【宅建の実務】専任で預かった物件、いつ公開される?──レインズ登録の期限を説明する
専任媒介契約を結んだ売主から、こんな質問が届く。
「御社にお任せしました。うちの家の情報は、いつごろから他の不動産会社にも伝わるのでしょうか。知り合いから『囲い込みに気をつけろ』と言われて、少し気になっています。」
この質問に日付で答えられるかどうかで、売主の受け止めは変わる。宅建の試験で覚えた「7日・5日」は、まさにこの場面で使う数字だ。この記事では、登録の期限、日数の数え方、登録後に売主へ渡すもの、報告の頻度までを通しで整理する。
まず結論:専任は7日以内、専属専任は5日以内
指定流通機構(レインズ)への登録は、宅建業者の義務として条文に置かれている。
宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。(宅地建物取引業法34条の2第5項)
その期間は省令で定まっている。
法第三十四条の二第五項の国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から七日(専属専任媒介契約にあつては、五日)とする。
2 前項の期間の計算については、休業日数は算入しないものとする。(宅地建物取引業法施行規則15条の10)
| 媒介契約の種類 | レインズへの登録 | 業務処理状況の報告 |
|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 義務なし | 義務なし |
| 専任媒介契約 | 締結の日から7日以内 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介契約 | 締結の日から5日以内 | 1週間に1回以上 |
報告の頻度も条文にある。専任媒介契約を締結した業者は、依頼者に対し業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならず、専属専任媒介契約では1週間に1回以上になる(34条の2第9項)。
つまずきやすいのは「休業日を数えない」
規則15条の10第2項が、期間の計算については休業日数は算入しないと定めている。だから「7日以内」は暦の7日ではない。
水曜定休の会社が金曜に専任媒介契約を締結したとする。土日も休業日であれば、それらは数えない。結果として、暦の上では2週間近く後になることがある。売主に「7日以内です」とだけ伝えると、8日目に「まだ載っていない」と連絡が来る。暦の日付に直して伝えるのが実務の形になる。
もう1つ、条文が「7日以内」ではなく「登録しなければならない」期間として書いている点を押さえる。7日目に出せばよいのではなく、それが上限だ。実務では締結の翌営業日に登録するのが通例で、売主にはその実際の運用を伝えたほうが伝わる。
なぜ登録が義務になっているのか
専任媒介契約と専属専任媒介契約では、売主は他の業者に重ねて依頼できない。専属専任ではさらに、その業者が探した相手方以外の者と契約を締結できない(34条の2第9項かっこ書、規則15条の9第2号)。つまり売主は、売却の経路を1社に預けている。
預けた側からすると、その1社が動かなければ売れない。そこで法律は、依頼を独占する代わりに、物件情報を業界全体へ流す義務を課した。専属専任のほうが期限が短く報告も多いのは、売主の自由をより多く預かっているからだ。制限の重さと義務の重さが対応している。
有効期間の上限も同じ発想で置かれている。専任媒介契約の有効期間は3月を超えることができず、これより長い期間を定めたときはその期間は3月となる(34条の2第3項)。更新はできるが、更新の時から3月を超えることができない(同条4項)。自動更新の特約は置けないという理解につながる。
登録したら、売主に何を渡すか
登録して終わりではない。条文は、その後の手続きまで定めている。
- 登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡す(34条の2第6項)。この書面は、指定流通機構が登録をした業者に対して発行するものだ(50条の6)。
- 成約したときは、遅滞なく指定流通機構に通知する(34条の2第7項)。通知する事項は、登録番号、宅地または建物の取引価格、売買または交換の契約が成立した年月日と定められている(規則15条の13)。
- 申込みがあったときは、遅滞なく依頼者に報告する(34条の2第8項)。これは専任型に限らず、媒介契約を締結した業者すべてに課される義務だ。
売主の「囲い込みが心配」に対して、いちばん強い答えは1番目にある。登録を証する書面を渡すこと自体が、登録した事実の証明になる。この書面には登録番号が入っており、売主はレインズの売却依頼主向けの確認画面から、自分の物件の登録状況を見ることができる。「見られる形でお渡しします」と言えるのが、この場面の答えになる。
3番目も見落としやすい。申込みがあったことの報告義務は、専任型かどうかを問わない。他社から問い合わせがあったのに売主に伝えない、という運用は、この条文に正面から触れる。
登録する内容——「所在と価格だけ」ではない
34条の2第5項は、登録する事項として所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を挙げている。省令が定める事項には、次のものが含まれる(規則15条の11)。
| 号 | 登録する事項 |
|---|---|
| 1号 | 都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの |
| 2号 | 取引の申込みの受付に関する状況 |
| 3号 | 交換の契約に係るものである場合は、宅地または建物の評価額 |
2号が重要だ。申込みを受け付けているかどうかの状況も、登録事項に入っている。買主側の業者から見て「商談中なのか、まだ受け付けているのか」が分かる形にしておくことが、条文の求めるところになる。
これらの規定に反する特約は無効
34条の2第10項は、3項から6項まで、および8項・9項の規定に反する特約は無効と定めている。対象になるのは次のものだ。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 3項・4項 | 専任媒介契約の有効期間3月の上限と更新 |
| 5項 | 指定流通機構への登録 |
| 6項 | 登録を証する書面の引渡し |
| 8項 | 申込みがあったときの報告 |
| 9項 | 業務処理状況の報告頻度 |
だから「レインズには登録しない」「報告は月1回とする」といった特約は効かない。売主から「登録しないでほしい」と言われても、業者は登録義務を免れない。ここは合意で動かせない領域だと、契約の場で伝えておく。
説明の手順——この順番で伝える
- 契約の種類を確認する。専任か、専属専任か。期限と報告頻度がここで決まる。
- 自社の休業日を数えて、暦の期限日を出す。「◯月◯日までに登録します」と日付で伝える。
- 実際の登録予定日を伝える。上限ではなく、いつ出すかを言う。
- 登録後、登録を証する書面を渡す(34条の2第6項)。登録番号を一緒に確認する。
- 売主が自分で確認する方法を渡す。登録番号で登録状況を見られることを伝える。
- 報告の曜日を決める。2週間に1回以上、または1週間に1回以上。曜日を固定すると、売主が待つ形にならない。
- 申込みがあったら遅滞なく報告すると約束する(34条の2第8項)。
この7ステップを踏むと、渡せるものが「登録します」から「◯日までに登録し、番号をお渡しし、毎週◯曜日にご報告します」に変わる。囲い込みへの不安は、約束を日付にすることでほどける。
プロならこう説明する
大事なご質問をいただきました。日付でお答えします。
今回お結びいただいたのは専任媒介契約ですので、法律上、契約から7日以内にレインズという業者間のシステムへ登録する義務があります。この7日は営業日で数える決まりになっておりまして、当社の休業日は数えません。ですので、暦でいいますと◯月◯日が期限になります。
ただ、期限いっぱいまで待つ理由はありませんので、明日、登録いたします。登録が済みましたら、レインズが発行する登録を証する書面をお渡しします。これは法律で交付が義務づけられている書面です。
その書面に登録番号が記載されています。売主さまご自身で、この番号から登録の状況をご確認いただけます。ご覧になる手順も一緒にお渡しします。私どもの言葉ではなく、システム側でご確認いただける形ですので、そちらでお確かめください。
ご心配になっている点について、あわせてお伝えします。レインズには、物件の所在や価格だけでなく、お申し込みを受け付けている状況も登録する決まりになっています。商談中でもないのに「商談中」として他社からの問い合わせを止めることは、この決まりに反します。
ご報告についてもお約束します。専任媒介契約では、業務の処理状況を2週間に1回以上ご報告することが義務づけられています。当社では毎週◯曜日にお送りしますので、義務の頻度より多くお届けする形になります。反響の件数、内覧のご予約、他社からのお問い合わせ。数字でお出しします。
それから、購入のお申し込みが入りましたら、その時点で遅滞なくご連絡します。これも法律で定められた義務です。定例の報告を待たずにご連絡しますので、その点はご承知おきください。
なお、この契約の有効期間は3か月が上限です。自動で更新される仕組みにはなっておらず、期間が来ましたら売主さまのお申し出で更新していただく形になります。3か月後にあらためて、進み方をご一緒に見直しましょう。
よくある質問と、その答え方
「一般媒介にすれば、複数の会社が動いてくれますか」
一般媒介契約では、複数社に重ねて依頼できる。ただし指定流通機構への登録義務も、業務処理状況の報告義務もない(34条の2第5項・9項はいずれも専任媒介契約が対象)。「複数社が動く」ことと「情報が広く行き渡る」ことは別だと分けて伝える。専任のほうがレインズを通じて全業者に届くという構造は、売主が誤解しやすいところになる。
「有効期間を6か月にしてもらえますか」
できない。専任媒介契約の有効期間は3月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは、その期間は3月とする(34条の2第3項)。6か月と書いても3か月として扱われる。更新は依頼者の申出によって可能だが、更新の時から3月を超えることができない(同条4項)。この規定に反する特約は無効になる(同条10項)。
「まだ売り出したくないので、登録を待ってもらえますか」
登録は法律上の義務で、これに反する特約は無効になる(34条の2第10項)。売主の希望であっても、専任媒介契約を締結した以上は登録する。売り出しの時期を調整したいのであれば、媒介契約の締結時期そのものをずらすという形になる。「登録しない専任媒介」は制度として存在しない、と正確に伝える。
説明で外したくないポイント
- 専任7日・専属専任5日(規則15条の10第1項)。
- 休業日数は算入しない:暦の日付に直して伝える(同条2項)。
- 登録を証する書面を遅滞なく引き渡す(34条の2第6項、50条の6)。
- 申込みの受付状況も登録事項(規則15条の11第2号)。
- 報告は専任2週間に1回以上、専属専任1週間に1回以上(34条の2第9項)。
- 申込みがあったら遅滞なく報告:媒介契約すべてに及ぶ(同条8項)。
- これらに反する特約は無効(同条10項)。
根拠条文のまとめ
| 条文 | 見出し | この記事で使った内容 |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業法34条の2第3項・4項 | 媒介契約 | 専任媒介契約の有効期間は3月が上限。更新の時から3月を超えられない |
| 宅地建物取引業法34条の2第5項 | 同上 | 専任媒介契約を締結したときは、省令で定める期間内に指定流通機構へ登録する |
| 宅地建物取引業法34条の2第6項 | 同上 | 登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡す |
| 宅地建物取引業法34条の2第7項 | 同上 | 成約したときは遅滞なく指定流通機構に通知する |
| 宅地建物取引業法34条の2第8項 | 同上 | 申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告する |
| 宅地建物取引業法34条の2第9項 | 同上 | 業務処理状況の報告は2週間に1回以上(専属専任は1週間に1回以上) |
| 宅地建物取引業法34条の2第10項 | 同上 | 3項から6項まで及び8項・9項に反する特約は無効 |
| 宅地建物取引業法50条の6 | 登録を証する書面の発行 | 指定流通機構は登録した業者に登録を証する書面を発行する |
| 宅地建物取引業法施行規則15条の10 | 指定流通機構への登録期間 | 専任7日・専属専任5日。休業日数は算入しない |
| 宅地建物取引業法施行規則15条の11 | 指定流通機構への登録事項 | 法令に基づく主要な制限、取引の申込みの受付に関する状況、交換の場合の評価額 |
| 宅地建物取引業法施行規則15条の13 | 指定流通機構への通知 | 登録番号、取引価格、契約が成立した年月日 |