コンプライアンスとは(全体像)
コンプライアンスとは、会社が、法令を守る(法令遵守)だけでなく、企業倫理(人として・会社として正しい行い)も守る活動のことだ。
ここで一番のポイント。コンプライアンスは「法令遵守」だけではない。法律に書いていなくても、社会の信頼に応える正しい行いをする、というところまで含む。「法律さえ守ればよい」と思い込むと誤りになる。
これを支えるしくみの1つが、会社の不正を見つけた人が通報できる内部通報制度だ。そして、その通報した人を守る法律が、これから見る公益通報者保護法だ。
詳しく:法令+企業倫理と公益通報者保護法
ここが心臓部。コンプライアンスの中身を見ておこう。
コンプライアンスのポイント
| 項目 | やさしい意味 |
|---|---|
| 法令遵守 | 法律やルールを守る |
| 企業倫理 | 法律になくても、正しい行いをする |
| 内部通報制度 | 不正を見つけた人が通報できるしくみ |
| 公益通報者保護法 | 通報した人を、不利益から守る法律 |
コンプライアンスは、法令遵守+企業倫理。法律を守るのは当然で、さらに、社会の信頼に応える正しい行いを目指す。
そして、公益通報者保護法。これは、会社の不正を通報した人(公益通報者)を、不利益(解雇など)から守る法律だ。通報した人が報復されては、誰も声を上げられなくなる。だから、法律で守る。なお、この法律は改正されており、一定規模以上の会社に内部通報の体制づくりが求められている(くわしい要件は、受験する年度に最新を確認しておくとよい)。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
コンプライアンスは、「ルール(法律)を守るだけでなく、人として正しい行いもすること」のイメージ。つまり、法律ぎりぎりではなく、信頼される行動をとる。
「法令遵守だけではない」というのは、法律に書いていなくても、正しいことをすること。要するに、企業倫理まで含む。
公益通報者保護法は、「不正を知らせた人を、仕返しから守る法律」。つまり、勇気を出して通報した人が、損をしないようにする。
試験のツボ
🔴 一番出る:コンプライアンスの正体
①法令を守る(法令遵守)だけでなく、企業倫理も守る活動
②法律ぎりぎりではなく、社会の信頼に応える
🔴 次に出る:法令遵守だけではない
①法律に書いていなくても、正しい行いをする
②企業倫理まで含むのがコンプライアンス
🟡 押さえると安定:公益通報者保護法
①不正を通報した人(公益通報者)を守る法律
②内部通報制度を支え、報復から守る
よくある間違い
①「コンプライアンスとは、法令を守ること(法令遵守)だけだ」→ ✗ 法令遵守だけでなく、企業倫理(正しい行い)も含む。
②「公益通報者保護法は、通報した人を罰するための法律だ」→ ✗ 逆で、通報した人を不利益(解雇など)から守る法律。
③「コンプライアンスは、法律ぎりぎりであれば何をしてもよい」→ ✗ 社会の信頼に応える、企業倫理まで含む。法律ぎりぎりでよいのではない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(コンプライアンスの正体)
コンプライアンスに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指す
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動である
- 法令を守るだけでなく、企業倫理もきちんと守る活動のことである
解答は 4 だ。
コンプライアンスは、法令を守るだけでなく、企業倫理も守る活動である。社会の信頼に応える、というわけだ。
選択肢1は給与計算、選択肢2は請求書の事務、選択肢3は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 3 | ✗ | 広告活動ではない |
| 4 | ✓ | 法令+企業倫理を守る活動で正しい |
オリジナル問題2(法令遵守だけではない)
コンプライアンスの範囲に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 法令を守るだけでなく、企業倫理(正しい行い)も含むものである
- 社員の給与を計算することだけを含むものだとされているものだ
- 取引先へ請求書を郵送することだけを含むものだとされている
- 法律ぎりぎりであれば、何をしてもよいものだとされているものだ
解答は 1 だ。
コンプライアンスは、法令を守るだけでなく、企業倫理(正しい行い)も含むものである。法律ぎりぎりでよい、というものではないのだ。
選択肢2の給与計算、選択肢3の請求書、選択肢4の「ぎりぎりでよい」は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 法令+企業倫理を含むで正しい |
| 2 | ✗ | 給与計算だけではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務だけではない |
| 4 | ✗ | ぎりぎりでよいのではない |
オリジナル問題3(公益通報者保護法)
公益通報者保護法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の給与を計算することだけを目的とした法律だとされている
- 不正を通報した人を、不利益(解雇など)から守る法律である
- 取引先へ請求書を郵送することだけを定めた法律だとされている
- 不正を通報した人を、罰するために定められた法律だとされる
解答は 2 だ。
公益通報者保護法は、不正を通報した人を、不利益(解雇など)から守る法律である。報復されては、声を上げられなくなるからだ。
選択肢1の給与計算、選択肢3の請求書、選択肢4の「罰する」は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算の法律ではない |
| 2 | ✓ | 通報した人を守る法律で正しい |
| 3 | ✗ | 請求書の事務の法律ではない |
| 4 | ✗ | 罰するための法律ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 コンプライアンス = 法令を守る(法令遵守)だけでなく、企業倫理も守る活動。
- 🔴 法令遵守だけではない = 法律に書いていなくても、正しい行い(企業倫理)まで含む。
- 🟡 公益通報者保護法 = 不正を通報した人を、不利益から守る法律。内部通報制度を支える。
次に学ぶ
- 内部統制(J-SOX) ── 業務を正しく保つしくみ。コンプライアンスと合わせて、信頼できる経営を支える。
- CSR(企業の社会的責任) ── 会社が社会に果たす責任。コンプライアンスは、その土台になる。
執筆: SikakuQuest編集部