平等原則とは(全体像)
平等原則とは、行政が、合理的な理由なく国民を差別的に扱ってはならないという原則のこと。憲法14条の「法の下の平等」を、行政の場面に具体化したもの。
押さえる入口は2つ。
- 同種の事案は同じく扱う … 似た事案を、理由なく違うように扱ってはいけない。
- 区別には合理的理由が必要 … 扱いに差をつけるなら、納得できる理由がいる。
たとえば、似たような違反をした2人に対し、一方は許可取消、もう一方は注意だけ、というように合理的な理由なく差をつけると、平等原則に反する。
詳しく:相対的平等と自己拘束の原則
ここが心臓部。「合理的な区別は許される」ことと、「過去と同じ扱いを求める」自己拘束の原則を押さえる。
平等原則は相対的平等
| 扱い | 平等原則との関係 |
|---|---|
| 合理的な理由のない差別 | 許されない(平等原則違反) |
| 合理的な理由のある区別 | 許される(例:実質的平等のための優遇) |
平等原則は、何でもまったく同じにする「絶対的平等」ではない。合理的な理由があれば、扱いに差をつける「区別」は許される(相対的平等)。たとえば、障害のある人への優遇措置のように、実質的な平等を実現するための区別は、平等原則に反しない。
次に「自己拘束の原則」。
自己拘束の原則
| 内容 | 平等原則との関係 |
|---|---|
| 過去の類似事例と同じく扱う必要 | 平等原則の具体化 |
自己拘束の原則とは、行政が過去に同種の事案を一定のやり方で扱ってきたら、その後の同種事案も同じく扱うべきという考え方。これは平等原則の具体化。類似の事案で合理的な理由なく異なる扱いをすると、裁量権の濫用として違法になりうる。
わかりやすく言い換えると
つまり、平等原則は「理由なく差別するな・似たものは同じく扱え」という考え方。ただし、合理的な理由があれば区別はできる(相対的平等)。
自己拘束の原則は「過去に同じように扱ってきたなら、今回も同じく扱え」。要するに、平等原則は絶対的な平等ではなく、合理的な区別は認める、と覚えるとよい。
試験のツボ
🔴 一番出る:合理的理由なき差別の禁止
行政は、合理的な理由なく国民を差別的に扱ってはならない。憲法14条に由来。
🔴 次に出る:相対的平等
合理的な理由のある区別は許される。何でも同じにする絶対的平等ではない。
🟡 押さえると安定:自己拘束の原則
過去の類似事例と同じく扱うべき。平等原則の具体化で、合理的理由なき差別は裁量権の濫用になりうる。
よくある間違い
①「平等原則は、何でもまったく同じにする絶対的平等である」→ ✗ 合理的な区別は許される相対的平等である。
②「合理的な理由があっても、扱いに差をつけてはいけない」→ ✗ 合理的な理由があれば、区別は許される。
③「過去の扱いと違っても、平等原則とは関係がない」→ ✗ 過去の類似事例と同じく扱うべきとする自己拘束の原則と関わる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(平等原則の意味)
平等原則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 平等原則とは、行政が国民をどのように扱ってもよいことを意味するものとされている
- 平等原則とは、合理的な理由があっても区別を許さないことを意味するものとされる
- 平等原則とは、合理的な理由なく国民を差別的に扱ってはならないという原則である
- 平等原則とは、似た事案であっても自由に異なる扱いをしてよいことを意味するとされる
解答は 3 である。
平等原則とは、合理的な理由なく国民を差別的に扱ってはならないという原則なのである。憲法14条の法の下の平等を、行政に具体化したものだ。
選択肢1の「どのように扱ってもよい」、選択肢2の「区別を許さない」、選択肢4の「自由に異なる扱い」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 差別的な扱いは許されない |
| 2 | ✗ | 合理的な区別は許される |
| 3 | ✓ | 合理的理由なき差別の禁止で正しい |
| 4 | ✗ | 似た事案は同じく扱うべき |
オリジナル問題2(相対的平等)
平等原則と区別の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 平等原則は相対的平等で、合理的な理由のある区別は許されるものとされている
- 平等原則は絶対的平等で、いかなる区別もいっさい許されないものとされている
- 平等原則のもとでは、合理的な理由のない差別も当然に許されるものとされている
- 平等原則のもとでは、実質的平等のための優遇措置はすべて違法になるものとされる
解答は 1 である。
平等原則は相対的平等で、合理的な理由のある区別は許されるのである。障害のある人への優遇のように、実質的な平等のための区別は違反とならぬのだ。
選択肢2の「絶対的平等」、選択肢3の「合理的理由のない差別も許される」、選択肢4の「優遇措置はすべて違法」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 相対的平等で合理的な区別は許されるで正しい |
| 2 | ✗ | 絶対的平等ではない |
| 3 | ✗ | 合理的理由のない差別は許されない |
| 4 | ✗ | 合理的な優遇措置は許される |
オリジナル問題3(自己拘束の原則)
自己拘束の原則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 自己拘束の原則は、過去の扱いとは無関係に行動してよいことを意味するものとされる
- 自己拘束の原則は、平等原則とはまったく関係のない別の原則であるものとされている
- 自己拘束の原則のもとでは、類似事案を理由なく違えても違法にならないものとされる
- 自己拘束の原則は、過去の類似事例と同じく扱うべきとする平等原則の具体化といえる
解答は 4 である。
自己拘束の原則は、過去の類似事例と同じく扱うべきとする、平等原則の具体化なのである。理由なく違う扱いをすれば、裁量権の濫用として違法になりうると心得よ。
選択肢1の「過去とは無関係」、選択肢2の「平等原則と無関係」、選択肢3の「違えても違法にならない」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 過去の扱いに拘束される |
| 2 | ✗ | 平等原則の具体化である |
| 3 | ✗ | 理由なき差別は違法になりうる |
| 4 | ✓ | 過去と同じく扱う平等原則の具体化で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 合理的理由なき差別の禁止 = 行政は合理的な理由なく国民を差別的に扱ってはならない。憲法14条に由来。
- 🔴 相対的平等 = 合理的な理由のある区別は許される。絶対的平等ではない。
- 🟡 自己拘束の原則 = 過去の類似事例と同じく扱うべき。平等原則の具体化で、理由なき差別は裁量権の濫用になりうる。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部