行政書士の稼げる業務とは?需要から考える選び方

公開: 更新: カテゴリ: 学習法・キャリア

結論——「稼げる業務」は掛け算で決まる

まず、いちばん大事な考え方から。「どの業務がいちばん稼げるか」という問いには、ひとつの正解はありません。

なぜなら、稼げるかどうかは、業務の名前そのものではなく、三つの要素の掛け算で決まるからです。その分野に「需要」があるか。自分がその仕事に「向いている」か。そして、まわりとの「競争」が激しすぎないか。

たとえば、需要が大きくても、競争が激しければ、なかなか食い込めません。逆に、需要がそこそこでも、自分の経験が生きて競争相手が少なければ、安定して稼げることもあります。

正直なところ、「この業務をやれば必ず稼げる」という魔法の分野はありません。だからここでは、特定の業務名を売り込むのではなく、「需要から考えて、自分に合う分野をどう選ぶか」という見方をお伝えします。まずは、安定した需要で知られる分野を、ひとつ深く見てみましょう。


入り口に見る——建設業許可という分野

「稼げる業務」を考えるとき、よく入り口として挙げられるのが、建設業許可です。なぜこの分野が注目されるのか、少し掘り下げてみます。

建設業を営むには、一定規模以上の工事を請け負う場合、許可が必要になります。この許可は一度取れば終わりではなく、定期的な更新や、決算ごとの届け出などが続きます。つまり、一度お客さんになると、長いお付き合いになりやすい。これが、収入の安定につながると言われる理由です。

しかも、建設業は事業者の数が多く、許可を必要とする会社も全国にたくさんあります。需要の土台が、もともと大きいんです。行政の許可は、行政法でいう行政行為のひとつ。その仕組みを理解していることが、実務での強みになります。

実際の仕事は、許可の申請書類を整えるだけでなく、公共工事の入札に関わる経営事項審査の手続きなど、専門性のある業務にも広がります。覚えることは多いですが、一度型を身につければ、同じ流れを繰り返し生かせる。そこも、安定につながりやすい理由のひとつです。

ただし、需要が大きいぶん、この分野を手がける行政書士も多く、競争もあります。だから、「建設業をやれば誰でも安泰」ではありません。地域での信頼や、対応の丁寧さといった、自分なりの強みが、やはり問われます。

更新や継続の届け出がある業務は、一度の依頼で終わらず、長い関係になりやすい。「単発」より「継続」。そこに、収入の安定の芽があるのだと心得よ。

要するに、建設業許可は「継続的な需要」という観点で、安定を狙いやすい分野のひとつ。これを基準に、他の分野も見ていきましょう。


見渡してみる——入管・補助金・相続

建設業許可を基準にすると、他の分野の特徴も、見えやすくなります。それぞれを、対比しながら眺めてみましょう。

入管(在留資格)関連は、外国人を雇う企業や、日本で暮らす外国人からの需要がある分野です。在留資格の認定や変更、更新、帰化の申請など、扱う手続きはさまざま。人手不足を背景に外国人材が増えていることから、需要が伸びているとも言われます。社会の動きと結びつきが強く、語学や国際的な感覚が生きる人に向いています。一方で、手続きが細かく、書類の正確さと、制度改正を追い続ける根気が求められます。

補助金・助成金の関連は、事業者が国や自治体の支援を受けるための申請を支える仕事です。創業や設備投資、雇用などに使える制度があり、事業者にとっては大きな助けになります。ただし、募集の時期や予算が決まっていることが多く、需要には波があります。タイミングを逃さない情報感度と、事業計画を読み解く力がものを言う分野です。制度は毎年のように見直されるため、最新情報を追い続ける姿勢も欠かせません。

相続関連は、高齢化を背景に、長く安定した需要が見込まれる分野です。遺言書の作成支援や、遺産分割の協議書、相続関係を示す書類づくりなど、暮らしに身近な仕事が中心です。民法でいう権利能力など、人と財産をめぐる基礎知識が、そのまま実務で生きてきます。ただし、登記や税務など、ほかの士業の領域と隣り合う場面も多いので、必要に応じて連携する姿勢が大切です。

こうして並べると、どの分野にも「需要の形」と「向く人の特徴」があるのが分かります。安定している分野もあれば、波はあるけれど当たれば大きい分野もある。万人にとっての正解はなく、それぞれに違った魅力と難しさがあるんです。つまり、大事なのは「どれがいちばん稼げるか」ではなく、「自分にはどれが合うか」なんです。


「自分に合う業務」の選び方

では、自分に合う分野を、どう選べばいいのか。三つの視点で考えてみましょう。

ひとつ目は、「自分の経験が生きるか」。前職や得意分野とつながる業務は、最初から強みを持って始められます。建設会社で働いていた人が建設業許可を、国際的な仕事をしていた人が入管を選ぶ、といった具合です。

ふたつ目は、「その仕事を続けられるか」。どんなに需要があっても、自分が興味を持てない仕事は、長続きしません。行政の判断のしくみ、たとえば行政裁量のような論点も、面白いと感じられる分野なら、学び続けるのが苦になりません。

そして三つ目は、「競争のなかで、何で選ばれるか」。同じ分野に多くの行政書士がいるなら、「自分はここが違う」と言える何かが要ります。それは、特定の地域への密着かもしれないし、丁寧な対応かもしれません。

経験が生きるか。続けられるか。競争のなかで選ばれるか。この三つが重なる分野こそ、汝にとっての「稼げる業務」なのである。他人の正解を、追いかけるな。

だから、「稼げる業務ランキング」を探すより、この三つの視点で自分を見つめるほうが、ずっと確かな道しるべになります。


一つに絞るか、組み合わせるか

「分野は一つに絞るべきか、いくつか手がけるべきか」。これも、よく迷うところです。

最初のうちは、一つの分野に集中するのが、おすすめされることが多いです。あれもこれもと手を広げると、どれも中途半端になりがち。まずは一つを深く掘って、「この分野ならこの人」と覚えてもらえる強みを作るほうが、立ち上がりは早くなります。

そのうえで、慣れてきたら、相性のいい分野を足していく。たとえば、建設業許可を入り口に、関連する会社設立の支援へ広げる。相続を扱ううちに、関連する手続きへ広げる。こうして、ひとつの依頼が次の依頼を呼ぶ「つながり」を意識すると、仕事が自然に広がっていきます。

要するに、「広げるな」ではなく、「まず一点を深く、それから自然につなげる」。この順番が、無理のない育て方なんです。


数字に惑わされない、誠実な見方

最後に、収入の話を、誠実にお伝えします。「この業務は年収〇〇万円」といった情報を見かけることがありますが、これは鵜呑みにしないでください。

同じ業務でも、稼げる人とそうでない人の差は、とても大きいのが現実です。掲げられた数字は、うまくいった一例であることも多く、全員に当てはまるわけではありません。

現実的な手応えを知りたいなら、ネットの数字より、実際にその分野で働く先輩の話を聞くほうが確かです。行政書士会の研修や交流の場では、生の実情に触れられることもあります。合格後でかまわないので、「数字」より「人」から学ぶ姿勢を持っておくと、地に足のついた判断ができます。

大事なのは、「業務を選べば稼げる」のではなく、「選んだ業務で、どう動くか」だということ。需要のある分野を選び、自分の強みを生かし、地道に信頼を積む。その積み重ねの先に、収入はついてきます。

個人的には、「稼げる業務」を探す旅は、「自分はどんな仕事で、誰の役に立ちたいか」を見つける旅でもあると思っています。役に立てる相手が見えたとき、その仕事は、稼げるだけでなく、続けたい仕事になります。数字だけを追うより、その視点を持つことが、結局はいちばんの近道なんです。



理解度チェック

ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。

📝 オリジナル問題 1 稼げる業務の決まり方

行政書士の「稼げる業務」の考え方として、正しいものはどれか。

  1. 需要・適性・競争の掛け算で決まると考える
  2. 業務の名前だけで稼げるかどうかが決まっている
  3. ランキング上位を選べば必ず稼げる
  4. 競争の激しさは気にしなくてよい
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 1 である。

稼げるかは、業務名でなく、需要・適性・競争の掛け算で決まる。つまり、三つのバランスで考えることが肝心なのだ。

選択肢判定理由
1✓ 正解三要素の掛け算で決まる
2✗ 誤り名前だけでは決まらない
3✗ 誤り上位でも個人差が大きい
4✗ 誤り競争も大事な要素

要するに、業務名より、三つの掛け算で見るのが正しいのである。

📝 オリジナル問題 2 安定需要の特徴

収入の安定につながりやすい業務の特徴として、正しいものはどれか。

  1. 一度きりの単発の依頼ばかりが次々と集まる
  2. 依頼者とのつながりが毎回すぐ切れる
  3. 更新や継続の届け出があり関係が続く
  4. 競争相手がなく営業がいらない
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 3 である。

更新や継続の届け出がある業務は、一度の依頼で終わらない。わかりやすく言い換えると、長い関係になりやすく、それが安定につながるのだ。

選択肢判定理由
1✗ 誤り単発は安定しにくい
2✗ 誤り関係が続くほうが安定
3✓ 正解継続的な関係が芽になる
4✗ 誤り競争のない分野はまれ

つまり、「単発」より「継続」に安定の芽があるのである。

📝 オリジナル問題 3 業務の選び方

自分に合う業務の選び方として、正しいものはどれか。

  1. 収入の数字が高い業務だけを基準にしてしまう
  2. 経験・継続・競争の視点で自分に照らす
  3. まわりが選ぶ業務に必ず合わせる
  4. 興味のなさは気にせず需要だけで決める
ロアマスター
ロアマスター 解答・解説

解答は 2 である。

自分の経験が生きるか、続けられるか、競争のなかで選ばれるか。つまり、この三つの視点で自分に照らして選ぶのが確かなのだ。

選択肢判定理由
1✗ 誤り数字だけでは続かない
2✓ 正解三つの視点で照らす
3✗ 誤り他人基準は迷いやすい
4✗ 誤り興味も続ける鍵

要するに、他人の正解でなく、自分の軸で選ぶのである。


「稼げる業務は、自分に合うかで考えればいい」と感じてもらえたなら、編集部としてはとても嬉しいです。

稼げるかは、需要・適性・競争の掛け算。安定の芽は「継続的な関係」にあり、選び方は「経験・継続・競争」の三つの視点で自分に照らすこと。数字を鵜呑みにせず、自分の強みが生きる分野を探す。完璧な答えを待つより、まずは今日、合格に向けた一問から始めてみる。その小さな一歩が、いちばん確かなスタートになります。

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