量子コンピュータ・PQCとは(全体像)
量子コンピュータとは、「量子ビット(qubit)」という、0と1を重ね合わせた状態をあつかうことで、たくさんの計算を同時に進められる、次世代のコンピュータのことだ。ふつうのコンピュータ(0か1かのビット)とは、計算のしくみが違う。
ただし、まだ発展途上で、一部の用途で研究・実用が進む段階だ。
ここで一番のポイント。量子コンピュータは、まだ何でもこなせる実用段階ではない。「量子コンピュータは、もう何でも高速にこなせる」と思い込むと誤りで、いまは発展途上の技術だ。
詳しく:暗号への脅威と、PQC
ここが心臓部。ポイントを表で押さえよう。
量子コンピュータ・PQCのポイント
| 項目 | やさしい意味 |
|---|---|
| 量子コンピュータ | 量子ビットで並列計算する次世代コンピュータ |
| 現状 | まだ発展途上(一部用途のみ) |
| 暗号への脅威 | いまの暗号(RSAなど)を破るおそれ |
| PQC | 量子でも破られにくい新しい暗号(耐量子暗号) |
量子コンピュータが進むと、こわいのが暗号への脅威だ。いまの公開鍵暗号(RSAなど)は、量子コンピュータの計算力で破られてしまうおそれがある。
ここで一番のポイント。その対策がPQC(耐量子暗号)だ。これは、量子コンピュータでも破られにくいように設計された、新しい暗号のこと。「PQCは量子コンピュータそのものだ」と思い込むと誤りで、PQCは、ふつうのコンピュータで動く「暗号」のほうだ。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
量子コンピュータは、「たくさんの計算を同時に進められる、新しいしくみのコンピュータ(まだ発展途上)」のイメージ。要するに、計算のしかたが違う。
暗号への脅威は、「強い計算力で、いまの暗号のカギを破ってしまうおそれ」こと。
PQCは、「量子コンピュータでも破られにくいように作った、新しい暗号」こと。つまり、先回りの守り。
試験のツボ
🔴 一番出る:量子コンピュータの正体
①量子ビットで、たくさんの計算を同時に行う
②まだ発展途上(何でもこなせるわけではない)
🔴 次に出る:暗号への脅威
①いまの暗号(RSAなど)を破るおそれがある
②強い計算力が、暗号のカギを破りうる
🟡 押さえると安定:PQC(耐量子暗号)
①量子でも破られにくい、新しい暗号
②PQCは量子コンピュータではなく「暗号」のほう
よくある間違い
①「量子コンピュータは、もう何でも高速にこなせる」→ ✗ まだ発展途上で、一部の用途で進む段階。
②「PQCは量子コンピュータそのものだ」→ ✗ PQCは、量子でも破られにくいように作った「暗号」のほう。
③「量子コンピュータは、暗号とは無関係だ」→ ✗ いまの暗号を破るおそれがあり、対策(PQC)が考えられている。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(量子コンピュータの正体)
量子コンピュータに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 量子ビットで、たくさんの計算を同時に行う次世代コンピュータだ
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみだ
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指す
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動である
解答は 1 である。
量子コンピュータは、量子ビットで、たくさんの計算を同時に行う次世代コンピュータじゃ。まだ発展途上と心得るがよい。
選択肢2は給与計算、選択肢3は請求書の事務、選択肢4は広告ゆえ、どれも違うのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 量子ビットで並列計算で正しい |
| 2 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 4 | ✗ | 広告活動ではない |
オリジナル問題2(暗号への脅威)
量子コンピュータと暗号に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の給与を計算するときだけ、関係するとされているものだ
- 取引先への請求書の枚数しだいで、決まるとされているのである
- システムの動きが、少しだけ速くなるとされているものである
- いまの暗号(RSAなど)を破るおそれがあるものなのである
解答は 4 である。
量子コンピュータは、強い計算力でいまの暗号(RSAなど)を破るおそれがあるのじゃ。だから対策が考えられていると心得るがよい。
選択肢1の給与、選択肢2の請求書、選択肢3の「速くなる」は、いずれも違うのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算とは関係ない |
| 2 | ✗ | 請求書の枚数で決まるのではない |
| 3 | ✗ | 速くなるだけの話ではない |
| 4 | ✓ | いまの暗号を破るおそれで正しい |
オリジナル問題3(PQC)
PQC(耐量子暗号)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の給与を計算するときだけ、使われるとされているものだ
- 量子でも破られにくいように作った、新しい暗号である
- 取引先への請求書を郵送するときだけ、使われるとされている
- 量子コンピュータそのものだとされているものである
解答は 2 である。
PQCは、量子コンピュータでも破られにくいように作った、新しい暗号じゃ。PQCは量子コンピュータではなく暗号のほうと心得るがよい。
選択肢1の給与、選択肢3の請求書、選択肢4の「量子コンピュータそのもの」は、いずれも違うのじゃ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のときだけではない |
| 2 | ✓ | 量子でも破られにくい新しい暗号で正しい |
| 3 | ✗ | 請求書のときだけではない |
| 4 | ✗ | PQCは暗号で、量子コンピュータではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 正体 = 量子ビットで、たくさんの計算を同時に行う次世代コンピュータ。まだ発展途上。
- 🔴 暗号への脅威 = いまの暗号(RSAなど)を破るおそれがある。
- 🟡 PQC(耐量子暗号) = 量子でも破られにくいように作った新しい暗号。PQCは量子コンピュータではなく「暗号」のほう。
次に学ぶ
- 公開鍵暗号(RSA・ECC) ── ペアの鍵を使う暗号。量子コンピュータに破られるおそれが心配されている。
- 情報セキュリティ10大脅威2025 ── 重大な脅威の一覧。将来の脅威への備えも大切になる。
執筆: SikakuQuest編集部