嫡出推定とは(全体像)
嫡出推定とは、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子について、法律上の父子関係を推定するしくみのこと。「この子の父は誰か」を最初から決めておくことで、子の地位を早く安定させる。
基本のルールは2つ。
- 婚姻中に妊娠した子 … 夫の子と推定される
- 期間による推定 … 婚姻から200日を過ぎてから、または離婚から300日以内に生まれた子は、婚姻中に妊娠したものと推定される
この推定があるおかげで、生まれた子の父をいちいち証明しなくても、法律上の父が決まる。
詳しく:再婚特則と嫡出否認の訴え
ここが心臓部。2024年改正で加わった「再婚特則」と、推定を覆す「嫡出否認の訴え」が問われる。
再婚後に生まれた子の推定(2024年改正)
| 場面 | 改正後の扱い |
|---|---|
| 離婚後300日以内でも、母がすでに再婚している | 新しい夫(再婚相手)の子と推定される |
かつては、離婚後300日以内に生まれた子は前の夫の子と推定されたため、母が出生届を出さず無戸籍の子が生じる問題があった。2024年の改正で、母が再婚していれば新しい夫の子と推定されるようになり、この問題の解消が図られた。
次に、推定を覆す手続き。
嫡出否認の訴え(推定を覆す)
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 役割 | 嫡出推定された父子関係を否定するための訴え |
| 起こせる人(改正後) | 夫だけでなく、母や子も起こせる |
嫡出推定はあくまで「推定」なので、実際と違うときは嫡出否認の訴えで覆せる。かつては夫だけが起こせたが、2024年改正で母や子も起こせるようになり、子の立場を守る方向に広がった。
わかりやすく言い換えると
つまり、嫡出推定は「生まれた子の父をあらかじめ決めておく」しくみ。いちいち父を証明しなくても、法律上の父が決まるので、子の地位が早く安定する。
2024年改正の柱は2つ。「再婚後の子は新しい夫の子」と「否認の訴えは母・子も起こせる」。要するに、子を無戸籍にしない・子の立場を守る方向の改正、と覚えるとラク。
試験のツボ
🔴 一番出る:嫡出推定の基本
婚姻中に妻が妊娠した子は、夫の子と推定される。子の地位を早く安定させるためのしくみ。
🔴 次に出る:再婚特則(2024年改正)
離婚後300日以内でも、母がすでに再婚していれば、新しい夫の子と推定される。
🟡 押さえると安定:嫡出否認の訴え
推定を覆す訴え。2024年改正で、夫だけでなく母や子も起こせるようになった。
よくある間違い
①「離婚後300日以内の子は、必ず前の夫の子と推定される」→ ✗ 母が再婚していれば、新しい夫の子と推定される(2024年改正)。
②「嫡出推定された父子関係は、いっさい覆せない」→ ✗ 嫡出否認の訴えで覆せる。
③「嫡出否認の訴えは、今も夫だけが起こせる」→ ✗ 2024年改正で、母や子も起こせるようになった。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(嫡出推定の基本)
嫡出推定の基本に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 嫡出推定は、婚姻していない男女の間に生まれた子についてのみ働くものとされている
- 嫡出推定は、子の父をめぐる争いを大きくするために設けられたものとされている
- 嫡出推定があっても、子の父は出生のたびに必ず裁判で決めなければならないものとされる
- 婚姻中に妻が妊娠した子は夫の子と推定され、子の地位を早く安定させるしくみとされる
解答は 4 である。
婚姻中に妻が妊娠した子は夫の子と推定され、子の地位を早く安定させるしくみなのだ。父をいちいち証明しなくてよくなるのだよ。
選択肢1は「婚姻していない男女」とする点が誤りだ。選択肢2の「争いを大きくする」、選択肢3の「出生のたびに裁判」も誤り。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 婚姻関係にある夫婦の子について働く |
| 2 | ✗ | 争いを避けるためのしくみ |
| 3 | ✗ | 推定により裁判なしで父が決まる |
| 4 | ✓ | 夫の子と推定し地位を安定させるで正しい |
オリジナル問題2(再婚特則)
再婚後に生まれた子の推定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 離婚後300日以内に生まれた子は、母が再婚していても必ず前の夫の子と推定されるとされる
- 離婚後300日以内でも、母がすでに再婚していれば、新しい夫の子と推定される
- 再婚後に生まれた子については、父をまったく推定しないものとされている
- 再婚後に生まれた子の父は、母が自由に選んで決めることができるものとされている
解答は 2 だ。
離婚後300日以内でも、母がすでに再婚していれば、新しい夫の子と推定されるのだ。2024年改正で、無戸籍の子が生じる問題の解消が図られたのだよ。
選択肢1は「必ず前の夫の子」とする点が誤りだ。選択肢3の「まったく推定しない」、選択肢4の「母が自由に選べる」も誤り。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 再婚していれば新しい夫の子と推定 |
| 2 | ✓ | 再婚していれば新しい夫の子と推定で正しい |
| 3 | ✗ | 嫡出推定のしくみは働く |
| 4 | ✗ | 母が自由に選べるわけではない |
オリジナル問題3(嫡出否認の訴え)
嫡出否認の訴えに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 嫡出否認の訴えは、現在も夫だけが起こすことができるものとされている
- 嫡出推定された父子関係は、嫡出否認の訴えによっても覆せないものとされている
- 嫡出否認の訴えは、2024年改正で夫だけでなく母や子も起こせるようになった
- 嫡出否認の訴えは、第三者であれば誰でも自由に起こせるものとされている
解答は 3 である。
嫡出否認の訴えは、2024年改正で夫だけでなく母や子も起こせるようになったのだ。子の立場を守る方向に広がったのだよ。
選択肢1は「今も夫だけ」とする点が誤りだ。選択肢2の「覆せない」、選択肢4の「第三者なら誰でも」も誤り。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 改正で母・子も起こせる |
| 2 | ✗ | 否認の訴えで覆せる |
| 3 | ✓ | 改正で母・子も起こせるで正しい |
| 4 | ✗ | 誰でも自由に起こせるわけではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 嫡出推定の基本 = 婚姻中に妻が妊娠した子は夫の子と推定。子の地位を早く安定させる。
- 🔴 再婚特則(2024年改正) = 離婚後300日以内でも、母が再婚していれば新しい夫の子と推定。
- 🟡 嫡出否認の訴え = 推定を覆す訴え。2024年改正で夫だけでなく母や子も起こせる。
次に学ぶ
- 親子関係 ── 嫡出推定が位置づけられる親子関係の全体像。あわせて押さえる。
- 婚姻 ── 嫡出推定の前提となる夫婦関係。成立の要件とセットで理解する。
- 離婚 ── 離婚後の再婚と嫡出推定の改正のつながりを整理できる。
執筆: SikakuQuest編集部