監査実施とは(全体像)
監査実施とは、監査計画に沿って、実際にシステムを調べていく活動のことだ。計画を立てたあと、いよいよ本番、というわけだ。
おおまかな流れは、予備調査 → 本調査 → 監査手続 → 監査証拠を集める → 監査調書を作る。調べ方(監査手続)には、質問・閲覧・観察・照合・再計算・データ分析などがある。そして、調べた結果の裏づけを監査証拠として集め、その記録を監査調書に残す。
ここで一番のポイント。調べるときに、コンピュータ(IT)を活用する技法を「CAAT」という。次でやさしく見ていこう。
詳しく:CAATと監査証拠
ここが心臓部。まず、CAATを押さえよう。
監査実施のポイント
| 項目 | やさしい意味 |
|---|---|
| CAAT | コンピュータ(IT)を使って、大量データを効率よく監査する技法 |
| 監査手続 | 質問・閲覧・観察・照合・再計算・データ分析など |
| 監査証拠 | 結論を支える裏づけ(十分性・適切性が必要) |
| 監査調書 | 調べた内容を記録に残したもの |
CAAT(Computer Assisted Audit Techniques=コンピュータ支援監査技法)は、ITを使って、大量のデータを効率よく調べる技法のこと。ログの分析や、テストデータを使った確認などがある。なお、CAATは最近できたものではなく、古くからあり、ITの進化で高度になってきた。「CAATは最近の手法」と思い込むと誤りだ。
そして大事なのが、監査証拠。これは、監査の結論を支える裏づけだ。証拠には、十分にあること(十分性)と、内容が適切であること(適切性)が求められる。「監査証拠は、あってもなくてもよい」と思い込むと誤りになる。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
監査実施は、「健康診断の本番。決めた手順で、実際に検査していくこと」のイメージ。つまり、計画に沿って、実際に調べる段階だ。
CAATは、「大量のデータを、コンピュータの力で効率よく調べること」。要するに、手作業では大変な量を、ITで一気に確認する。
監査証拠は、「結論を裏づける、しっかりした材料」。つまり、十分にあって、内容も適切な証拠が必要、ということだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:CAAT
①コンピュータ(IT)を使って、大量データを効率よく監査する技法
②最近の手法ではなく、古くからありIT進化で高度化
🔴 次に出る:監査証拠
①監査の結論を支える裏づけ
②十分性(足りている)・適切性(内容が適切)が必要
🟡 押さえると安定:監査手続と流れ
①質問・閲覧・観察・照合・再計算・データ分析など
②予備調査→本調査→手続→証拠→監査調書
よくある間違い
①「CAATは、ごく最近になって登場した新しい手法だ」→ ✗ CAATは古くからある。ITの進化で高度になってきたもの。
②「監査証拠は、あってもなくてもよい任意のものだ」→ ✗ 監査証拠には、十分性・適切性が必要。結論を支える裏づけになる。
③「監査実施は、計画と関係なく、その場の思いつきで進める」→ ✗ 監査実施は、監査計画に沿って進める。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(監査実施の正体)
監査実施に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 監査計画に沿って、実際にシステムを調べていく活動である
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するしくみである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業である
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売る広告活動である
解答は 1 だ。
監査実施は、監査計画に沿って、実際に調べていく活動である。計画を立てたあとの、本番なのだ。
選択肢2は給与計算、選択肢3は請求書の事務、選択肢4は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 計画に沿って実際に調べる活動で正しい |
| 2 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 4 | ✗ | 広告活動ではない |
オリジナル問題2(CAAT)
CAATに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の給与を計算することだけを目的とした技法だとされているものだ
- 取引先へ請求書を郵送することだけを行う技法だとされているものだ
- コンピュータ(IT)を使って、大量データを効率よく監査する技法だ
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための技法だとされる
解答は 3 だ。
CAATは、コンピュータ(IT)を使って、大量データを効率よく監査する技法である。手作業では大変な量を、ITで一気に確認するのだ。
選択肢1の給与計算、選択肢2の請求書、選択肢4の宣伝は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算の技法ではない |
| 2 | ✗ | 請求書の事務の技法ではない |
| 3 | ✓ | ITで大量データを監査する技法で正しい |
| 4 | ✗ | 宣伝の技法ではない |
オリジナル問題3(監査証拠)
監査証拠に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 監査証拠は、あってもなくてもよい任意のものだとされているものだ
- 監査証拠は、社員の給与を計算するためだけに集めるものとされる
- 監査証拠は、取引先へ請求書を郵送するために集めるものとされる
- 監査証拠は結論を支える裏づけで、十分性・適切性が必要なのである
解答は 4 だ。
監査証拠は、結論を支える裏づけで、十分性・適切性が必要である。あってもなくてもよい、というものではないのだ。
選択肢1の「任意」、選択肢2の給与計算、選択肢3の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 任意のものではない |
| 2 | ✗ | 給与計算のためではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務のためではない |
| 4 | ✓ | 結論を支える裏づけで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 監査実施 = 監査計画に沿って、実際に調べていく活動。証拠を集め、監査調書に残す。
- 🔴 CAAT = コンピュータ(IT)を使って、大量データを効率よく監査する技法。
- 🟡 監査証拠 = 結論を支える裏づけ。十分性・適切性が必要。
次に学ぶ
- 監査計画 ── 監査の進め方をあらかじめ決める段階。監査実施は、その計画に沿って行う。
- 監査報告 ── 監査の結果をまとめて伝える段階。実施で集めた証拠をもとに報告する。
執筆: SikakuQuest編集部