関与とは(全体像)
高みから地方の統治を見渡そう。関与とは、地方公共団体の仕事(事務処理)に対して、国や都道府県が影響を与える行為をまとめた言い方だ。アドバイスから命令まで、いろいろな強さのものがある。
関与には、弱いものから強いものまで類型がある。
- 弱い関与 … 助言・勧告、資料の提出要求など。
- 強い関与 … 是正の要求、許可・認可、指示、そして代執行など。
「国は地方に何でも自由に命令できる」と思い込まないこと。国と地方は上下の命令関係ではなく、関与にはきちんとしたルールと限界がある。
詳しく:関与の3つの原則と、代執行
ここが心臓部。関与を縛る原則と、最も強い代執行を上から俯瞰する。
関与を縛る3つの原則
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 関与法定主義 | 法律・政令の根拠がなければ関与できない |
| 比例原則 | 目的の達成に必要な最小限度にとどめる |
| 手続の保障 | 書面の交付や理由の明示などの手続を踏む |
まず関与法定主義。国が関与するには、法律や政令の根拠が必要だ。根拠もなく自由に口を出すことはできない。次に比例原則。関与は、目的を達成するのに必要な最小限度にとどめなければならない。やりすぎは許されない。そして手続の保障。関与にあたっては、書面の交付や理由の明示などの手続を踏む必要がある。
そして、最も強い関与である代執行を見渡そう。
関与の強さは事務で違う
| 国の関与 | 代執行 | |
|---|---|---|
| 自治事務 | 原則として弱い | できない |
| 法定受託事務 | 強い関与もある | できる(法定受託事務だけ) |
代執行は、地方が本来やるべきことをしないとき、国などが代わりに行う最も強い関与だ。これは法定受託事務だけに認められ、自治事務には使えない。関与の強さは、自治事務か法定受託事務かで大きく変わる、ということだ。
わかりやすく言い換えると
要するに、関与は「国や県が、地方の仕事に口を出すこと」。その口の出し方に強弱がある。
つまり、①弱いものはアドバイス(助言・勧告)、強いものは命令や肩代わり(指示・代執行)。いろいろな段階がある。
②大事なのは、国が好き勝手には口を出せないこと。口を出すには法律などの根拠がいるし(関与法定主義)、やりすぎず必要最小限にとどめる必要がある(比例原則)。上司が部下に何でも命じる、という関係ではない。
③そして一番強い肩代わり(代執行)は、法定受託事務だけ。自治事務には使えない。「自治事務は弱い関与、法定受託事務は強い関与」で押さえるとラクだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:関与法定主義と比例原則
①関与には法律・政令の根拠が必要(関与法定主義)
②目的に必要な最小限度にとどめる(比例原則)
🔴 次に出る:代執行は法定受託事務だけ
①最も強い関与の代執行は法定受託事務のみ
②自治事務には代執行は使えない
🟡 押さえると安定:関与の強さは事務で違う
①自治事務には原則として弱い関与
②法定受託事務には強い関与もある
よくある間違い
①「国は常に自由に地方へ指示できる」→ ✗ 関与には法律などの根拠が必要(関与法定主義)で、必要最小限にとどめる(比例原則)。
②「代執行は自治事務にも使える」→ ✗ 代執行は法定受託事務だけ。自治事務には使えない。
③「関与は理由も示さず一方的にできる」→ ✗ 書面の交付や理由の明示などの手続を踏む必要がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(関与の意味)
国などの関与に関する記述として、正しいものはどれか。
- 関与とは、地方公共団体が国に対して意見を述べる行為だけを指すものとされている
- 関与とは、地方公共団体の事務処理に対し国や都道府県が影響を与える行為等をいう
- 関与とは、住民が地方公共団体の事務に直接参加する行為のことであるものとされる
- 関与とは、地方公共団体どうしが対等に協力し合う行為のことであるものとされている
解答は 2 だ。
上から見渡そう。関与とは、地方公共団体の事務処理に対して、国や都道府県が影響を与える行為の総称だぞ。助言・勧告から代執行まで、いろいろな段階がある。
選択肢1のように「地方から国へ」ではなく、国などが地方に関わる行為を指す。向きを取り違えないこと。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 地方から国へではなく、国などが地方に関わる |
| 2 | ✓ | 国や都道府県が地方の事務に影響を与える行為 |
| 3 | ✗ | 住民の直接参加を指すのではない |
| 4 | ✗ | 地方どうしの協力を指すのではない |
オリジナル問題2(関与の原則)
関与を縛る原則に関する記述として、正しいものはどれか。
- 関与には法律などの根拠が必要で、必要最小限度にとどめねばならないとされる
- 関与は国の判断で自由にでき、法律の根拠も限度の制約もないものとされている
- 関与は目的のためなら、必要な範囲を超えても自由に行えるものとされている
- 関与は口頭だけで足り、書面の交付や理由の明示は必要ないものとされている
解答は 1 だ。
全体像を俯瞰しよう。関与には法律・政令の根拠が必要で(関与法定主義)、目的に必要な最小限度にとどめなければならない(比例原則)ぞ。
選択肢2のように「自由にでき、制約がない」のではない。国と地方は上下の命令関係ではないからだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 法律の根拠が必要で、必要最小限度にとどめる |
| 2 | ✗ | 法律の根拠も限度の制約もある |
| 3 | ✗ | 必要な範囲を超える関与は許されない |
| 4 | ✗ | 書面の交付や理由の明示などの手続が必要 |
オリジナル問題3(代執行の範囲)
最も強い関与である代執行に関する記述として、正しいものはどれか。
- 代執行は自治事務についてのみ認められ、法定受託事務には使えないものとされる
- 代執行は自治事務にも法定受託事務にも、同じように使えるものとされている
- 代執行は法定受託事務についてのみ認められ、自治事務には使えないものとされる
- 代執行はいかなる事務にも使えず、現在は制度として存在しないものとされている
解答は 3 だ。
高みから見渡そう。最も強い関与である代執行は、法定受託事務だけに認められる。自治事務には使えないぞ。関与の強さは、事務の種類で大きく変わるんだ。
選択肢1は自治事務と法定受託事務を逆にした誤り。代執行は法定受託事務のみ、と押さえること。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 自治事務と法定受託事務が逆 |
| 2 | ✗ | 自治事務には代執行を使えない |
| 3 | ✓ | 代執行は法定受託事務だけに認められる |
| 4 | ✗ | 代執行は制度として存在する |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 3つの原則 = 関与法定主義(法律などの根拠が必要)・比例原則(必要最小限度)・手続の保障。
- 🔴 代執行は法定受託事務だけ = 最も強い代執行は法定受託事務のみで、自治事務には使えない。
- 🟡 強さは事務で違う = 自治事務は原則弱い関与、法定受託事務は強い関与もある。
次に学ぶ
- 自治事務 ── 国の関与が原則弱い事務。関与の強さの一方の極として押さえる。
- 法定受託事務 ── 国の関与が強く、代執行も使える事務。関与のもう一方の極。
- 長の権限 ── 関与を受けながら事務を処理する長の権限の全体像。
執筆: SikakuQuest編集部