【宅建の実務】抵当権付きの家、買っても大丈夫?──抹消の流れをやさしく説明する
中古住宅を検討するお客様から、不安の相談が届く。
「気に入った中古の家の登記簿を見たら、売主が借り入れをしている銀行の『抵当権』が付いていました。このまま買って大丈夫なのでしょうか? もし売主がお金を返せなくなったら、私は家を失ってしまうのでしょうか?」
宅建の試験では「抵当権」は権利関係の中心テーマ。覚えた知識が力になるのは、こうして不安な買主に、実際の取引の流れをもって安心を渡せたときだ。この記事では、抵当権の意味と抹消の流れを整理する。
まず、抵当権とは何か
抵当権は、売主が借り入れの担保として設定した権利。たしかに、抵当権が残ったまま所有権だけを引き継ぐと、売主の返済が滞った場合に物件が競売にかけられ、買主が所有権を失うおそれがある。
だから「抵当権が付いている=そのまま買うと危険」というお客様の心配は、理屈としては正しい。ただし、実際の取引ではその状態のまま引き渡すことはしない。
結論:通常は決済と同時に抹消する
通常の取引では、決済(引渡し)と同時に、買主が支払う売却代金で売主の借入を完済し、抵当権を抹消する手続きを行う。
つまり、抵当権が消えた状態で物件を引き渡すのが原則。「抵当権が付いているから危険」で終わりではなく、「抹消してから引き渡す段取りになっている」まで伝えると、不安が安心に変わる。契約前に、抹消の段取りや必要書類まで一緒に確認しておくとよい。
プロならこう説明する
ロイさん、ご不安な点、よく分かります。登記簿の「抵当権」は、売主さんが借り入れの担保として設定した権利です。
たしかに、抵当権が残ったまま所有権だけを引き継ぐと、売主さんの返済が滞った場合に物件が競売にかけられ、ロイさんが所有権を失うおそれがあります。
そこで通常の取引では、決済(引渡し)と同時に、お支払いいただく売却代金で売主さんの借入を完済し、抵当権を抹消する手続きを行います。つまり、抵当権が消えた状態で物件をお引渡しするのが原則です。
契約前に、抹消の段取りや必要書類も一緒に確認しますので、安心して検討していただけます。
説明で気をつけたいこと
- 不安をあおらない:「危険です」で止めず、「抹消してから引き渡す流れ」までセットで伝える。
- 断定的な保証もしない:「絶対に安全」ではなく、原則の流れと確認事項を正確に示す。
- 段取りを一緒に確認:抹消の手続き・必要書類・タイミングを契約前に確かめる。
この場面で効いている宅建の知識
- 根拠条文:民法 第369条(抵当権)
- 抵当権の意味:借入の担保として設定される権利。残ると競売のおそれがある
- 実務の原則:決済と同時に売却代金で借入を完済し、抵当権を抹消して引き渡す
「抵当権とは担保権」という試験知識が、そのまま取引の流れと安心の説明につながっている。
自分でやってみる
学習アプリ「シカクエ」の実務クエストでは、この相談に自分で返信を書いて採点を受けられる(架空の練習用)。抵当権の意味と抹消の流れを、不安をあおらず安心につなげられるか、試してみると定着が進む。