宅建の実務クエスト

【宅建の実務】引渡し後に雨漏り、売主に言える?──契約不適合責任に答える

中古住宅を買ったお客様から、相談窓口に連絡が入る。

「先月引渡しを受けた中古の家で、雨漏りが見つかりました。契約のときには聞いていなかった不具合です。売主に直してもらったり、費用を求めたりできるのでしょうか? 何をすればよいか分かりません。」

宅建の試験では「契約不適合責任」は改正民法の重要テーマ。覚えた知識が力になるのは、こうして困っている買主に、求められることと次の一歩を渡せたときだ。この記事では、4つの請求の使い分けと、動く順番までを整理する。

この記事は、学習アプリ「シカクエ」の実務クエスト「引渡し後の雨漏り相談(契約不適合責任)に答える」を読み物として再構成したもの。人物・案件はすべて架空です。

まず結論:契約の内容に合わなければ、4つを求められる

引き渡された物件が、種類・品質・数量について契約の内容に適合しない場合(契約不適合)、買主は売主に対して次のことを求められる。

求められること中身位置づけ
①追完請求雨漏りの修補など、契約どおりの状態にするよう求めるまずこれ
②代金減額請求相当の期間を定めて追完を求めても応じない場合などに、代金を減らす①の次
③損害賠償請求不適合で生じた損害(家財の被害など)の賠償を求める①②と併用できる
④契約の解除目的を達せられない場合に、契約を解除する最後の手段

順序に意味がある。入口は追完(直してもらう)で、減額は原則としてその次。いきなり「代金を返せ」ではなく、「直してほしい」から始めるのが法律の建て付けでもあり、話し合いとしても通りやすい。

いちばん大事なのは「早めの通知」——そして通知で足りる

ここが実務の勘所。種類・品質の不適合については、原則として不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要がある。この期間を過ぎると、原則として責任を追及できなくなる。

もうひとつ、安心材料がある。2020年の民法改正で、この1年以内にすべきことは「通知」で足りることがはっきりした。裁判を起こしたり、賠償額を確定させたりする必要はない。「この箇所にこういう不適合がある」と売主に知らせておけば、権利は保全される。だから最初の一歩はシンプルだ——記録して、知らせる

  1. 雨漏りの箇所・状況を写真と日付で記録する(スマホで十分)。
  2. 売主へ書面やメールなど形の残る方法で通知する。内容は「いつ・どこで・何を見つけたか」。
  3. 修理はすぐ必要な応急処置を除き、売主と話す前に本格工事をしない。先に直してしまうと、状態の確認や金額の話し合いが難しくなる。

契約書の特約で結論が変わる——免責と、その限界

中古住宅では「売主は契約不適合責任を負わない」という免責特約が入っていることがある。個人間の売買では、この特約は原則として有効だ。だから契約書の確認は欠かせない。

ただし、免責特約にも限界がある。

つまり「特約があるから無理」と即断せず、特約の中身・売主が誰か・売主が知っていた事情の有無の3点を見てから判断する。

プロならこう答える

ご心配なことと思います。引き渡された家が契約の内容に適合しない場合、買主として売主に求められることがあります。入口は「直してほしい」という追完請求で、応じてもらえない場合に代金減額、被害が出ていれば損害賠償、どうしても目的を果たせなければ解除、という順で考えます。

いま大切なことは2つです。まず、雨漏りの箇所と状況を写真と日付で記録してください。次に、形の残る方法で早めに売主へ知らせましょう。この通知を「知った時から1年以内」にしておけば、権利は守られます。通知だけで足り、この段階で裁判などは必要ありません。

あわせて契約書を拝見させてください。免責の特約が入っていることがありますが、売主が知りながら告げなかった場合には特約は効きません。契約時の説明内容と付き合わせて、求められることを一緒に整理しましょう。応急処置以外の本格的な修理は、売主と話す前には待ってくださいね。

よくある質問と、その答え方

「『現状有姿で引き渡す』と書いてあったら、もう何も言えませんか」
現状有姿の合意だけでは、契約不適合責任の免除までは意味しないと考えられている。「いまの状態のまま引き渡す」ことと「不具合の責任を負わない」ことは別の話で、免責には免責の特約が要る。文言をよく読み分ける。

「ホームインスペクション(建物状況調査)を受けていたら、どうなりますか」
調査報告書に雨漏りの指摘があり、それを承知で買っていたなら「契約の内容に含まれていた」と評価されやすく、責任追及は難しくなる。逆に調査で問題なしとされていたなら、契約に適合しない根拠として使える。契約時の資料は全部が証拠になる。

「通知してから、どれくらいで動きがありますか」
決まった期限はないが、通知→売主の現地確認→修補の見積り→協議、という流れで数週間単位になることが多い。売主が応じない場合に備えて、やり取りの記録は時系列で残しておく。それ自体が次の手(減額・賠償)の材料になる。

案内で外したくないポイント

  1. まず記録、次に通知:写真と日付、形の残る通知。1年以内なら通知だけで権利が保全される。
  2. 順序は追完から:直す→減額→賠償・解除。入口を間違えると話がこじれる。
  3. 先に直しきらない:応急処置は可。本格工事は状態確認の前にしない。
  4. 特約は3点セットで見る:特約の中身・売主が誰か・知っていた事情の有無。
  5. 売主が業者なら宅建業法40条:引渡しから2年以上の通知期間より不利な特約は無効。

この場面で効いている宅建の知識

「追完・減額・賠償・解除」と「1年以内の通知」という試験知識が、そのまま困りごとへの回答になっている。

個別の結論は契約書の内容と事実関係によります。金額が大きい場合や話し合いが難しい場合は、弁護士など専門家への相談も選択肢に含めてください。

勉強は、クエストになった。

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