確率分布とは(全体像)
確率分布は、起こりうる値の一つひとつに「その確率」をひもづけた対応表のこと。「次にどの値が出やすいか」を全体として表す。
たとえばコインを10回投げると、表の回数は0〜10回のどれか。直感どおり「5回あたりが出やすく、0回や10回はめったにない」。これを数式とグラフにしたものが確率分布だ。
まず大きく2つに分かれる。
- 離散分布 … 値が飛び飛び(0回・1回・2回…、人数など)。
- 連続分布 … 値がなめらかに連続(身長・待ち時間など)。
そして、分布の特徴を表す代表的な数値が期待値(平均的にどのくらいか)と分散(どれくらいばらつくか)。試験ではこの2つがよく問われる。
詳しく:この3つの分布だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。主役の分布を整理する。
主要な確率分布
| 分布 | タイプ | どんなとき | 例 |
|---|---|---|---|
| 二項分布 | 離散 | 成功か失敗かをn回くりかえす | コイン投げ・合格者数 |
| ポアソン分布 | 離散 | 稀な事象が起きる回数 | 1時間の着信数 |
| 正規分布 | 連続 | 平均のまわりに釣鐘型で散らばる | 身長・テストの点数 |
二項分布は「成功か失敗か」を何回もくりかえすとき(コイン投げが典型)。試行回数n・成功確率pで決まり、期待値はnp、分散はnp(1−p)。
ポアソン分布は「めったに起きないことが、ある時間に何回起きるか」(コールセンターの着信数など)。ここが大事なポイントで、期待値と分散が等しく、どちらもλ(ラムダ)になる。つまり、ポアソン分布だけは期待値と分散がそろう、と覚えておくと得をする。
正規分布は、平均を中心に左右対称の釣鐘型になる連続分布(身長やテストの点数)。たくさんのデータの平均はこの正規分布に近づく、という中心極限定理がよく出る。
期待値と分散(ここが頻出)
| 分布 | 期待値 | 分散 |
|---|---|---|
| 二項分布 | np | np(1−p) |
| ポアソン分布 | λ | λ(期待値と同じ) |
このほか、離散には幾何分布(初めて成功するまでの回数)・超幾何分布(玉を戻さず取り出す)、連続には指数分布(到着間隔)などがある。
わかりやすく言い換えると
要するに、確率分布は「出やすさの地図」だ。
①二項分布 … コイン投げで「表が何回出る?」の地図(5回あたりが山)
②ポアソン分布 … 「めったにないこと」が時間内に何回起きるかの地図(着信・事故件数)
③正規分布 … 身長やテストの点のように、平均のまわりに山ができる釣鐘型の地図
期待値は「平均してどのくらい」、分散は「どれくらいばらつくか」のイメージ。ポアソン分布だけは、この2つがそろってλになる、と覚えると速い。
試験のツボ
🔴 一番出る:3つの分布の見分け
①二項分布=成功か失敗かをn回くりかえす(コイン投げ型)
②ポアソン分布=稀な事象の発生回数
③正規分布=平均のまわりの釣鐘型(連続)
🔴 次に出る:期待値と分散
①二項分布=期待値np・分散np(1−p)
②ポアソン分布=期待値と分散がどちらもλ
🟡 押さえると安定:離散か連続か
①回数・人数なら離散(二項・ポアソン)
②身長・時間なら連続(正規)。中心極限定理もここ
よくある間違い
①「二項分布は連続分布である」→ ✗ 二項分布は回数を数える離散分布。連続なのは正規分布。
②「ポアソン分布の分散は期待値の2乗になる」→ ✗ ポアソン分布は期待値も分散もλで等しい。
③「正規分布は飛び飛びの値(離散)をとる」→ ✗ 正規分布は連続分布。なめらかな釣鐘型になる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(分布の見分け)
コールセンターにかかってくる1時間あたりの着信数のように、稀な事象の発生回数を表すのに適した分布はどれか。
- 身長やテストの点数のように平均のまわりに釣鐘型で散らばる、正規分布が適する
- 稀な事象の発生回数を表すのに適しており、期待値と分散が等しいポアソン分布だ
- 成功か失敗かをn回くりかえしたときの成功回数を表す、二項分布が最も適する
- とりうる値がなめらかに連続し、到着の間隔を表すのに使われる指数分布である
解答は 2 だぜ。
稀な事象が時間内に何回起きるかはポアソン分布。着信数や事故件数が典型例で、期待値と分散がどちらもλになるのが特徴だ。
選択肢1の正規分布は釣鐘型の連続分布。選択肢3の二項分布はコイン投げ型。選択肢4の指数分布は「間隔」を表すもので、「回数」のポアソンとは別だぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 正規分布は釣鐘型の連続分布 |
| 2 | ✓ | 稀な事象の回数=ポアソン分布 |
| 3 | ✗ | 二項分布は成功回数を表す |
| 4 | ✗ | 指数分布は回数でなく間隔を表す |
オリジナル問題2(期待値と分散)
n回の試行で成功確率がpの二項分布の期待値と分散に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 二項分布の期待値はnpだが、分散についてはどんな場合も0で一定の値になる
- 二項分布の期待値も分散もλで等しく、ポアソン分布とまったく同じ値になる
- 二項分布の期待値はn+p、分散はn−pで、足し引きによって求められる値である
- 二項分布の期待値はnp、分散はnp(1−p)で表され、pが0.5のとき最大だ
解答は 4 だぜ。
二項分布は期待値np・分散np(1−p)。「1時間にコインを何回投げて何回表か」を思えば、回数nと確率pで決まるのが分かるはずだ。
選択肢1は「分散がつねに0」が誤り。選択肢2はポアソン分布(E=V=λ)の話を混同。選択肢3の「n+p」「n−p」は公式の形が違う誤りだぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 分散は0ではなくnp(1−p) |
| 2 | ✗ | E=V=λはポアソン分布 |
| 3 | ✗ | 公式の形が違う |
| 4 | ✓ | 期待値np・分散np(1−p)で正しい |
オリジナル問題3(離散と連続)
確率分布の分類に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 二項分布やポアソン分布は離散分布、正規分布は連続分布に分類される
- 二項分布もポアソン分布も正規分布も、すべて連続分布に分類されている
- 正規分布は飛び飛びの値しかとらない離散分布の代表例だとされている
- 確率分布に離散と連続の区別はなく、どれも同じ種類として扱ってよい
解答は 1 だぜ。
回数を数える二項分布・ポアソン分布は離散分布、なめらかな釣鐘型の正規分布は連続分布だ。まず「離散か連続か」を見抜くのが分布攻略の第一歩だぜ。
選択肢2は「すべて連続」が誤り。選択肢3は正規分布を離散としている誤り。選択肢4は「区別がない」が誤りだぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 二項・ポアソンは離散、正規は連続 |
| 2 | ✗ | 二項・ポアソンは離散 |
| 3 | ✗ | 正規分布は連続分布 |
| 4 | ✗ | 離散と連続の区別はある |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 3つの分布 = 二項(コイン投げ型・離散)/ポアソン(稀な事象の回数・離散)/正規(釣鐘型・連続)。
- 🔴 期待値と分散 = 二項はnp・np(1−p)、ポアソンは期待値も分散もλ。
- 🟡 離散か連続か = 回数・人数は離散、身長・時間は連続。中心極限定理は正規分布の話。
次に学ぶ
- 順列・組合せ(nPr・nCr) ── 確率を計算する土台になる「場合の数」。何通りあるかが分かると、確率がぐっと身近になる。
- 統計の基礎(平均・分散・標準偏差) ── 期待値や分散の考え方を、実際のデータに当てはめる話。確率分布とセットで理解が深まる。
執筆: SikakuQuest編集部