【宅建の実務】伝えるべき?──告知事項の扱いを売主に助言する
中古の一戸建てを売る売主から、こんな相談が届く。
「家を売りに出したいのですが、実はこの家では過去に住人が亡くなる出来事がありました。買う人には言いたくない気持ちもあります。黙って売ってしまってもいいのでしょうか? それとも伝える必要がありますか?」
宅建の試験でも問われる「告知事項」は、実務で売主の気持ちと正確さの両方を扱う難しいテーマ。覚えた知識が力になるのは、こうして売主の気持ちに寄り添いつつ、正確に助言できたときだ。この記事では、伝えるべき事実の考え方を整理する。
まず結論:判断に重要な影響を及ぼす事実は伝える
基準はシンプルだ。買主が「そのことを知っていたら契約しなかった、あるいは条件を考え直した」と思うような、判断に重要な影響を及ぼす事実は、告知事項として伝える必要がある。
今回のような過去の出来事(いわゆる心理的瑕疵)も、これに当たる場合がある。故意に告げなかったり、事実と違う説明をしたりすることは避けなければならない。「言いたくない」という気持ちは自然だが、伝えるかどうかは"気持ち"ではなく"判断に重要か"で決まる。
なぜ、伝えた方が結果的に安心なのか
事実を伝えずに売ってしまうと、あとで買主から契約不適合責任を問われたり、損害賠償や契約解除を求められたりすることがある。つまり、隠すことがかえって売主の負担を大きくしてしまう。
逆に、伝え方を工夫して正しく告げておけば、後々の紛争を避けられ、売主も安心して取引を終えられる。「隠さないと売れない」ではなく「正しく伝える方が、結局は売主を守る」という向きで考えるのがポイントになる。
プロならこう助言する
テオさん、お気持ちはよく分かります。そのうえで、正直にお伝えします。
買主の方が「そのことを知っていたら契約しなかった、あるいは条件を考え直した」と思うような、判断に重要な影響を及ぼす事実は、告知事項として伝える必要があります。今回のような過去の出来事も、これに当たる場合があります。
事実を伝えずに売ってしまうと、あとで買主から契約不適合責任を問われたり、損害賠償や契約解除を求められたりする可能性があり、かえってご負担が大きくなることがあります。
どの範囲をどう伝えるかは、国土交通省のガイドラインなども参考に一緒に整理できます。伝え方を工夫しながら、安心して取引を進められるようお手伝いします。
助言で気をつけたいこと
- 売主を責めない:「言いたくない」という気持ちを否定せず、受け止めたうえで正確に助言する。
- 不安をあおらない:「隠すと大変」と脅すのではなく、「正しく伝える方が結局は守りになる」と前向きに示す。
- 範囲はガイドラインで整理:どこまで告げるべきかは、国交省のガイドラインなどを参考に一緒に判断できる。
この場面で効いている宅建の知識
- 根拠:宅地建物取引業法 第47条(重要な事実の不告知等の禁止)と、国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
- 告知の基準:買主の判断に重要な影響を及ぼす事実(心理的瑕疵を含む)は伝える
- 隠した場合:契約不適合責任・損害賠償・契約解除などにつながりうる
「重要な事実は告げる」という宅建業法の考え方が、そのまま売主への誠実な助言になっている。
自分でやってみる
学習アプリ「シカクエ」の実務クエストでは、この相談に自分で助言を書いて採点を受けられる(架空の練習用)。売主の気持ちに寄り添いつつ、伝える必要性を正確に示せるか、試してみると理解が深まる。