RTO・RPOとは(全体像)
RTOとRPOは、BCP/DR(もしもの備え)で、「どこまでの復旧を目指すか」を決める2つの目標だ。略称が似ているが、見ているものが違う。
- RTO(Recovery Time Objective/目標復旧時間)… 止まってから、いつまでに復旧させるかの目標時間。たとえば「4時間以内に復旧」。
- RPO(Recovery Point Objective/目標復旧時点)… 復旧したとき、どの時点まで戻せるか=どこまでのデータ消失を許すかの目標。たとえば「1時間前の状態まで戻せればよい(最大1時間分の消失は許す)」。
ここで一番のポイント。RTOは「時間」、RPOは「時点」を表す。「RTO=RPO」と思い込むと誤りになる。どれだけ早く戻すか(RTO)か、どこまで戻せるか(RPO)か、で区別しよう。
詳しく:違いとトレードオフ
ここが心臓部。2つの違いを表で押さえよう。
RTOとRPOの違い
| 指標 | 何の目標か | 例 |
|---|---|---|
| RTO(目標復旧時間) | いつまでに復旧させるか(時間) | 4時間以内に復旧 |
| RPO(目標復旧時点) | どこまでデータを戻せるか(時点) | 1時間前の状態まで |
RPOは、バックアップの頻度と関係が深い。こまめにバックアップを取っていれば、戻せる時点が近くなり、消えるデータが少なくてすむ(RPOが短い)。
そして大事なのが、トレードオフ。RTOやRPOを短くするほど、復旧設備やバックアップにかかるお金は増える。すぐ復旧でき、データもほとんど失わない、という理想には、その分コストがかかる。「短ければ短いほど、無条件に良い」と思い込むと誤りだ。コストとのバランスで決める。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。ゲームのセーブで考えるとわかりやすい。
RTOは、「ゲームを止めてから、また遊べるようになるまでの時間」のイメージ。つまり、どれだけ早く再開できるか、だ。
RPOは、「どのセーブポイントから再開するか=どれだけ進行が巻き戻るか」のイメージ。こまめにセーブ(バックアップ)していれば、巻き戻りは少ない。要するに、消える分の大きさだ。
トレードオフは、「速く・巻き戻り少なくするほど、お金がかかる」こと。つまり、理想を求めるほどコストが上がる。
試験のツボ
🔴 一番出る:RTOとRPOの違い
①RTO=目標復旧時間(いつまでに復旧するか)
②RPO=目標復旧時点(どこまでデータを戻せるか)
🔴 次に出る:RPOとバックアップ
①RPOは、許すデータ消失の量を表す
②こまめにバックアップすると、RPOは短くなる
🟡 押さえると安定:トレードオフ
①RTO・RPOを短くするほど、コストは増える
②短ければ無条件に良いのではなく、コストとのバランス
よくある間違い
①「RTOとRPOは、まったく同じ意味だ」→ ✗ RTOは「いつまでに復旧するか(時間)」、RPOは「どこまで戻せるか(時点)」。見ているものが違う。
②「RTOやRPOは、短ければ短いほど、無条件に良い」→ ✗ 短くするほどコストが増える。コストとのバランスで決める。
③「RPOは、復旧までにかかる時間のことだ」→ ✗ 復旧までの時間はRTO。RPOは、どこまでデータを戻せるか(時点)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(RTOとRPOの違い)
RTOとRPOの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- RTOはどこまで戻せるか、RPOはいつまでに復旧するかを表すものだ
- RTOはいつまでに復旧するか、RPOはどこまで戻せるかを表すものだ
- RTOもRPOも、社員の給与を計算する時間を表すものだとされている
- RTOもRPOも同じで、呼び名が違うだけで違いはないとされている
解答は 2 だ。
RTOはいつまでに復旧するか(時間)、RPOはどこまで戻せるか(時点)を表す。時間か、時点か、の違いなのだ。
選択肢1は説明が逆、選択肢3は給与計算、選択肢4は「同じ」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | RTOとRPOの説明が逆 |
| 2 | ✓ | RTOは時間・RPOは時点で正しい |
| 3 | ✗ | 給与計算の時間ではない |
| 4 | ✗ | 両者には違いがある |
オリジナル問題2(RPOの意味)
RPO(目標復旧時点)の意味として、最も適切なものはどれか。
- 復旧したとき、どの時点まで戻せるか(許すデータ消失の量)である
- 社員の給与を、毎月いつ計算するかを決めた時点だとされているものだ
- 取引先へ請求書を、毎月いつ郵送するかを決めた時点だとされている
- 完成したシステムを、いつ宣伝し始めるかを決めた時点のことである
解答は 1 だ。
RPOは、復旧したとき、どの時点まで戻せるか(許すデータ消失の量)である。こまめにバックアップすれば、戻せる時点は近くなるのだ。
選択肢2の給与計算、選択肢3の請求書、選択肢4の宣伝は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | どこまで戻せるかで正しい |
| 2 | ✗ | 給与計算の時点ではない |
| 3 | ✗ | 請求書の郵送の時点ではない |
| 4 | ✗ | 宣伝の時点ではない |
オリジナル問題3(トレードオフ)
RTO・RPOとコストの関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- RTOやRPOは、短くしてもコストはいっさい変わらないとされている
- RTOやRPOは、長くするほどコストが増えていくものだとされている
- RTOやRPOは、短くするほどコストが増えていくトレードオフがある
- RTOやRPOは、社員の給与の額だけで決まるものだとされているものだ
解答は 3 だ。
RTOやRPOは、短くするほどコストが増えるトレードオフがある。すぐ復旧・巻き戻り少なくするには、その分お金がかかるのだ。
選択肢1の「変わらない」、選択肢2の「長くするほど増える」、選択肢4の給与は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | コストは変わる |
| 2 | ✗ | 短くするほど増える(逆) |
| 3 | ✓ | 短くするほどコスト増で正しい |
| 4 | ✗ | 給与の額で決まるのではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 RTO(目標復旧時間) = いつまでに復旧させるかの目標時間(例:4時間以内)。
- 🔴 RPO(目標復旧時点) = どこまでデータを戻せるか(許すデータ消失の量。例:1時間前まで)。
- 🟡 トレードオフ = RTO・RPOを短くするほど、コストは増える。コストとのバランスで決める。
次に学ぶ
- DR(災害復旧) ── 止まったITシステムを復旧させる備え。RTO・RPOは、その目標を決める基準。
- BCP(事業継続計画) ── 事業全体を止めない計画。RTO・RPOは、復旧の目標として使う。
執筆: SikakuQuest編集部