保険料の計算原理とは(全体像)
保険料は、保険会社が好き勝手に決めているわけではなく、統計と数学にもとづいて計算されている。だから「収入(保険料)」と「支出(保険金)」がつり合うように設計できる。
押さえるのは、保険料計算を支える3つの考え方。①収入と支出を等しくする「収支相等の原則」、②多数集めて確率を安定させる「大数の法則」、③保険料の基礎になる「予定3率」。この3つがFP2級でよく問われる。
詳しく:3つの原理と予定3率
ここが記事の心臓部。3つの原理を整理する。
保険料計算の3つの原理
| 原理 | 中身 |
|---|---|
| 収支相等の原則 | 集めた保険料の総額と、支払う保険金などの総額が等しくなるように設計する |
| 大数の法則 | 多数集めると、1件ずつは予測できなくても、全体では確率が安定して予測できる |
| 予定3率 | 保険料の基礎になる3つの率(下の表) |
そして、保険料の基礎になる予定3率は次のとおり。
予定3率
| 率 | 中身 |
|---|---|
| 予定死亡率 | どれくらいの人が亡くなるかの見込み |
| 予定利率 | 集めた保険料を運用して得られる利回りの見込み |
| 予定事業費率 | 保険会社の運営にかかる費用の見込み |
整理のコツは2つ。
①3つの原理をセットで。収支相等の原則・大数の法則・予定3率。保険料は「なんとなく」ではなく、この原理で決まる。
②予定3率は「死亡率・利率・事業費率」。この3つの見込みをもとに保険料が計算される。
なお、率の水準などは時期で変わることがある。受験する年度の最新の内容もあわせて確認しておくとよい。
わかりやすく言い換えると
つまり保険料の計算原理は、「保険料を数学で公平に決めるための土台」だとイメージするとラク。
要するに、収支相等の原則は「みんなから集めるお金と、みんなに払うお金をつり合わせる」考え方。大数の法則は「人を多く集めるほど、起こる割合が読めるようになる」考え方。そして予定3率は「死亡率・利率・事業費率という3つの見込み」で、これをもとに保険料が決まる。
ひっかけは「保険料は会社が恣意的に決めている」という思い込み。実際は数理計算にもとづいている、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:3つの原理
①収支相等の原則=保険料の総額と保険金などの総額を等しくする
②大数の法則=多数集めると確率が安定して予測できる
🔴 次に出る:予定3率
①予定死亡率・予定利率・予定事業費率の3つ
②この3つの見込みをもとに保険料が決まる
🟡 押さえると安定:恣意的ではない
①保険料は数理計算にもとづいて決まる
②なんとなく決めているわけではない
よくある間違い
①「保険料は会社が自由気ままに決めている」→ ✗ 収支相等の原則や大数の法則など、数理計算にもとづいて決まる。
②「予定3率は死亡率だけ」→ ✗ 予定死亡率・予定利率・予定事業費率の3つ。
③「大数の法則は1件ごとの結果を当てるもの」→ ✗ 1件ずつは読めなくても、多数集めると全体の確率が安定するという考え方。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(収支相等の原則)
保険料計算の収支相等の原則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 収支相等の原則とは、集めた保険料の総額と支払う保険金の総額が等しくなるように設計する考え方だ
- 収支相等の原則とは、保険会社が必ず大きな利益を得られるように保険料を高く設定する考え方とされる
- 収支相等の原則とは、保険料を契約者ごとに気分で自由に決めてよいとする考え方であるものとされる
- 収支相等の原則とは、保険金をいっさい支払わずに保険料だけを集めることを目指す考え方とされている
解答は 1 だよ。
収支相等の原則は、集めた保険料の総額と支払う保険金などの総額が等しくなるように設計する考え方なんだ。
選択肢2は「必ず大きな利益」、選択肢3は「気分で自由に決める」、選択肢4は「保険金を支払わない」で、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 保険料と保険金の総額を等しくし正しい |
| 2 | ✗ | 利益を最大化する考え方ではない |
| 3 | ✗ | 気分で決めるものではない |
| 4 | ✗ | 保険金は支払われる |
オリジナル問題2(大数の法則)
保険料計算の大数の法則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 大数の法則とは、契約が1件だけでも、その人にいつ何が起こるかを正確に当てられるという考え方とされる
- 大数の法則とは、人数を少なくするほど確率の予測が正確になるという考え方であるものとされている
- 大数の法則とは、多数を集めると1件ずつは読めなくても全体の確率が安定するという考え方のことである
- 大数の法則とは、確率という考え方そのものを否定し、すべては偶然だとする考え方とされている
解答は 3 だよ。
大数の法則は、多数集めると、1件ずつは読めなくても全体の確率が安定するという考え方なんだ。だから保険のしくみが成り立つんだよ。
選択肢1は「1件で正確に当てる」、選択肢2は「少ないほど正確」、選択肢4は「確率を否定する」で、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 1件ごとの結果は当てられない |
| 2 | ✗ | 多数集めるほど安定する |
| 3 | ✓ | 多数で全体の確率が安定し正しい |
| 4 | ✗ | 確率にもとづく考え方 |
オリジナル問題3(予定3率)
保険料の基礎になる予定3率に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 予定3率は予定死亡率だけを指し、利率や事業費率は保険料の計算に使わないものとされている
- 予定3率は、予定死亡率・予定利率・予定事業費率の3つで、これをもとに保険料が計算される
- 予定3率は契約者の好きな数字を当てはめてよく、会社ごとの決まりはいっさいないものとされている
- 予定3率という考え方は存在せず、保険料はくじ引きで決めているものと決められている
解答は 2 だよ。
予定3率は、予定死亡率・予定利率・予定事業費率の3つで、これをもとに保険料が計算されるんだ。
選択肢1は「死亡率だけ」、選択肢3は「好きな数字を当てはめる」、選択肢4は「くじ引きで決める」で、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 利率・事業費率も使う |
| 2 | ✓ | 死亡率・利率・事業費率の3つで正しい |
| 3 | ✗ | 好きに当てはめるものではない |
| 4 | ✗ | くじ引きではなく数理計算 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 3つの原理。収支相等の原則・大数の法則・予定3率。保険料は数学で決まる。
- 🔴 予定3率は死亡率・利率・事業費率。この3つの見込みをもとに保険料が計算される。
- 🟡 恣意的ではない。なんとなくではなく、数理計算にもとづいて決まる。
次に学ぶ
- 保険法 ── 保険契約のルールを定めた法律。計算の原理とあわせて、保険のしくみの土台が見える。
- 保険料のしくみ ── FP3級で学ぶ保険料の基本。純保険料・付加保険料といった内訳とあわせて押さえると理解が深まる。
執筆: SikakuQuest編集部