監査計画とは(全体像)
監査計画とは、システム監査を始める前に、その進め方をあらかじめ決めておく活動のことだ。何を・どこまで・どんな手順で・いつ・誰が監査するかを、前もって計画する。いわば、監査の羅針盤だ。
ここで一番のポイント。監査計画は、リスクベースで立てる。これは、すべてを同じ深さで見るのではなく、リスクの高いところを重点的に見るという考え方だ。限られた時間で効果を上げるには、危ないところに力を入れるのが効率的、というわけだ。「全システムを平等に監査する」と思い込むと誤りになる。
詳しく:リスクベースと計画書
ここが心臓部。監査計画のポイントを見ておこう。
監査計画のポイント
| ポイント | やさしい意味 |
|---|---|
| リスクベース | リスクの高いところを重点的に見る |
| 基本計画 | 1年単位の、おおまかな計画 |
| 個別監査計画 | 個々の監査ごとの、くわしい計画 |
| 監査手続書 | 質問項目や、確認する資料をまとめたもの |
まず、リスクベース。リスクの高い領域に重点を置いて計画する。
そして、計画は書類(計画書)にまとめる。1年単位の基本計画、個々の監査ごとの個別監査計画、そして質問項目や確認資料をまとめた監査手続書などを作る。「計画なしで、いきなり監査してよい」と思い込むと誤りだ。計画書を作るのが監査の基本になる。
なお、計画を立てるときも、監査人の独立性(利害から離れた立場)が大前提だ。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
監査計画は、「健康診断を始める前に、どこを・どう調べるかの段取りを決めること」のイメージ。つまり、やみくもにではなく、計画してから調べる。
リスクベースは、「不安なところ(リスクの高いところ)を、重点的に調べる」こと。要するに、全部を同じ深さでなく、危ないところに力を入れる。
計画書は、「調べる項目や手順を、紙にまとめておくもの」。つまり、行き当たりばったりにしないための準備だ。
試験のツボ
🔴 一番出る:監査計画の正体
①監査を始める前に、進め方をあらかじめ決めておく活動
②何を・どこまで・どんな手順で・いつ・誰が、を決める
🔴 次に出る:リスクベース
①すべてを平等に見るのではない
②リスクの高いところを重点的に見る
🟡 押さえると安定:計画書づくり
①基本計画・個別監査計画・監査手続書を作る
②計画なしで監査せず、計画書づくりが基本
よくある間違い
①「監査計画では、すべてのシステムを平等な深さで監査する」→ ✗ リスクの高いところを重点的に見る(リスクベース)のが基本。
②「監査は、計画書を作らず、いきなり実施してよい」→ ✗ 計画書づくりが監査の基本。あらかじめ進め方を決めておく。
③「監査計画では、監査人の独立性は考えなくてよい」→ ✗ 計画のときも、監査人の独立性(利害から離れた立場)が大前提。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(監査計画の正体)
監査計画に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 監査を始める前に、進め方をあらかじめ決めておく活動のことである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指す
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動である
解答は 2 だ。
監査計画は、監査を始める前に、進め方をあらかじめ決めておく活動である。監査の羅針盤になるのだ。
選択肢1は給与計算、選択肢3は請求書の事務、選択肢4は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✓ | 進め方をあらかじめ決める活動で正しい |
| 3 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 4 | ✗ | 広告活動ではない |
オリジナル問題2(リスクベース)
監査計画の立て方として、最も適切なものはどれか。
- リスクの高いところを重点的に見る(リスクベース)で立てる
- すべてを完全に同じ深さで、平等に見ると決めて立てるものだ
- 社員の給与を計算することだけを重点に見ると決めて立てる
- 取引先へ請求書を郵送することだけを重点に見ると決めて立てる
解答は 1 だ。
監査計画は、リスクの高いところを重点的に見る(リスクベース)で立てる。限られた時間で効果を上げるためだ。
選択肢2の「平等に見る」、選択肢3の給与計算、選択肢4の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | リスクの高いところを重点で正しい |
| 2 | ✗ | 平等に見るのではない |
| 3 | ✗ | 給与計算が重点ではない |
| 4 | ✗ | 請求書の事務が重点ではない |
オリジナル問題3(計画書づくり)
監査計画と計画書に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 監査は、計画書を作らず、いきなり実施してよいとされているものだ
- 計画書は、社員の給与を計算するためだけに作るものだとされている
- 計画書は、取引先へ請求書を郵送するためだけに作るものだとされる
- 基本計画・個別監査計画・監査手続書などの計画書を作るのが基本だ
解答は 4 だ。
監査では、基本計画・個別監査計画・監査手続書などの計画書を作るのが基本である。計画なしで、いきなり実施はしないのだ。
選択肢1の「いきなり実施」、選択肢2の給与計算、選択肢3の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 計画書づくりが基本 |
| 2 | ✗ | 給与計算のためではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務のためではない |
| 4 | ✓ | 計画書を作るのが基本で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 監査計画 = 監査を始める前に、進め方(何を・どこまで・どんな手順で等)をあらかじめ決めておく活動。
- 🔴 リスクベース = すべてを平等にではなく、リスクの高いところを重点的に見る。
- 🟡 計画書づくり = 基本計画・個別監査計画・監査手続書を作る。計画なしで監査せず。
次に学ぶ
- システム監査の基本 ── 第三者の立場で検証する活動。監査計画は、その出発点。
- 監査報告 ── 監査の結果をまとめて伝える段階。監査計画から実施を経て、報告へつながる。
執筆: SikakuQuest編集部