BCP・BCMとは(全体像)
会社は、大きな災害やトラブルが起きても、できるだけ事業を止めずに続けたい。そのために、「何かあったらどう動くか」をあらかじめ決めておくのがBCP(事業継続計画)だ。
ただし、計画は作って終わりではなく、訓練したり見直したりして、いざというときに使えるよう保ち続ける必要がある。この「計画を作り、運用し、改善し続ける活動」がBCM(事業継続マネジメント)だ。
つまり、BCPは「計画そのもの」、BCMは「その計画を回し続ける活動」。この2つはセットだが、別のものとして区別して覚える。
詳しく:BCP/BCMとRTO/RPOをこの表で見分ける
ここが心臓部。試験は用語の区別を聞いてくる。次の表で一気に仕分けよう。
事業継続まわりの用語
| 用語 | 読み | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| BCP | 事業継続計画 | 有事でも事業を続けるための計画 |
| BCM | 事業継続マネジメント | BCPを作って運用し改善する管理活動 |
| RTO | 目標復旧時間 | いつまでに復旧させるかの目標(時間) |
| RPO | 目標復旧時点 | どの時点まで戻せるかの目標(データの巻き戻し許容量) |
特に大事なのが、よく似た2つのものさしRTOとRPOの区別だ。
RTO(Recovery Time Objective、目標復旧時間)は、「止まってから、いつまでに直すか」を表す。たとえば「地震のあと6時間以内にシステムを復旧させる」なら、RTOは6時間。
RPO(Recovery Point Objective、目標復旧時点)は、「どの時点のデータまで戻せるか」を表す。たとえば「最大でも1時間前の状態には戻せるようにする」なら、RPOは1時間。これは、その間のデータが消えても許せる量(データ消失の許容量)でもある。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
BCPとBCMは、防災マニュアルと避難訓練の関係に近い。マニュアル(紙の計画)がBCP、その訓練や見直しを続ける活動がBCM。つまり、作るのがBCP、回し続けるのがBCMだ。
RTOとRPOは、ゲームのセーブでイメージするとわかりやすい。RTOは「電源が落ちてから、何分でゲームを再開できるか」。RPOは「再開したとき、どこのセーブ地点から始まるか(直近どこまで進んだ記録が残っているか)」。要するに、RTOは時間の長さ、RPOは戻る地点のこと。
試験のツボ
🔴 一番出る:BCPとBCMの違い
①BCP = 有事でも事業を続けるための計画そのもの
②BCM = BCPを作り・運用し・改善する管理活動
🔴 次に出る:RTOとRPOの違い
①RTO = いつまでに復旧させるか(時間の目標)
②RPO = どの時点まで戻せるか(データの巻き戻しの目標)
🟡 押さえると安定:関連する国際規格
①事業継続のマネジメントシステムの規格はISO 22301(BCMS)
②BCMはPDCAを回して継続的に改善する
よくある間違い
①「BCPとBCMは同じ意味」→ ✗ BCPは計画そのもの、BCMはその計画を作って回し続ける管理活動。役割が違う。
②「RTOとRPOは同じ指標」→ ✗ RTOは復旧までの時間、RPOは戻せる時点(データの巻き戻し許容量)。測っているものが違う。
③「BCPは災害のときだけのもの」→ ✗ 地震だけでなく、感染症の流行・サイバー攻撃・大きな事故など、事業を止めうる事態すべてが対象。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(BCPとBCMの違い)
BCPとBCMの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- BCPは計画を運用し改善し続ける管理活動を指し、BCMはその場で作る計画書そのものを指すと説明
- BCPもBCMも、災害が起きたあとに初めて作り始める復旧の手順書という点でまったく同じだと説明している
- BCPは有事でも事業を続けるための計画そのもので、BCMはその計画を運用し改善する活動だと説明
- BCPは情報を守る国際規格のことで、BCMは品質を管理する国際規格のことを指すと説明
解答は 3 だよ。
BCPは「有事でも事業を続けるための計画そのもの」、BCMは「そのBCPを作り・運用し・改善する管理活動」だよ。計画と活動で役割が分かれているね。
選択肢1はBCPとBCMの説明が入れ替わっていて誤り、選択肢2は「同じ」が誤り、選択肢4は国際規格の話で別物だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | BCPとBCMの説明が入れ替わっている |
| 2 | ✗ | 同じではなく、計画と管理活動で別物 |
| 3 | ✓ | BCP=計画、BCM=管理活動で正しい |
| 4 | ✗ | 情報・品質の国際規格の説明で別物 |
オリジナル問題2(RTOとRPOの違い)
RTOとRPOの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- RTOはどの時点まで戻せるかを表し、RPOはいつまでに復旧させるかを表す、時間と時点が逆の関係と説明
- RTOはいつまでに復旧させるかの時間の目標、RPOはどの時点まで戻せるかのデータの目標だと説明
- RTOもRPOも、復旧にかかる費用がいくらかを金額で表す、まったく同じ意味の指標であると説明している
- RTOは品質を保つ目標で、RPOは環境への配慮を保つ目標で、どちらも事業継続とは無関係だと説明
解答は 2 だよ。
RTOは「いつまでに復旧させるか」という時間の目標、RPOは「どの時点まで戻せるか」というデータの目標だよ。RTOのTはTime(時間)、RPOのPはPoint(時点)で区別してね。
選択肢1はRTOとRPOの説明が逆、選択肢3は「費用の指標」が誤り、選択肢4は品質や環境の話で別物だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | RTOとRPOの説明が逆になっている |
| 2 | ✓ | RTO=時間の目標、RPO=時点の目標で正しい |
| 3 | ✗ | 費用を表す指標ではない |
| 4 | ✗ | 品質や環境の目標ではない |
オリジナル問題3(RTO/RPOの具体例)
「地震のあと6時間以内にシステムを復旧させる」という目標が表すものとして、最も適切なものはどれか。
- 復旧までの時間を6時間と定めた目標で、これはRTO(目標復旧時間)にあたるものだと説明している
- どの時点のデータまで戻せるかを6時間と定めた目標で、これはRPO(目標復旧時点)にあたると説明
- 復旧にかかる費用の上限を6時間ぶんと定めた、金額に関する目標を表しているものにあたると説明
- 品質をどこまで保つかを6時間ごとに点検する目標で、事業継続とは関係しないものにあたると説明
解答は 1 だよ。
「6時間以内に復旧させる」は、いつまでに直すかという時間の目標だから、RTO(目標復旧時間)にあたるよ。もし「最大1時間前の状態に戻せる」ならRPOの話になるね。
選択肢2はRPOの説明なので誤り、選択肢3は費用の話で誤り、選択肢4は品質点検の話で別物だね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | いつまでに直すかの時間目標=RTOで正しい |
| 2 | ✗ | 戻せる時点を表すのはRPO |
| 3 | ✗ | 費用の目標ではない |
| 4 | ✗ | 品質点検の話で別物 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 BCP = 有事でも事業を続けるための計画そのもの/BCM = BCPを作り・運用し・改善する管理活動。
- 🔴 RTO = いつまでに復旧させるか(時間)/RPO = どの時点まで戻せるか(データの巻き戻し)。
- 🟡 ISO 22301 = 事業継続のマネジメントシステム(BCMS)の国際規格。BCMはPDCAで改善する。
次に学ぶ
- マネジメントシステム(ISO) ── 会社のしくみを規格にそって整える考え方。BCMもそのひとつ(ISO22301)として位置づけられる。
- PDCAサイクル ── BCMを良くしていく回し方。計画を作って回し続ける流れが、ここでもつながる。
執筆: SikakuQuest編集部