは家庭だけが契約できる通信で、工場や企業では使えないものとされているものである
- ローカル5Gは企業が自分の工場や敷地に専用で構築する5Gのことで、公衆5Gとは別ものである
解答は 4 だ、わが子よ。
ローカル5Gは、企業が自分の工場や敷地に専用で作る5Gで、通信事業者が一般向けに提供する公衆5Gとは別ものである。自前ゆえ工場内の低遅延・大容量通信に使えるのぞ。
選択肢1は「公衆5Gと同じ」が誤り、選択肢2は「電波を使わず紙の伝言」が誤り、選択肢3は「家庭だけ・工場で使えない」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 公衆5Gとは別もの |
| 2 | ✗ | 電波を使う通信である |
| 3 | ✗ | 工場や企業が使う専用5G |
| 4 | ✓ | 企業が敷地に作る専用5Gで公衆5Gと別で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 Industry 4.0とSociety 5.0は別 … Industry 4.0=ドイツ発の第4次産業革命、Society 5.0=日本の超スマート社会構想。
- 🔴 予知保全とデジタルツイン … 予知保全=故障の予兆を検知し壊れる前に対処。デジタルツイン=現実をそっくり再現してシミュレーション。
- 🟡 ローカル5G … 企業が自分の敷地に作る専用5G。通信事業者が提供する公衆5Gとは別もの。
次に学ぶ
- 5G・6G・ローカル5G ── 通信規格としての5Gの基礎。ローカル5Gの土台になるしくみ。
- エッジコンピューティング ── 工場の現場で低遅延に処理する考え方。産業IoTやローカル5Gと相性がよい。
執筆: SikakuQuest編集部