役員の責任とは(全体像)
役員の責任は、取締役などが仕事のうえでミスや不正をして損害を生じさせたとき、その埋め合わせ(損害賠償)をする責任である。
押さえる軸は、誰に対する責任かで2つに分かれること。
- 対会社責任 … 損害を受けたのが会社のとき。
- 対第三者責任 … 損害を受けたのが会社の外の人(第三者)のとき。
この2つは、責任が生じる条件がちがう。ここが試験の中心になる。
詳しく:2つの責任と免除のしくみ
ここが記事の心臓部。役員の責任は、「2類型のちがい」と「全額は免除できないこと」をセットで押さえる。
役員の責任のポイント
| 項目 | 対会社責任 | 対第三者責任 |
|---|---|---|
| 誰に対して | 会社に対して | 会社の外の第三者に対して |
| 生じる条件 | 任務を怠った(任務懈怠)こと | 職務について悪意または重大な過失があること |
| 軽い過失のとき | 任務懈怠があれば責任 | 軽い過失だけでは責任は生じない |
まず、対会社責任は、役員が任務を怠って(任務懈怠)会社に損害を与えたときに、会社に対して賠償する責任である。
次に、対第三者責任。これは役員が職務について悪意または重大な過失で第三者に損害を与えたときに、その第三者に賠償する責任である。ポイントは、軽い過失だけでは責任が生じないこと。「悪意(わざと)」か「重大な過失」が条件になる。たとえば、粉飾決算を信じて取引した相手が損害を受けたような場面で問われる。
そして免除について。対会社責任は、原則として全額の免除はできない。ただし、一定の手続き(株主総会の決議、定款の定めによる取締役会の決定、社外取締役などとの責任限定契約)によって、一部を免除できるにとどまる。「全部チャラにはできない」と押さえる。
わかりやすく言い換えると
要するに、役員の責任は「誰に損害を与えたか」で2種類あると考えるとわかりやすい。
①対会社責任 … 身内である会社に損害を出したケース。任務をサボった(任務懈怠)なら、会社に弁償する。
②対第三者責任 … 外部の人に損害を出したケース。ただし、つまりわざと(悪意)か、ひどい不注意(重大な過失)のときだけ。うっかり程度(軽い過失)では負わない。
③免除 … 役員の責任は全部はチャラにできず、決められた手続きで一部だけ軽くできる。
試験のツボ
🔴 一番出る:2類型の生じる条件のちがい
①対会社責任 = 任務を怠った(任務懈怠)こと
②対第三者責任 = 悪意または重大な過失があること(軽い過失では生じない)
🔴 次に出る:全額は免除できない
①原則 = 役員の責任を全額免除することはできない
②例外 = 一定の手続きで一部を免除できる
🟡 押さえると安定:役員等には取締役・会計参与・監査役などが含まれる
よくある間違い
①「対第三者責任は、軽い過失でも必ず生じる」→ ✗ 悪意または重大な過失が条件。軽い過失だけでは生じない。
②「役員の責任は、つねに全額免除できる」→ ✗ 原則として全額免除はできず、一部の免除にとどまる。
③「対会社責任と対第三者責任は同じ条件で生じる」→ ✗ 会社へは任務懈怠、第三者へは悪意・重過失と条件がちがう。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(対会社責任)
役員の対会社責任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 役員が任務を怠って会社に損害を与えても、会社に対して賠償する責任を負うことはないとされている
- 役員の対会社責任は、損害が生じていなくても、任務を怠ったというだけで当然に生じるものとされる
- 役員が任務を怠って(任務懈怠)会社に損害を与えたときは、会社に対して損害を賠償する責任を負う
- 役員が会社に損害を与えても、株主全員が同意したときに限って賠償責任を負うものとされているのである
解答は 3 である。
役員が任務を怠って(任務懈怠)会社に損害を与えたときは、会社に対して賠償する責任を負う。これが対会社責任である。
選択肢1の「責任を負わない」は誤り。選択肢2の「損害がなくても当然に生じる」も誤りで、会社の損害が必要である。選択肢4の「株主全員の同意があるときだけ」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 任務懈怠で損害を与えれば会社に賠償責任を負う |
| 2 | ✗ | 会社に損害が生じていることが必要である |
| 3 | ✓ | 任務懈怠で会社に損害を与えれば賠償責任で正しい |
| 4 | ✗ | 株主全員の同意を要件とするものではない |
オリジナル問題2(対第三者責任)
役員の対第三者責任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 役員は、職務についてどれほど軽い過失でも、つねに第三者に対して賠償する責任を負うとされている
- 役員は、職務について一切の過失がない無過失の場合であっても、第三者に賠償する責任を負うとされる
- 役員は、第三者に損害を与えても、その第三者に対して賠償する責任を負うことは一切ないとされている
- 役員は、職務について悪意または重大な過失で第三者に損害を与えたとき、その第三者に賠償責任を負う
解答は 4 である。
役員は、職務について悪意または重大な過失で第三者に損害を与えたとき、その第三者に賠償する責任を負う。軽い過失だけでは生じない点がポイントである。
選択肢1の「軽い過失でつねに」は誤り。選択肢2の「無過失でも負う」も誤りである。選択肢3の「一切負わない」も誤りで、悪意・重過失があれば責任を負う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 軽い過失だけでは責任は生じない |
| 2 | ✗ | 無過失で当然に負うものではない |
| 3 | ✗ | 悪意・重過失があれば第三者に責任を負う |
| 4 | ✓ | 悪意または重大な過失が条件で正しい |
オリジナル問題3(責任の免除)
役員の責任の免除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 役員の対会社責任は、原則として全額の免除はできず、一定の手続きで一部を免除できるにとどまる
- 役員の対会社責任は、取締役が一人で決めれば、自由に全額を免除することができるものとされる
- 役員の対会社責任は、どのような手続きをとっても、一部すら免除することはできないとされている
- 役員の対会社責任は、会社が損害を受けていても、つねに自動的に全額が免除されるものとされている
解答は 1 である。
役員の対会社責任は、原則として全額の免除はできない。一定の手続き(株主総会の決議など)によって、一部を免除できるにとどまる。
選択肢2の「取締役一人で自由に全額免除」は誤り。選択肢3の「一部すら免除できない」も誤りで、一部の免除はできる。選択肢4の「つねに自動的に全額免除」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 全額免除はできず一部免除にとどまり正しい |
| 2 | ✗ | 取締役一人で自由に全額免除はできない |
| 3 | ✗ | 一定の手続きで一部の免除はできる |
| 4 | ✗ | 自動的に全額免除されるものではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 2類型のちがい = 対会社責任は任務懈怠、対第三者責任は悪意または重大な過失(軽い過失では生じない)。
- 🔴 免除の限界 = 全額の免除はできず、一定の手続きで一部を免除できるにとどまる。
- 🟡 役員等 = 取締役・会計参与・監査役などが含まれる。
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執筆: SikakuQuest編集部