まず、自分を責める前に知っておきたいこと
落ちた直後は、どうしても「自分はダメだ」と思いがちです。でも、その前に押さえておいてほしいことがあります。
基本情報技術者試験は、上位の何%かだけが受かる相対評価ではありません。基準点(科目A・科目Bそれぞれ600点が目安)を超えれば受かるタイプの試験です。誰かと席を奪い合って負けたのではなく、自分の得点が基準にあと一歩届かなかった——それだけのことなんです。
この違いは、思っているより大きい。相手に負けたのなら相手次第ですが、基準点方式なら、足りないぶんを埋めれば次は届く。やることがはっきりしている、ということでもあります。
基本情報は基準点を超えれば合格する試験。不合格は「他人に負けた」のではなく「あと少し基準に届かなかった」状態。埋めるべき場所さえ見つかれば、次につながります。
そして、続かなかったり点が伸びなかったりするのは、たいてい意志の弱さではなく、やり方の設計に伸びしろが残っているサインです。自分を責める時間より、「どこを直すと届くか」を探す時間に切り替えていきましょう。
スコアレポートで、つまずいた場所を客観視する
立て直しの最初の一手は、結果を数字で見ることです。
基本情報はCBT方式で、受験後にスコアが示されます。ここで大事なのは、「落ちた」という事実だけで終わらせず、科目A・科目Bのどちらで、どれくらい届かなかったかを確かめること。なんとなく落ち込むより、事実を一段細かく見るほうが、次の手が決まります。
まず見るのは、この2点
たとえば、科目Aは超えたけれど科目Bで届かなかった、というケースはよくあります。その場合、やみくもに全範囲をやり直すより、科目Bに時間を寄せたほうが効率的です。逆に科目Aで広く取りこぼしているなら、苦手分野の穴を埋める作業が中心になります。
要するに、立て直しは「全部やり直す」ことではありません。届かなかった場所に、的を絞ること。ここを取り違えると、また同じところでつまずきやすくなります。
科目Bで届かなかったときの立て直し
科目Bは、多くの人が立て直しのポイントにする部分です。中心になるのはアルゴリズム(擬似言語)と情報セキュリティ。ここで点が伸びなかったとき、原因はだいたい絞れます。
いちばん多いのが、トレース不足です。トレースとは、変数の値を紙に書き出しながら、プログラムの処理を一行ずつ手で追うこと。頭の中だけで追おうとすると途中で迷子になりますが、紙に書けば目で追えるようになります。本番で時間が足りなくなる人ほど、この基礎の反復が薄いことが多いんです。
噛み砕いて言うと、科目Bは「知っているか」より「手が動くか」の比重が大きい。だから、解説を読んで納得して終わりにせず、自分の手で何度も追う。この回数が、そのまま本番の速さと正確さに返ってきます。
解説を読むだけで止めず、自分の手でトレースする回数を増やすのが軸。同じ問題を、間をあけて何度も追い直すと、処理の流れが体に残ります。
セキュリティのほうは、暗記寄りで取り戻しやすい分野です。たとえば探索アルゴリズムのような典型処理や、ファイアウォール・IDS/IPSのような頻出のしくみは、「目的」とセットで覚えると忘れにくくなります。前回ふんわりしていた知識を、もう一段はっきりさせる。それだけでも、拾える点が増えてきます。
科目Aで届かなかったときの立て直し
科目Aで届かなかった場合は、苦手分野の穴が原因になっていることが多いです。
科目Aはテクノロジ・マネジメント・ストラテジと範囲が広く、どこか一分野を丸ごと捨てていると、その穴が足を引っぱります。立て直しでは、得意分野をさらに磨くより、取りこぼしている分野を「ゼロから半分」まで持ち上げるほうが、合計点は伸びやすい。
おすすめは、過去問を分野別に解き直して、正答率の低い分野を洗い出すことです。たとえばデータ構造が弱いと感じたら、連結リストのような基本のしくみから、もう一度ていねいに追い直す。基礎の取りこぼしは、埋めれば埋めただけ素直に点に返ってきます。
次の受験までの組み立てと、気持ちの保ち方
立て直しの道筋が見えたら、次の受験までをどう組み立てるかです。
基本情報は通年CBT方式なので、思い立ったときに次の受験日を予約できます。ただし、一度受けると一定の期間をあけてからでないと再受験できないルールがあります。この間隔は制度として定められているので、申し込みの前に公式情報で最新の条件を確かめておくと確実です。
この「あいだの期間」は、むしろ立て直しの時間として使えます。弱点がはっきりしているぶん、闇雲に勉強していた前回より、目的のはっきりした学習ができる。ここが、再挑戦の強みです。
期間の使い方に迷うなら、ざっくり3つに区切ってみるのがおすすめです。最初の期間は、スコアと過去問で弱点を洗い出すことに使う。真ん中の期間は、洗い出した弱点に集中して、トレースや苦手分野の演習を厚めに回す。最後の期間は、全体を通しで解いて、本番の時間配分の感覚を取り戻す。こう区切ると、「次までに何をやればいいか」が日々の単位まで落ちてきて、手が止まりにくくなります。
完璧な計画を最初に立てる必要はありません。やってみて、ずれたら直す。前回の経験があるぶん、この微調整も前よりうまくできるはずです。
落ちたあとの学習は、ゼロからのやり直しではありません。前回の蓄積に、弱点対策を積み増していく上乗せの作業。だから、同じ時間でも前回より効率よく進められます。
気持ちの面でも、ひとつだけ。落ちたあとに「もうダメだ」と感じるのは自然なことですが、その感覚を長く引きずると、手が止まってしまいます。これを防ぐのに効くのが、小さな勝利を毎日ひとつ作ること。1日1問でいい。解けた、わかった、を小さく積み重ねると、止まりかけた歯車がまた回り始めます。
- 不合格は才能のなさではなく、基準にあと一歩届かなかった状態
- まずスコアで科目A・科目Bのどちらで届かなかったかを客観視する
- 立て直しは全部やり直しではなく、届かなかった場所に的を絞る
- 科目Bはトレースの回数、科目Aは苦手分野の穴埋めが軸
- 通年CBTで再挑戦できる(再受験の間隔は公式で確認)。前回の蓄積は残る
理解度チェック
ここまでの内容が、どれくらい身についたか確かめてみましょう。
基本情報に落ちたときの受け止め方として、最も適切なものはどれか。
- 基準点にあと少し届かなかった状態で、埋める場所を見つければ次につながる
- 上位の合格枠を他人に奪われてしまったのだから、運が悪かったと割り切るしかない
- 一度落ちた人は適性がないので、別の道を早めに探したほうが堅実である
- 努力しても届かなかった以上、勉強量をこれ以上増やしても結果は変わらないはずだ
解答は 1 です。
基本情報は基準点を超えれば受かる試験で、相対評価ではありません。つまり、不合格は他人に負けたのではなく、基準にあと一歩届かなかった状態。埋める場所さえ見つかれば、次につながります。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 基準点方式なので、足りない場所を埋めれば届く |
| 2 | ✗ 誤り | 合格枠を奪い合う相対評価ではない |
| 3 | ✗ 誤り | 一度の不合格は適性の否定を意味しない |
| 4 | ✗ 誤り | やみくもな増量でなく、的を絞れば結果は動く |
自分を責めるより、「どこを直すと届くか」に切り替えるのが第一歩です。
不合格後の立て直しの進め方として、最も適切なものはどれか。
- 気持ちを切り替えるため、前回の内容は思い出さず最初から完全にやり直す
- 得意な分野をさらに伸ばして、苦手分野は思い切って捨ててしまう
- 落ちた悔しさが消えないうちに、休まず次の試験へすぐ申し込む
- スコアで届かなかった科目を確かめ、その場所に的を絞って対策する
解答は 4 です。
立て直しの第一手は、スコアで科目A・科目Bのどちらにどれくらい届かなかったかを客観視すること。要するに、全部やり直すのではなく、届かなかった場所に的を絞るのが近道です。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 前回の蓄積は残るので、ゼロからやり直す必要はない |
| 2 | ✗ 誤り | 科目Aは苦手分野の穴埋めのほうが合計点に効く |
| 3 | ✗ 誤り | 再受験には一定の間隔があり、その期間を対策に使える |
| 4 | ✓ 正解 | 届かなかった場所を絞るのが立て直しの軸 |
弱点がはっきりしているぶん、前回より効率よく進められます。
科目Bで点が伸びなかったときの立て直しの軸として、最も適切なものはどれか。
- 擬似言語の文法を丸暗記して、考えずに答えられる状態を目指す
- 解説を読むだけで止めず、自分の手でトレースする回数を増やす
- アルゴリズムは捨てて、情報セキュリティの暗記だけで点を取りにいく
- 本番の時間配分を変えるため、難しい問題から先に解く順番に固定する
解答は 2 です。
科目Bは「知っているか」より「手が動くか」の比重が大きい分野。噛み砕いて言うと、解説を読んで納得して終わりにせず、変数を紙に書き出して一行ずつ追うトレースの回数を増やすことが、本番の速さと正確さに返ってきます。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 擬似言語は丸暗記でなく、流れを追って理解する |
| 2 | ✓ 正解 | 手を動かすトレースの回数が点に直結する |
| 3 | ✗ 誤り | アルゴリズムを捨てると、取れる点の幅が狭まる |
| 4 | ✗ 誤り | 順番の固定より、解ける問題から拾うほうが安定する |
同じ問題を間をあけて追い直すと、処理の流れが体に残ります。
落ちたあとにもう一度向き合おうとしているなら、その時点で、すでに大きな一歩を踏み出しています。
弱点をつぶす演習を、通勤の途中や寝る前に1問ずつ進めたい人は、シカクエのアプリも選択肢の一つに入れてみてください。1問1分のリズムで、5分から積み重ねられます。
もちろん、過去問サイトや手持ちのテキストで進めるのも、まったく問題ありません。大事なのは、的を絞って、無理なく続けていくことです。
次に読むなら、こんな記事もどうぞ。
→ 探索アルゴリズム — 2分探索・BFS・DFSなど、科目Bで問われる定番の処理 → 連結リスト — データを矢印でつなぐ、科目Aの基礎になるデータ構造 → NWセキュリティ — ファイアウォールやIDS/IPSなど、守りのしくみの役割の違い