データ圧縮とは(全体像)
データ圧縮は、むだを省いてデータの量を減らすこと。ファイルを軽くして、保存スペースや通信量を節約できる。
いちばん大事な区別が、圧縮したものを元どおりに戻せるかどうか。
- 可逆圧縮 … 縮めても完全に元に戻せる。1ビットも変わらない。
- 非可逆圧縮 … 戻すと少し劣化している(捨てた情報は戻らない)。そのぶん大きく縮む。
文書やプログラムは1文字でも変わると困るので可逆、写真や音楽は人が気づきにくい部分を削って小さくできるので非可逆が向いている。
詳しく:この使い分け表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。2タイプを代表方式と一緒に整理する。
可逆圧縮と非可逆圧縮
| 可逆圧縮 | 非可逆圧縮 | |
|---|---|---|
| 元に戻せる? | 完全に戻せる | 戻せない(劣化する) |
| 圧縮の効き | ほどほど | 大きく縮む |
| 代表例 | ZIP・PNG(画像)・FLAC(音楽) | JPEG(写真)・MP3(音楽)・動画 |
| 向くもの | 文書・プログラム | 写真・音楽・動画 |
可逆圧縮は、「同じデータの繰り返し」をまとめたり、よく出るパターンを短い符号に置きかえたりして縮める。代表的なしくみがハフマン符号化(よく出る文字を短い符号に)や、繰り返しを見つける辞書式の方法だ。
非可逆圧縮は、人間が気づきにくい情報を思いきって捨てる。写真なら、目立たない細かい模様(高い周波数の成分)を削る——この変換のしくみをDCT(離散コサイン変換)といい、JPEGの心臓部だ。音楽(MP3)も、人の耳に聞こえにくい音を削って小さくする。
つまり、可逆は完全だが縮みはほどほど、非可逆は劣化するが大きく縮む。これがトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)だ。
わかりやすく言い換えると
要するに、圧縮は「荷物のまとめ方」だ。
①可逆圧縮 … 服をていねいにたたんで詰める(広げれば完全に元どおり)
②非可逆圧縮 … かさばる部分を思いきって捨てて小さくする(戻すと少し足りないが、すごく軽い)
JPEGやMP3が非可逆なのは、「人が気づかない細部なら、捨てても困らない」という割り切りがあるから。逆に、契約書のような文書を非可逆で縮めたら大問題——だから文書はZIP(可逆)を使う、というわけだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:可逆と非可逆の区別
①可逆=完全に元に戻せる(ZIP・PNG)
②非可逆=劣化するが大きく縮む(JPEG・MP3)
🔴 次に出る:代表方式の対応
①写真・音楽・動画=非可逆(JPEG・MP3など)
②文書・プログラム=可逆(ZIPなど)
🟡 押さえると安定:非可逆の中身
①DCT(離散コサイン変換)で目立たない成分を削る
②MP3は人の耳に聞こえにくい音を削る
よくある間違い
①「圧縮はすべて元に戻せる(すべて可逆)」→ ✗ 非可逆圧縮もある。JPEGやMP3は元には完全には戻らない。
②「JPEGは可逆圧縮である」→ ✗ JPEGは非可逆。DCTで細部を削って大きく縮めている。
③「可逆圧縮のほうが非可逆より大きく縮む」→ ✗ ふつうは逆。大きく縮むのは劣化を許す非可逆のほう。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(可逆と非可逆)
データ圧縮の可逆・非可逆に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 可逆圧縮は元のデータを完全には戻せず、わずかに劣化してしまう圧縮である
- 可逆圧縮は元のデータを完全に戻せ、非可逆圧縮は戻すと少し劣化してしまう
- 非可逆圧縮は元のデータを1ビットの違いもなく完全に復元できる圧縮である
- 可逆も非可逆も元には戻せない点で同じで、圧縮率だけが違っているものだ
解答は 2 だぜ。
可逆圧縮は完全に元へ戻せる(ZIP・PNG)、非可逆圧縮は戻すと少し劣化する(JPEG・MP3)。元に戻せるかどうかが決定的な違いだ。
選択肢1は可逆を「劣化する」とする誤り。選択肢3は非可逆を「完全復元」とする誤り。選択肢4は「どちらも戻せない」が誤りで、可逆は戻せるぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 可逆は完全に戻せる |
| 2 | ✓ | 可逆=完全復元、非可逆=劣化で正しい |
| 3 | ✗ | 非可逆は完全には戻せない |
| 4 | ✗ | 可逆は元に戻せる |
オリジナル問題2(代表方式)
圧縮方式とその分類に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ZIPは非可逆圧縮なので、解凍すると元のファイルがわずかに劣化してしまう
- PNG画像は非可逆圧縮で、保存するたびに少しずつ画質が落ちていく方式である
- JPEGもMP3も可逆圧縮なので、何度保存し直しても劣化はまったく起こらない
- JPEGやMP3は非可逆圧縮で、ZIPやPNGは元に戻せる可逆圧縮である
解答は 4 だぜ。
JPEG・MP3は非可逆(劣化するかわりに大きく縮む)、ZIP・PNGは可逆(完全に戻せる)だ。写真・音楽は非可逆、文書はZIPと覚えとけ。
選択肢1はZIPを非可逆とする誤り。選択肢2はPNGを非可逆とする誤り。選択肢3はJPEG・MP3を可逆とする誤りだぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | ZIPは可逆で劣化しない |
| 2 | ✗ | PNGは可逆圧縮 |
| 3 | ✗ | JPEG・MP3は非可逆 |
| 4 | ✓ | JPEG・MP3=非可逆、ZIP・PNG=可逆 |
オリジナル問題3(非可逆のしくみ)
非可逆圧縮のしくみに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 人が気づきにくい成分を削って大きく縮め、JPEGはDCTという変換を使う
- すべての情報を保ったまま縮めるので、元のデータと完全に同じものに戻せる
- 文書やプログラムの圧縮に最も向いており、1文字の違いも生じない方式である
- 圧縮率は可逆圧縮より必ず低く、ファイルはほとんど小さくならない方式である
解答は 1 だぜ。
非可逆圧縮は人が気づきにくい成分を思いきって削って大きく縮める。写真のJPEGはDCT(離散コサイン変換)で目立たない細部を削るのが核心だ。
選択肢2は「完全に戻せる」で可逆の説明。選択肢3は「文書向き・1文字も変わらない」で可逆の特徴。選択肢4は「圧縮率が必ず低い」が逆だぜ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 目立たない成分を削る・JPEGはDCT |
| 2 | ✗ | 完全に戻せるのは可逆 |
| 3 | ✗ | 文書向きで無劣化なのは可逆 |
| 4 | ✗ | 非可逆のほうが大きく縮む |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 可逆と非可逆 = 可逆は完全に戻せる(ZIP・PNG)、非可逆は劣化するが大きく縮む(JPEG・MP3)。
- 🔴 代表方式 = 写真・音楽・動画は非可逆、文書・プログラムは可逆。
- 🟡 非可逆の中身 = JPEGはDCTで目立たない成分を削る。MP3は聞こえにくい音を削る。
次に学ぶ
- ハフマン符号化 ── 可逆圧縮で使われる代表手法。「よく出る文字に短い符号」という発想で、可逆圧縮の中身が具体的になる。
- 標本化定理(ナイキスト) ── 音や画像をデジタルにするときのルール。デジタル化した後に圧縮する、という流れでつながる。
執筆: SikakuQuest編集部