DHCP・NATとは(全体像)
DHCPとは、機器がネットワークにつながるとき、IPアドレス(住所)を自動で割り当ててくれるしくみである。手で設定しなくても、つなぐだけで住所が決まる。
身近にたとえると、会場の受付係のようなもの。来た人に「あなたの席は○番です」と自動で割り当てる——それがDHCPだ。
一方NATは、家の中で使う「プライベートIP」と、外向けの「グローバルIP」を変換するしくみである。家の内線番号を、外の代表電話番号に変換するイメージだ。押さえるのは、DHCPのDORAと、NATの中でもよく使うNAPTである。
詳しく:DORAとNAPTだけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。まずDHCPの手順「DORA」を見ていくのだ。
DHCPの4段階(DORA)
| 順 | 段階 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | Discover | 機器が「IPをください」と探す |
| 2 | Offer | サーバーが「これはどう?」と提案 |
| 3 | Request | 機器が「それをください」と要求 |
| 4 | Ack | サーバーが「確定」と返す |
頭文字をとってDORAと覚えるとよい。次に、NATの種類である。
NATの種類
| 種類 | 対応 |
|---|---|
| 静的NAT | 1対1で対応づける(サーバー公開など) |
| NAPT(PAT) | ポート番号を使い、1つの代表IPで多くの機器をつなぐ(多対1) |
ここでひっかけが「NATはいつも1対1だ」という誤解である。NAPT(PAT)は、ポート番号を組み合わせて、1つの代表IPで多くの機器を同時につなぐ(多対1)。家庭のルータはこの方式が主流だ。
もう1つのひっかけが「IPv6でもNATが必須」という誤解だ。NATはIPv4の住所不足をしのぐ工夫であって、住所が広大なIPv6ではNATは不要である。
わかりやすく言い換えると
要するに、受付係と内線電話でイメージするとよい。
①DHCP … 来た人に席(IP)を自動で割り当てる受付係(手順はDORA)
②NAPT … 1つの代表電話番号で、内線番号(ポート)を組み合わせて多くの機器を外とつなぐ
③IPv6でNAT不要 … 住所が広大なので、住所不足をしのぐNATが要らない
つまり、DHCPはDORAの4段階、NAPTは多対1、IPv6ではNAT不要。ここが試験の急所である。
試験のツボ
🔴 一番出る:DHCPはDORAの4段階
①Discover→Offer→Request→Ackの順
②頭文字で「DORA」と覚える
🔴 次に出る:NAPTは多対1
①ポート番号を使い、1つの代表IPで多くの機器をつなぐ
②NATはいつも1対1ではない(家庭ルータはNAPTが主流)
🟡 押さえると安定:IPv6ではNAT不要
①NATはIPv4の住所不足をしのぐ工夫
②IPv6は住所が広大なのでNATは不要
よくある間違い
①「NATはいつも1対1で対応づける」→ ✗ NAPT(PAT)はポート番号を使い、1つの代表IPで多くの機器をつなぐ(多対1)。
②「IPv6でもNATは必須である」→ ✗ NATはIPv4の住所不足をしのぐ工夫。住所が広大なIPv6では不要。
③「DHCPは手でIPアドレスを1台ずつ設定するしくみである」→ ✗ DHCPは自動で割り当てるしくみ。手動設定とは逆。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(DHCP)
DHCPに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- DHCPは画面の明るさを段階で細かく決めるための専用の設定だとされているものなのである
- DHCPはIPアドレスを機器に自動で割り当てるしくみで、手順はDORAの4段階である
- DHCPは音の大きさを段階で決めるための専用の機能だとされているものなのである
- DHCPは保存した文字を全部消すための専用の命令だとされているものなのである
解答は 2 である。
DHCPは、IPアドレスを機器に自動で割り当てるしくみで、手順はDORA(Discover→Offer→Request→Ack)の4段階である。会場の受付係が席を自動で割り当てるイメージなのだ。
選択肢1・3・4の「明るさ」「音の大きさ」「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面の明るさの設定ではない |
| 2 | ✓ | IPを自動割り当て・手順はDORA |
| 3 | ✗ | 音の大きさの機能ではない |
| 4 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
オリジナル問題2(NAPT)
NAT・NAPTに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- NATは画面を必ず点滅させるためだけに使う専用の設定だとされているものなのである
- NATは音を必ず二重に鳴らすための専用の機能だとされているものなのである
- NATは保存した文字を全部消すための専用の命令だとされているものなのである
- NAPTはポート番号を使い、1つの代表IPで多くの機器を同時につなぐ(多対1)
解答は 4 である。
NAPT(PAT)は、ポート番号を使い、1つの代表IPで多くの機器を同時につなぐ(多対1)。家庭のルータはこの方式が主流だ。「NATはいつも1対1」という思い込みがひっかけなのだ。
選択肢1・2・3の「点滅」「二重に鳴らす」「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面を点滅させる設定ではない |
| 2 | ✗ | 音を鳴らす機能ではない |
| 3 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
| 4 | ✓ | ポート番号で多対1につなぐ |
オリジナル問題3(IPv6とNAT)
IPv6とNATの関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- IPv6でもNATは必ず必要で、これがないと通信できないものだとされているのである
- IPv6はNATを使うと、画面を必ず点滅させてしまうものだとされているものなのである
- NATはIPv4の住所不足をしのぐ工夫で、住所が広大なIPv6では不要である
- IPv6はNATを使うと、音を二重に鳴らしてしまうとされているもの
解答は 3 である。
NATはIPv4の住所不足をしのぐ工夫で、住所が広大なIPv6では不要である。IPv6でもNATが必須、という思い込みがひっかけなのだ。
選択肢1の「IPv6でもNAT必須」は誤りである。選択肢2・4の「点滅」「二重に鳴らす」も関係ない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | IPv6ではNATは不要 |
| 2 | ✗ | 画面を点滅させるものではない |
| 3 | ✓ | NATはIPv4の工夫・IPv6では不要 |
| 4 | ✗ | 音を鳴らすものではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 DHCPはDORA = Discover→Offer→Request→Ackの4段階でIPを自動割り当て。
- 🔴 NAPTは多対1 = ポート番号を使い、1つの代表IPで多くの機器をつなぐ。NATはいつも1対1ではない。
- 🟡 IPv6ではNAT不要 = NATはIPv4の住所不足をしのぐ工夫。住所が広大なIPv6では要らない。
次に学ぶ
- サブネット・CIDR(VLSM) ── IPアドレスを区切って割り当てるしくみ。
- IPv6(SLAAC・デュアルスタック) ── NATが要らない広大なアドレス体系。
- OSI参照モデル(7層) ── IPが動くネットワーク層を含む通信の全体像。
執筆: SikakuQuest編集部