画像音声符号化とは(全体像)
画像音声符号化は、写真・動画・音声などのデータを、できるだけ小さくするための決まった方式(規格)のこと。そのままだと巨大なメディアデータを、保存や配信に耐える大きさに圧縮する。
ポイントは、用途ごとに代表的な規格が決まっていること。「写真ならこれ、動画ならこれ、音声ならこれ」と対応で覚えるのが近道だ。
そして、圧縮できる理由は冗長(むだ)を削っているから。たとえば動画は、前のコマと次のコマがほとんど同じなら「変わった部分だけ」記録すればいい。こうしたむだの削り方が圧縮の核心だ。
詳しく:用途別の規格と冗長除去だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。まずは用途と代表規格。
用途別の代表規格
| 種類 | 可逆(完全復元) | 非可逆(劣化するが小さい) |
|---|---|---|
| 画像 | PNG(透過対応) | JPEG(写真の定番) |
| 音声 | FLAC | MP3・AAC |
| 動画 | — | H.264・H.265・AV1 |
写真はJPEG(非可逆)、透過したい画像はPNG(可逆)、音声はMP3(非可逆)かFLAC(可逆)。動画はH.264が広く普及し、H.265はその半分くらいのデータ量で同じ画質(4K・8K向き)。AV1は無料で使える新しい規格だ。
次に、圧縮を支える冗長(むだ)の削り方。
3つの冗長除去
| 種類 | 何をする |
|---|---|
| 時間の冗長 | 動画で前後のコマが似ていれば、差分だけ記録 |
| 空間の冗長 | 隣どうしの画素が似ていれば、まとめて表す(DCTで周波数に変換) |
| 知覚の限界 | 人が気づきにくい成分を削る(非可逆の根拠) |
JPEGは、画像をDCT(離散コサイン変換)で周波数のかたちに直し、目立たない細かい成分を削って小さくする。MP3は、人の耳に聞こえにくい音を削る。動画は、コマどうしの差分だけを送って大きく縮める。つまり、どれも「人が気づきにくいむだ」を見つけて削っている、というわけだ。
わかりやすく言い換えると
要するに、圧縮は「むだを上手にカットして軽くする」ことだ。
①時間の冗長 … パラパラ漫画で、動いた部分だけ描き直す(背景は使い回す)
②空間の冗長 … 青空のように似た色が続く部分を、ひとまとめにする
③知覚の限界 … 人の目や耳が気づかない細部は、思いきって省く
用途ごとに主役が違うのは、「写真・音楽・動画でむだの出方が違う」から。だからJPEG・MP3・H.264のように、それぞれ専用の規格が用意されている、というわけだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:用途と代表規格の対応
①写真=JPEG(非可逆)/PNG(可逆・透過)
②音声=MP3(非可逆)/FLAC(可逆)
③動画=H.264・H.265(H.265は半分のデータ量で同画質)
🔴 次に出る:圧縮の核心は冗長除去
①時間の冗長=動画で差分だけ記録
②空間の冗長=隣の似た画素をまとめる(DCT)
🟡 押さえると安定:知覚の限界を使う
①人が気づきにくい成分を削るのが非可逆の根拠
②JPEGはDCT、MP3は心理(聞こえにくい音を削る)
よくある間違い
①「MP3は圧縮していない(非圧縮の)形式である」→ ✗ MP3は非可逆圧縮。聞こえにくい音を削って小さくしている。
②「JPEGは可逆圧縮なので画質は一切劣化しない」→ ✗ JPEGは非可逆。可逆で透過したいならPNGを使う。
③「動画圧縮では毎フレームを丸ごと記録している」→ ✗ 前後のコマの差分だけを記録して大きく縮めている。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(用途と規格)
画像音声の符号化規格に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- JPEGは音声の圧縮規格で、FLACは動画の圧縮規格として広く使われている
- PNGは動画専用の非可逆圧縮で、写真の保存にはまったく向かない規格である
- JPEGは写真の非可逆圧縮、MP3は音声の非可逆圧縮として広く使われている
- MP3は画像の可逆圧縮で、保存しても画質はまったく劣化しない規格である
解答は 3 だぜ。
JPEGは写真の非可逆圧縮、MP3は音声の非可逆圧縮だ。「写真=JPEG・音声=MP3」の対応をまず押さえとけ。
選択肢1はJPEGを音声・FLACを動画としていて誤り。選択肢2はPNGを動画専用とする誤り。選択肢4はMP3を画像の可逆圧縮とする誤りだぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | JPEGは画像、FLACは音声 |
| 2 | ✗ | PNGは画像の可逆圧縮 |
| 3 | ✓ | JPEG=写真・MP3=音声で正しい |
| 4 | ✗ | MP3は音声の非可逆圧縮 |
オリジナル問題2(冗長除去)
動画圧縮のしくみに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 前後のコマがよく似ているとき、差分だけを記録して動画を大きく縮めている
- 毎フレームを1枚ずつ丸ごと記録するので、圧縮はまったくできないとされる
- 動画は音声と同じ方式で圧縮され、画像のフレームは記録しない仕組みである
- 動画圧縮では人が気づく成分から先に削るため、必ず画質が大きく劣化する
解答は 1 だぜ。
動画は前後のコマが似ていれば、変わった部分(差分)だけを記録して大きく縮める。パラパラ漫画で背景を使い回し、動いた部分だけ描き直すイメージだな。
選択肢2は「丸ごと記録・圧縮できない」が誤り。選択肢3は「音声と同じ・フレームを記録しない」が誤り。選択肢4は「人が気づく成分から削る」が逆で、気づきにくい成分を削るぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 前後の差分だけ記録して縮める |
| 2 | ✗ | 差分記録で圧縮できる |
| 3 | ✗ | フレーム(画像)も扱う |
| 4 | ✗ | 気づきにくい成分から削る |
オリジナル問題3(規格の特徴)
符号化規格の特徴に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- H.265はH.264よりずっと多くのデータ量が必要で、画質も大きく劣るとされる
- FLACは非可逆圧縮なので、再生のたびに音質が少しずつ落ちていく規格である
- PNGは非可逆圧縮で、保存を繰り返すほど透過部分が消えていく規格である
- H.265はH.264の半分ほどのデータ量で同じ画質を出せ、4K・8Kに向く
解答は 4 だぜ。
H.265はH.264の半分ほどのデータ量で同じ画質を出せる、効率の良い動画規格だ。だから4Kや8Kといった高精細の動画に向いているんだな。
選択肢1はH.265を「多くのデータ量・画質が劣る」とする誤り(逆)。選択肢2はFLACを非可逆とする誤り(可逆)。選択肢3はPNGを非可逆とする誤りだぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | H.265のほうが少ないデータ量で済む |
| 2 | ✗ | FLACは可逆で劣化しない |
| 3 | ✗ | PNGは可逆圧縮 |
| 4 | ✓ | H.265は半分のデータ量で同画質 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 用途と規格 = 写真=JPEG(非可逆)/PNG(可逆)、音声=MP3(非可逆)/FLAC(可逆)、動画=H.264・H.265。
- 🔴 圧縮の核心 = 冗長(むだ)を削る。動画は前後の差分、画像は隣の似た画素(DCT)。
- 🟡 知覚の限界 = 人が気づきにくい成分を削るのが非可逆の根拠(JPEGはDCT、MP3は聞こえにくい音)。
次に学ぶ
- データ圧縮(可逆・非可逆) ── JPEGやMP3が属する「非可逆/可逆」という大きな枠組み。圧縮全体の見取り図がつかめる。
- 解像度とビット深度 ── 画像の細かさと色の段階を決める基礎。符号化の前提になる画像データの知識として押さえたい。
執筆: SikakuQuest編集部