法令用語とは(全体像)
法令用語は、法令の中で決まった意味をもつ言葉である。ふだんの感覚で読むと取り違えるものがあるので、意味を正確に覚えるのが大事になる。
押さえる軸は、よく出る用語のグループ。
- みなす/推定する … 反証で覆せるかどうか。
- 又は・若しくは/及び・並びに … 選択か併合か、そして大小の階層。
- 以上・以下/超える・未満 … その数を含むかどうか。
- 善意/悪意 … 知らないか、知っているか。
詳しく:よく出る用語の使い分け
ここが記事の心臓部。法令用語は、「意味の違い」をペアで正確に押さえる。
よく出る法令用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| みなす | 反証を許さず、確定的に同じものとして扱う |
| 推定する | いちおうそう扱うが、反証で覆せる |
| 又は・若しくは | どちらも選択。大きな区分に「又は」、小さな区分に「若しくは」 |
| 及び・並びに | どちらも併合。小さな区分に「及び」、大きな区分に「並びに」 |
| 以上・以下/超える・未満 | 以上・以下はその数を含む/超える・未満は含まない |
| 善意/悪意 | 善意は知らないこと/悪意は知っていること |
最大のヤマが、みなすと推定するである。
- みなす … 反証を許さない。たとえ違う事実があっても、くつがえせない(確定的)。
- 推定する … いちおうそう扱うが、反証があればくつがえせる。
次に接続詞。「又は・若しくは」はどちらも選択を表すが、大きな区分に「又は」、小さな区分に「若しくは」を使う。「及び・並びに」はどちらも併合を表すが、小さな区分に「及び」、大きな区分に「並びに」を使う。階層が逆になる点に注意する。
そして数量。「以上・以下」はその数を含む、「超える・未満」はその数を含まない。たとえば「18歳以上」は18歳を含み、「18歳未満」は18歳を含まない。
最後に善意・悪意。法令では、善意=知らないこと、悪意=知っていることを指す。良い・悪いという価値判断ではない。
わかりやすく言い換えると
要するに、法令用語は「ふだんの言葉と意味がずれる言葉」だと考えるとわかりやすい。
①みなすと推定する … みなすは「もう決まり(くつがえせない)」、推定するは「いちおう(反証でくつがえせる)」。つまり強さがちがう。
②又は・若しくは … どちらも「選ぶ」だが、大きいくくりが「又は」、小さいくくりが「若しくは」。
③以上・超える … 「以上・以下」はその数も入る、「超える・未満」はその数は入らない。
試験のツボ
🔴 一番出る:みなすと推定するのちがい
①みなす = 反証を許さず確定的(くつがえせない)
②推定する = 反証で覆せる
🔴 次に出る:接続詞の階層と数量表現
①又は・若しくは/及び・並びに = 大区分と小区分で使い分け(選択と併合で階層が逆)
②以上・以下はその数を含み、超える・未満は含まない
🟡 押さえると安定:善意は知らないこと、悪意は知っていること(良い・悪いの判断ではない)
よくある間違い
①「みなすも推定するも、反証で覆せる」→ ✗ みなすは反証を許さない。覆せるのは推定する。
②「又は・若しくは・及び・並びにはどれも同じ意味」→ ✗ 選択(又は・若しくは)か併合(及び・並びに)かで分かれ、大小の階層もある。
③「悪意とは、悪い心をもっていること」→ ✗ 悪意とは、その事実を知っていることをいう。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(みなすと推定する)
法令用語の「みなす」と「推定する」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 「みなす」は反証によって覆すことができ、「推定する」は反証を許さず確定的に扱うものとされている
- 「みなす」は反証を許さず確定的に扱い、「推定する」は反証によって覆すことができるものである
- 「みなす」も「推定する」も、いずれも反証によって覆すことができる点で違いはないとされている
- 「みなす」も「推定する」も、いずれも反証を許さず確定的に扱う点で違いはないとされているのである
解答は 2 である。
「みなす」は反証を許さず確定的に扱う。「推定する」は、いちおうそう扱うが反証によって覆せる。
選択肢1は「みなす」と「推定する」が逆で誤り。選択肢3の「どちらも覆せる」も誤りである。選択肢4の「どちらも確定的」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | みなすと推定するの説明が逆である |
| 2 | ✓ | みなすは反証不可・推定するは反証可で正しい |
| 3 | ✗ | みなすは反証を許さない |
| 4 | ✗ | 推定するは反証で覆せる |
オリジナル問題2(接続詞の使い分け)
法令用語の接続詞に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 「又は」と「若しくは」は併合を表す言葉で、複数の事柄をすべて合わせる意味で用いられるとされている
- 「又は」と「若しくは」はまったく同じ意味の言葉で、区分の大小による使い分けはないものとされている
- 「又は」は小さな区分に、「若しくは」は大きな区分に用いるという使い分けがされているものとされる
- 「又は」「若しくは」はどちらも選択を表すが、大きな区分に「又は」、小さな区分に「若しくは」を使う
解答は 4 である。
「又は」「若しくは」はどちらも選択を表す。そして、大きな区分に「又は」、小さな区分に「若しくは」を使う。
選択肢1の「併合を表す」は誤りで、選択である。選択肢2の「使い分けはない」も誤りである。選択肢3は大小が逆で誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 又は・若しくは は選択を表す |
| 2 | ✗ | 区分の大小による使い分けがある |
| 3 | ✗ | 大区分が「又は」・小区分が「若しくは」で逆である |
| 4 | ✓ | 選択を表し、大区分に又は・小区分に若しくはで正しい |
オリジナル問題3(数量表現)
法令用語の数量表現に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 「以上」「以下」はその基準となる数を含み、「超える」「未満」はその基準となる数を含まない
- 「以上」「以下」はその数を含まず、「超える」「未満」はその数を含むものとされている
- 「以上」「以下」「超える」「未満」は、いずれもその基準となる数を含むものとされている
- 「以上」「以下」「超える」「未満」は、いずれもその基準となる数を含まないものとされているのである
解答は 1 である。
「以上」「以下」はその数を含む。「超える」「未満」はその数を含まない。たとえば「18歳以上」は18歳を含み、「18歳未満」は18歳を含まない。
選択肢2は含む・含まないが逆で誤り。選択肢3の「いずれも含む」も誤りである。選択肢4の「いずれも含まない」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 以上・以下は含み、超える・未満は含まずで正しい |
| 2 | ✗ | 含む・含まないが逆である |
| 3 | ✗ | 超える・未満はその数を含まない |
| 4 | ✗ | 以上・以下はその数を含む |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 みなす/推定する = みなすは反証を許さず確定。推定するは反証で覆せる。
- 🔴 接続詞と数量 = 選択は又は・若しくは、併合は及び・並びに(大小の階層あり)。以上・以下は含み、超える・未満は含まない。
- 🟡 善意/悪意 = 善意は知らないこと、悪意は知っていること(良い・悪いの判断ではない)。
次に学ぶ
- 法の解釈 ── 法令用語を正確に押さえたうえで、条文の意味を読みとく作業。あわせて押さえると基礎法学が固まる。
- 法源 ── 法令用語が使われる法そのもの(成文法・不文法)の全体像。対にして整理すると混ざらない。
執筆: SikakuQuest編集部