バックアップ戦略とは(全体像)
バックアップ戦略とは、大事なデータが、消えたり壊れたりするのに備えて、控え(コピー)を取っておく計画のことだ。
「もしデータが消えたら、控えから元に戻す」ためのもの。だからこそ、どう取るか・どこに置くかを、あらかじめ決めておく。次で見る「3方式」と「3-2-1ルール」が、その中心だ。
詳しく:3つの方式と3-2-1ルール
ここが心臓部。まず、バックアップの3つの方式を押さえよう。
バックアップの3方式
| 方式 | 何をコピーするか | 特徴 |
|---|---|---|
| フル | 全データをまるごと | 復旧は簡単/容量は大きい |
| 差分 | 前回の「フル」からの変化分 | 中くらい |
| 増分 | 前回の「バックアップ」からの変化分 | 容量は小さい/復旧手順は複雑 |
ここで一番よく問われるのが、差分と増分の違い。
- 差分 … 前回の「フル」バックアップからの変化分をコピーする。
- 増分 … 前回の「バックアップ」(直前のもの)からの変化分をコピーする。
「差分と増分は同じ」と思い込むと誤りになる。差分は前回フルから、増分は前回バックアップから、と区別しよう。
そして、置き方のルールが3-2-1ルール。これは、①コピーを3つ持つ・②2種類の媒体に保存する・③1つは離れた場所(遠隔)に置く、という考え方だ。同じ場所・同じ媒体にまとめておくと、まとめて失われる恐れがあるので、分けて備える。
なお、最近は身代金を要求する攻撃(ランサムウェア)対策として、3-2-1に「1つはオフライン・エラー0」を足した3-2-1-1-0も提唱されている。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
バックアップ戦略は、「大事な写真を、消えても困らないように、控えを取っておくこと」のイメージ。つまり、もしものときに戻せる備えだ。
差分と増分の違いは、「前回のフルを基準にするか(差分)」「直前のバックアップを基準にするか(増分)」。要するに、どこからの変化分を取るか、だ。
3-2-1ルールは、「写真を、本体・USB・クラウド(離れた場所)の3か所に分けて持つ」イメージ。つまり、まとめて失わないように分散する、ということだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:3つの方式
①フル(全部)・差分・増分
②差分は前回フルから、増分は前回バックアップから
🔴 次に出る:3-2-1ルール
①3つのコピー・2種類の媒体・1つは遠隔
②同じ場所にまとめず、分けて備える
🟡 押さえると安定:差分と増分の特徴
①増分は容量が小さいが、復旧の手順は複雑
②フルは復旧が簡単だが、容量は大きい
よくある間違い
①「差分バックアップと増分バックアップは、まったく同じものだ」→ ✗ 差分は前回フルからの変化分、増分は前回バックアップからの変化分。基準が違う。
②「3-2-1ルールでは、コピーを1つだけ持てばよい」→ ✗ コピーは3つ。2種類の媒体に保存し、1つは離れた場所に置く。
③「バックアップは、すべて同じ場所にまとめて置くのがよい」→ ✗ 同じ場所だとまとめて失われる恐れがある。1つは遠隔に分けて置く。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(バックアップ戦略の正体)
バックアップ戦略に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指す
- データが消えるのに備えて、控え(コピー)を取っておく計画である
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動である
解答は 3 だ。
バックアップ戦略は、データが消えるのに備えて、控え(コピー)を取っておく計画である。もしものとき、控えから戻せるようにするのだ。
選択肢1は給与計算、選択肢2は請求書の事務、選択肢4は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 3 | ✓ | 控えを取っておく計画で正しい |
| 4 | ✗ | 広告活動ではない |
オリジナル問題2(差分と増分の違い)
差分バックアップと増分バックアップの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 差分は前回バックアップから、増分は前回フルからの変化分をコピーする
- 差分も増分も、社員の給与を計算するためだけに使う方式である
- 差分も増分も同じで、呼び名が違うだけで違いはないとされている
- 差分は前回フルから、増分は前回バックアップからの変化分をコピーする
解答は 4 だ。
差分は前回フルから、増分は前回バックアップからの変化分をコピーする。どこを基準にするか、の違いなのだ。
選択肢1は説明が逆、選択肢2は給与計算、選択肢3は「同じ」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 差分と増分の説明が逆 |
| 2 | ✗ | 給与計算の方式ではない |
| 3 | ✗ | 両者には違いがある |
| 4 | ✓ | 差分は前回フル・増分は前回BUで正しい |
オリジナル問題3(3-2-1ルール)
3-2-1ルールの内容として、最も適切なものはどれか。
- 3つのコピーを持ち、2種類の媒体に保存し、1つは遠くの場所に置く
- 社員の給与を、3つの口座に2回に分けて、1日で支払うことである
- 取引先へ請求書を、3枚2部に分けて、1通だけ郵送することである
- 完成したシステムを、3つの広告で2回宣伝し、1日で売ることである
解答は 1 だ。
3-2-1ルールは、3つのコピーを持ち、2種類の媒体に保存し、1つは遠隔に置くことである。まとめて失わないように分けるのだ。
選択肢2の給与、選択肢3の請求書、選択肢4の広告は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 3コピー・2媒体・1遠隔で正しい |
| 2 | ✗ | 給与の支払いではない |
| 3 | ✗ | 請求書の郵送ではない |
| 4 | ✗ | 広告の宣伝ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 バックアップ戦略 = データが消えるのに備えて、控え(コピー)を取っておく計画。
- 🔴 3つの方式 = フル(全部)・差分(前回フルから)・増分(前回バックアップから)。差分と増分の基準が違う。
- 🟡 3-2-1ルール = 3つのコピー・2種類の媒体・1つは遠隔。まとめて失わないよう分ける。
次に学ぶ
- DR(災害復旧) ── 止まったITシステムを復旧させる備え。バックアップは、その土台になる。
- RAID ── 複数のディスクをまとめ、壊れにくくするしくみ。バックアップとあわせてデータを守る。
執筆: SikakuQuest編集部