OR手法とは(全体像)
OR手法とは、「どうすればいちばん得か」を、勘ではなく数で考えるための手法の集まりのこと。会社の生産計画やスケジュールづくりなど、たくさんの選択肢から最もよいものを選びたいときに使う。
ここで大事なのは、ORは数学・統計・経済学の考え方をもとにした手法だということ。「ITの分野の技術」と思われがちだが、もともとは数理的な意思決定の道具で、コンピュータはそれを計算するために使う、という関係だ。
詳しく:試験に出る手法をこの表で押さえる
ここが心臓部。次の表で、よく出る手法をまとめて整理しよう。
主なOR手法
| 手法 | 何をするか | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| 線形計画法 | 制約のなかで成果を最大(または費用を最小)にする組み合わせを求める | 限られた材料で生産量を最大にする |
| 待ち行列理論 | 行列の長さや待ち時間を見積もる | コールセンターの混み具合を分析する |
| PERT・CPM | 作業の段取りを図にして最短日数などを求める | プロジェクトの完了日を計画する |
| シミュレーション | 実際に試さず、計算上で何度も試す | 起こりうる結果を前もって見る |
特に大事な2つを掘り下げよう。
ひとつめ。線形計画法は、「材料は◯◯まで」「時間は△△まで」といった制約のなかで、もうけや生産量を最大にする組み合わせを求める手法。たとえば、限られた材料で2種類の商品を何個ずつ作れば利益が最大になるか、を計算で出せる。
ふたつめ。作業の順番と日数を図(ネットワーク図)にして段取りを見るのがPERTとCPM。よく似ているが違いがある。CPMは各作業の日数をはっきり決まった値として扱い、PERTは「最短・最長・ふつう」などばらつき(不確実さ)を見込んで工期を見積もる。ざっくり「CPM=確定/PERT=確率(ばらつきあり)」と覚えるとよい。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
線形計画法は、お弁当作りに近い。「ごはんは◯g、おかずスペースは△個ぶん」という決まったスペースのなかで、いちばん満足度が高くなる詰め方を考える。つまり、限られた枠でベストの組み合わせを選ぶこと。
PERTとCPMは、料理の段取り表のイメージ。どの作業を先にやればいちばん早く完成するかを図にする。要するに、作業の順番と所要時間から「いちばん時間がかかる道すじ」を見つけるためのもの、ということ。
試験のツボ
🔴 一番出る:線形計画法
①制約(材料・時間など)のなかで成果を最大、または費用を最小にする
②限られた資源での生産計画などに使う
🔴 次に出る:PERTとCPMの違い
①CPM = 作業日数をはっきり決まった値として扱う(確定的)
②PERT = 日数のばらつき(不確実さ)を見込んで見積もる(確率的)
🟡 押さえると安定:ORの位置づけ
①ORは数学・統計・経済学をもとにした意思決定の手法
②コンピュータはその計算を助ける道具
よくある間違い
①「ORはもともとIT分野の技術だ」→ ✗ ORは数学・統計・経済学をもとにした手法。コンピュータは計算を助けるために使う。
②「PERTとCPMはまったく同じもの」→ ✗ CPMは日数を確定値として扱い、PERTはばらつきを見込む。確定か確率かが違う。
③「線形計画法は制約を気にせず最大化するだけ」→ ✗ 材料や時間などの制約のなかで、いちばんよい組み合わせを求めるのが線形計画法。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(線形計画法)
線形計画法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 作業の順番と日数を図にして、プロジェクトの最短完了日を求めるための段取りの手法だと説明している
- 行列の長さや待ち時間を見積もって、窓口の混み具合を分析するための手法のことを指すと説明している
- 材料や時間などの制約のなかで、もうけや生産量を最大にする組み合わせを求める手法だと説明している
- 実際には試さず計算のうえで何度も試して、起こりうる結果を前もって見るための手法だと説明している
解答は 3 だよ。
線形計画法は、材料や時間といった制約のなかで、もうけや生産量を最大にする(または費用を最小にする)組み合わせを求める手法だよ。限られた資源での生産計画によく使われるね。
選択肢1はPERT・CPM、選択肢2は待ち行列理論、選択肢4はシミュレーションの説明だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | これはPERT・CPMの説明 |
| 2 | ✗ | これは待ち行列理論の説明 |
| 3 | ✓ | 制約のなかで成果を最大にする手法で正しい |
| 4 | ✗ | これはシミュレーションの説明 |
オリジナル問題2(ORの位置づけ)
OR手法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ORは数学や統計などをもとに、よりよい決め方を数で助ける手法の集まりだと説明している
- ORはもともとIT分野で生まれた技術で、数学や統計とはまったく関係がないと説明している
- ORは芸術的なひらめきだけで決めるための手法で、数を使うことは一切ないと説明している
- ORは過去の出来事を記録して残すだけの手法で、これからの決め方には使えないと説明している
解答は 1 だよ。
ORは、数学・統計・経済学などをもとに、「どうすればいちばん得か」を数で考える手法の集まりだよ。コンピュータはその計算を助ける道具として使われるんだ。
選択肢2は「数学と無関係」が誤り、選択肢3は「数を使わない」が誤り、選択肢4は「記録するだけ」が誤りだね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 数で決め方を助ける手法の集まりで正しい |
| 2 | ✗ | 数学・統計をもとにした手法 |
| 3 | ✗ | 数を使って考える手法 |
| 4 | ✗ | これからの意思決定に使う手法 |
オリジナル問題3(PERTとCPMの違い)
PERTとCPMの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- PERTは作業日数を確定値として扱い、CPMは日数のばらつきを見込む、確定と確率が逆だと説明している
- CPMは作業日数を確定した値として扱い、PERTは日数のばらつき(不確実さ)を見込んで見積もると説明
- PERTもCPMも、限られた材料で生産量を最大にすることを目的とした同じ手法であると説明している
- PERTもCPMも、窓口の待ち時間を見積もるためだけに使う、同じ目的の手法であると説明している
解答は 2 だよ。
CPMは作業日数をはっきり決まった値(確定的)として扱い、PERTは日数のばらつき(不確実さ・確率的)を見込んで見積もるよ。「CPM=確定/PERT=確率」で区別してね。
選択肢1は確定と確率が逆、選択肢3は線形計画法の話、選択肢4は待ち行列の話で別物だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | PERTとCPMの確定・確率が逆 |
| 2 | ✓ | CPM=確定、PERT=確率で正しい |
| 3 | ✗ | 線形計画法の目的と取り違えている |
| 4 | ✗ | 待ち行列理論の目的と取り違えている |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 線形計画法 = 制約のなかで成果を最大(費用を最小)にする組み合わせを求める。
- 🔴 PERT・CPM = 作業の段取りを図にして最短日数を求める。CPM=確定/PERT=確率(ばらつき)。
- 🟡 ORの位置づけ = 数学・統計・経済学をもとにした意思決定の手法。コンピュータは計算を助ける。
次に学ぶ
- デシジョンツリー ── 選択肢と結果を樹形図にして、いちばんよい選択を考える手法。ORの仲間として続けて押さえると流れがつながる。
執筆: SikakuQuest編集部