行政庁とは(全体像)
行政庁とは、行政主体(国・地方公共団体)のために、法律上の意思を決定し、それを外部に表示する権限をもつ機関のこと。行政機関の中で、いちばん中心になる存在。
押さえる入口は2つ。
- 意思決定と外部表示 … 行政庁は、行政の意思を自分で決めて、外(国民)に向けて示す。補助機関などにはこの権限がない。
- 行政処分の主体 … 許可・不許可などの行政処分を行うのは行政庁。だから、行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法でも中心になる。
種類は、一人で決める独任制と、複数で決める合議制に分かれる。
詳しく:独任制と合議制、取消訴訟の被告
ここが心臓部。行政庁の種類と、取消訴訟の被告が誰かを押さえる。
独任制と合議制
| 種類 | 決め方 | 例 |
|---|---|---|
| 独任制 | 一人で意思を決定する | 各省大臣・都道府県知事・市町村長 |
| 合議制 | 複数で議論して決める | 内閣・公正取引委員会などの行政委員会 |
独任制は、大臣や知事のように一人が意思を決定する形。合議制は、内閣や行政委員会のように複数のメンバーで議論して決める形。どちらも行政庁である点は同じ。
次に、取消訴訟の被告。ここが試験で問われる。
取消訴訟の被告(2004年改正)
| 時期 | 被告 |
|---|---|
| 改正前 | 処分をした行政庁 |
| 改正後(2004年〜) | 処分をした行政庁が所属する国・公共団体 |
かつては、処分の取消しを求める訴訟(取消訴訟)の被告は、処分をした行政庁だった。しかし2004年の改正で、行政庁が所属する国や公共団体が被告になった。たとえば税務署長の課税処分を争うなら、被告は税務署長ではなく国になる。改正前と混同しやすいので注意。
わかりやすく言い換えると
つまり、行政庁は「役所の意思を決めて外に示す、中心のポスト」。一人で決めるのが独任制、みんなで決めるのが合議制。
試験のカギは「取消訴訟の被告は、いまは行政庁ではなく国・公共団体」。要するに、処分をしたのは行政庁だが、訴える相手はその所属する国・自治体、と覚えるとよい。
試験のツボ
🔴 一番出る:取消訴訟の被告は国・公共団体
2004年改正で、被告は処分をした行政庁ではなく、行政庁が所属する国・公共団体になった。
🔴 次に出る:独任制と合議制
①独任制 = 一人で決める(大臣・知事・市町村長)
②合議制 = 複数で決める(内閣・行政委員会)
🟡 押さえると安定:行政庁は意思決定・外部表示の権限をもつ
行政機関の中核で、行政処分の主体。補助機関などにはこの権限がない。
よくある間違い
①「取消訴訟の被告は、処分をした行政庁である」→ ✗ 2004年改正で、行政庁が所属する国・公共団体が被告になった。
②「行政庁は独任制だけで、合議制のものはない」→ ✗ 内閣や行政委員会のように合議制の行政庁もある。
③「すべての行政機関が行政庁である」→ ✗ 行政庁は意思決定・外部表示の権限をもつ機関に限られる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(行政庁の意味)
行政庁に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政庁とは、行政庁の事務を補助するだけの機関を指すものとされている
- 行政庁とは、行政の意思を決定し外部に表示する権限をもつ機関である
- 行政庁とは、権利義務が帰属する主体そのものを指すものとされている
- 行政庁とは、答申や議決を行うだけで処分を行わない機関を指すものとされている
解答は 2 である。
行政庁とは、行政の意思を決定し外部に表示する権限をもつ機関なのである。行政機関の中核で、行政処分の主体だ。
選択肢1は補助機関、選択肢3は行政主体、選択肢4は諮問機関や参与機関に関する説明であり、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | それは補助機関 |
| 2 | ✓ | 意思決定し外部表示する機関で正しい |
| 3 | ✗ | それは行政主体 |
| 4 | ✗ | それは諮問機関・参与機関 |
オリジナル問題2(独任制と合議制)
行政庁の種類に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政庁はすべて一人で決める独任制で、合議制のものはないものとされている
- 行政庁はすべて複数で決める合議制で、独任制のものはないものとされている
- 内閣や行政委員会は、一人で意思を決定する独任制の行政庁であるものとされる
- 一人で決める独任制と、複数で決める合議制の二つは、いずれも行政庁にあたる
解答は 4 である。
一人で決める独任制と、複数で決める合議制の、いずれも行政庁にあたるのである。大臣や知事が独任制、内閣や行政委員会が合議制だ。
選択肢1の「すべて独任制」、選択肢2の「すべて合議制」、選択肢3の「内閣が独任制」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 合議制の行政庁もある |
| 2 | ✗ | 独任制の行政庁もある |
| 3 | ✗ | 内閣・行政委員会は合議制 |
| 4 | ✓ | 独任制も合議制も行政庁で正しい |
オリジナル問題3(取消訴訟の被告)
取消訴訟の被告に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2004年改正で、被告は処分をした行政庁が所属する国・公共団体になった
- 取消訴訟の被告は、現在も処分をした行政庁そのものであるものとされている
- 取消訴訟の被告は、処分を受けた私人自身であるものとされている
- 取消訴訟には被告という概念がそもそも存在しないものとされている
解答は 1 である。
2004年改正により、取消訴訟の被告は、処分をした行政庁ではなく、その行政庁が所属する国・公共団体になったのである。税務署長の処分を争うなら、被告は国となるのだ。
選択肢2の「今も行政庁そのもの」、選択肢3の「私人自身」、選択肢4の「被告が存在しない」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 改正で国・公共団体が被告で正しい |
| 2 | ✗ | 改正後は行政庁そのものではない |
| 3 | ✗ | 被告は処分をした側 |
| 4 | ✗ | 被告は存在する |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 取消訴訟の被告は国・公共団体 = 2004年改正で、処分をした行政庁ではなく、その行政庁が所属する国・公共団体が被告になった。
- 🔴 独任制と合議制 = 一人で決める独任制(大臣・知事)と、複数で決める合議制(内閣・行政委員会)。
- 🟡 行政庁は意思決定・外部表示の権限をもつ = 行政機関の中核で、行政処分の主体。補助機関などにはこの権限がない。
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執筆: SikakuQuest編集部