サービス戦略とは(全体像)
サービス戦略とは、「どんなITサービスを、だれに、どんな方針で提供するか」を企画・計画する段階のことだ。
ITサービスには、企画 → 設計 → 移行(リリース準備)→ 運用 → 改善、という一生の流れ(ライフサイクル)がある。サービス戦略は、そのいちばん最初(起点)にあたる。家を建てる前に「どんな家にするか」を決めるのと同じで、まず方針を決めるわけだ。
ここで一番のポイント。サービス戦略は「企画の段階」であって、実際にサービスを動かす「運用」とは別の段階だ。「サービス戦略=運用」と思い込むと誤りになる。
詳しく:主な活動と「運用ではない」
ここが心臓部。サービス戦略でやることを、やさしく見ておこう。
サービス戦略でやること
| 活動 | やさしい意味 |
|---|---|
| サービス全体の管理 | いまのサービスと、これから出すサービスをまとめて見渡す |
| 需要の管理 | どれくらい使われそうか(需要)を見積もる |
| お金の管理 | 予算や費用を見て、採算が合うかを考える |
| 顧客との関係の管理 | お客さまの要望をつかみ、関係をつくる |
これらを通して、「お客さまにとっての価値」と、「会社の方針(事業)に合っていること」を確かめるのが、サービス戦略のねらいだ。
ここで2つ、注意点を確認しておこう。
1つ目。サービス戦略は企画の段階で、実際にサービスを動かす運用とは別。どんな方針でいくかを決めるのがこの段階だ。
2つ目。サービス全体の管理(ポートフォリオ管理)は、いま動いているサービスだけが対象ではない。これから出す予定のサービス(将来の計画)も含めて見渡す。「稼働中のものだけ」と思い込むと誤りだ。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
サービス戦略は、「飲食店を出す前に、どんな店にするか・だれに何を出すか・採算は合うかを決める段階」のイメージ。つまり、実際に料理を出す(運用)より前の、方針づくりだ。
「運用とは別」というのは、お店を開けて毎日料理を出すこと(運用)と、開店前の方針決め(戦略)は、別の段階だということ。要するに、決める段階とやる段階は分かれている。
サービス全体の管理は、「いまのメニューだけでなく、これから出す新メニューの計画も見渡す」こと。つまり、将来の分も含めて考える。
試験のツボ
🔴 一番出る:サービス戦略の正体
①ITサービスをどう企画し、どんな方針で提供するかを決める段階
②ライフサイクルのいちばん最初(起点)にあたる
🔴 次に出る:運用とは別の段階
①サービス戦略は「企画の段階」
②実際に動かす「運用」とは別の段階
🟡 押さえると安定:ねらいと全体の管理
①ねらいは、お客さまの価値と、事業の方針に合うこと
②サービス全体の管理は、将来の計画も含めて見渡す
よくある間違い
①「サービス戦略とは、実際にサービスを動かす運用の段階だ」→ ✗ サービス戦略は企画の段階。実際に動かす運用とは別の段階。
②「サービス全体の管理は、いま動いているサービスだけが対象だ」→ ✗ これから出す予定のサービス(将来の計画)も含めて見渡す。
③「サービス戦略は、ライフサイクルのいちばん最後の段階だ」→ ✗ サービス戦略は、いちばん最初(起点)の段階。最後ではない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(サービス戦略の正体)
サービス戦略に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指している
- ITサービスをどう企画し、どんな方針で提供するかを決める段階である
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動のことである
解答は 3 だ。
サービス戦略は、ITサービスをどう企画し、どんな方針で提供するかを決める段階である。ライフサイクルのいちばん最初にあたるのだ。
選択肢1は給与計算、選択肢2は請求書の事務、選択肢4は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 3 | ✓ | 企画・方針を決める段階で正しい |
| 4 | ✗ | 広告活動ではない |
オリジナル問題2(運用とは別)
サービス戦略と運用の関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- サービス戦略は企画の段階で、実際に動かす運用とは別の段階である
- サービス戦略は、社員の給与を計算するためだけに使う段階である
- サービス戦略と運用は同じで、呼び名が2つあるだけで違いはないとされる
- サービス戦略は、取引先へ請求書を郵送する事務だけを指す段階である
解答は 1 だ。
サービス戦略は企画の段階で、実際に動かす運用とは別の段階である。決める段階とやる段階は分かれているのだ。
選択肢2の給与計算、選択肢3の「違いはない」、選択肢4の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 企画の段階で運用とは別で正しい |
| 2 | ✗ | 給与計算の段階ではない |
| 3 | ✗ | 戦略と運用には違いがある |
| 4 | ✗ | 請求書の事務ではない |
オリジナル問題3(全体の管理の範囲)
サービス全体の管理(ポートフォリオ管理)の範囲として、最も適切なものはどれか。
- いま動いているサービスだけが対象で、将来の計画は含まないとされる
- 社員の給与を計算するサービスだけが対象になっているものだとされる
- 取引先へ請求書を郵送する事務だけが対象になっているものだとされる
- いまのサービスに加え、これから出す予定の将来の計画も含めて見渡す
解答は 4 だ。
サービス全体の管理は、いまのサービスに加え、これから出す予定の将来の計画も含めて見渡すものである。稼働中のものだけが対象ではないのだ。
選択肢1の「稼働中だけ」、選択肢2の給与計算、選択肢3の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 将来の計画も含む |
| 2 | ✗ | 給与計算だけではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務だけではない |
| 4 | ✓ | 将来の計画も含めて見渡すで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 サービス戦略 = ITサービスをどう企画し、どんな方針で提供するかを決める段階。ライフサイクルの起点。
- 🔴 運用とは別 = サービス戦略は企画の段階。実際に動かす運用とは別の段階。
- 🟡 ねらいと範囲 = お客さまの価値と事業の方針に合うこと。全体の管理は将来の計画も含めて見渡す。
次に学ぶ
- ITIL 4 ── ITサービス運営のお手本集。サービス戦略は、その流れの起点にあたる。
執筆: SikakuQuest編集部