WBSとは(全体像)
WBSは、「Work Breakdown Structure」の略で、日本語では作業分解構造図。プロジェクトでやるべき作業を、大きなまとまりから小さな作業へと、段階的に分解して整理した図のことだ。
たとえば「ホームページを作る」という大きな作業を、「設計」「制作」「テスト」に分け、さらに「制作」を「文章作成」「画像準備」に分ける……というように、木が枝分かれするように細かくしていく。
ここで一番大事なのが、WBSは「やる順番」を表す図ではないこと。あくまで作業を分解して整理した図で、順番(スケジュール)は別の図で表す。「順序図」と思い込むと誤りになる。
詳しく:ワークパッケージとMECE
ここが心臓部。まず、WBSの言葉を押さえよう。
WBSの要点
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| WBS | 作業を階層的に分解して整理した図 |
| ワークパッケージ | いちばん下まで分けた、見積もり・管理の最小単位 |
いちばん下の要素がワークパッケージ。ここまで細かくすると、「どれくらい時間がかかるか」「いくらかかるか」「だれが担当するか」が見積もりやすくなる。WBSは、見積もり・スケジュール・コスト・担当割りの土台になるわけだ。
そしてもう1つ、分解するときの大事な考え方がMECE(ミーシー、モレなく・ダブりなく)。作業を分けるとき、抜け(モレ)も重なり(ダブり)もないようにすることだ。
これに関係するのが過不足なしの考え方。分けた子の作業をすべて足すと、ちょうど親の作業になる(足りなくも、余分でもない)ようにする。MECEに分けられていれば、自然とこれも満たせる。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
WBSは、「大きな仕事を、付箋で小さく分けて貼り出す」イメージ。大→中→小と分けて、全体の作業を見える化する。要するに、やることを分解して整理した図だ。
「順番ではない」というのは、分けた付箋を、まだ時間順に並べていない状態にあたる。つまり、WBSは「何をやるか」の分解で、「いつやるか」の順番は別、ということ。
MECEは、「分けた部分を集めると、ちょうど全体になる(抜けも重なりもない)」こと。つまり、モレなくダブりなく分ける、という考え方だ。
試験のツボ
🔴 一番出る:WBSの正体
①プロジェクトの作業を、大→小へ階層的に分解した図
②「やる順番」ではなく「作業の分解」を表す
🔴 次に出る:ワークパッケージ
①いちばん下まで分けた、見積もり・管理の最小単位
②見積もり・スケジュール・コスト・担当割りの土台になる
🟡 押さえると安定:MECEと過不足なし
①MECE=モレなく・ダブりなく分ける
②分けた子をすべて足すと、ちょうど親になる(過不足なし)
よくある間違い
①「WBSは、作業を行う順番(スケジュール)を表す図だ」→ ✗ WBSは作業を分解した図。順番は別の図で表す。
②「WBSの分解では、抜けや重なりがあってもよい」→ ✗ MECE(モレなく・ダブりなく)に分けるのが大事。
③「ワークパッケージとは、プロジェクト全体をまとめた最上位のことだ」→ ✗ ワークパッケージは、いちばん下まで分けた最小単位のこと。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(WBSの正体)
WBSに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤の時刻を毎日記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指している
- プロジェクトの作業を、大きいものから小さいものへ階層的に分解した図である
- 完成したシステムの不具合を、運用しながら直していく日々の作業である
解答は 3 だよ。
WBSは、プロジェクトの作業を、大きいものから小さいものへ階層的に分解した図だよ。やることを分けて見える化するんだ。
選択肢1は給与計算、選択肢2は請求書の事務、選択肢4は運用中の修正で、どれも違うよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 3 | ✓ | 作業を階層的に分解した図で正しい |
| 4 | ✗ | 運用中の不具合修正の話 |
オリジナル問題2(ワークパッケージ)
ワークパッケージに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- プロジェクト全体をひとまとめにした、いちばん上の要素のことを指している
- 社員の出退勤を記録して、給与を計算するためのしくみのことを指している
- 取引先へ請求書を郵送する事務作業のことを、まとめて指す言葉である
- WBSでいちばん下まで分けた、見積もりや管理の最小単位のことである
解答は 4 だよ。
ワークパッケージは、WBSでいちばん下まで分けた、見積もりや管理の最小単位だよ。ここまで細かくすると見積もりやすくなるんだ。
選択肢1は「いちばん上」が誤り、選択肢2の給与計算、選択肢3の請求書の事務は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | いちばん下の最小単位 |
| 2 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務ではない |
| 4 | ✓ | いちばん下の最小単位で正しい |
オリジナル問題3(WBSと順番)
WBSと作業の順番に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- WBSは作業を分解した図で、やる順番そのものは別の図で表す
- WBSは、作業を行う順番(スケジュール)だけを表した図である
- WBSは、抜けや重なりがあっても問題ないように作る図である
- WBSは、社員の給与を計算することだけを目的にした図である
解答は 1 だよ。
WBSは、作業を分解した図で、やる順番そのものは別の図で表すよ。「順番の図」と思い込むと誤りなんだ。
選択肢2は「順番だけ」が誤り、選択肢3は「抜けや重なりOK」が誤り(MECEが大事)、選択肢4は給与計算で誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 分解の図で順番は別で正しい |
| 2 | ✗ | 順番だけを表す図ではない |
| 3 | ✗ | モレなくダブりなく(MECE)が大事 |
| 4 | ✗ | 給与計算の図ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 WBS = プロジェクトの作業を、大→小へ階層的に分解した図。「順番」ではなく「分解」を表す。
- 🔴 ワークパッケージ = いちばん下まで分けた、見積もり・管理の最小単位。
- 🟡 MECEと過不足なし = モレなくダブりなく分ける/分けた子を足すとちょうど親になる。
次に学ぶ
- PMBOK ── プロジェクトマネジメントの知識体系。WBSはその中で使う代表的な道具のひとつ。
執筆: SikakuQuest編集部