【宅建の実務】インスペクションって何?──既存住宅状況調査を売主に案内する
築年数の経った一戸建てを売る売主から、相談が届く。
「中古の家を売ろうと考えています。知人から『インスペクションをすると買い手が安心する』と聞きました。これはどんな制度ですか? 必ず受けないといけないものでしょうか?」
宅建の試験でも登場する「既存住宅状況調査(インスペクション)」は、中古取引で売主・買主双方の安心につながる制度。覚えた仕組みが力になるのは、こうして売主にメリットと位置づけを渡せたときだ。この記事では、その中身を整理する。
まず結論:建物の状態を調べる、任意の調査
既存住宅状況調査(インスペクション)は、専門の資格を持つ調査員が、建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分などの状況を、目視などで調べる調査。
受けるかどうかは任意だが、建物の状態がはっきり見えることで、買主が安心して検討しやすくなる利点がある。「必ず受けるもの」ではなく「受けると買い手が安心しやすい」という位置づけで伝えるとよい。
宅建業者は、取引の中でこう関わる
宅建業者は、インスペクションについて取引の各場面で決まった関わり方をする。
- 媒介契約のとき:調査業者をあっせんできるかどうかを書面に記載して示す。
- 重要事項説明のとき:調査を実施した場合は、その結果の概要を説明する。
だから売主には「あっせんできる調査があるか」「実施したら重説で概要が伝わる」という流れまで案内できると親切になる。
プロならこう案内する
ノアさん、良いお話を耳にされましたね。既存住宅状況調査(インスペクション)は、専門の調査員が建物の基礎や外壁、雨漏りにかかわる部分などの状況を調べる調査です。
中古住宅の取引では、私たち宅建業者が調査業者をあっせんできるかどうかを媒介契約の際にお示しし、実際に調査を行った場合は、重要事項説明でその結果の概要をお伝えします。
受けるかどうかは任意ですが、建物の状態がはっきり見えることで、買主の方が安心して検討しやすくなる利点があります。なお、調査は建物の品質を保証するものではなく、あくまで調査時点の状況を確認するものです。ご希望があれば、あっせんできる調査についてご案内しますね。
案内で外したくないポイント
- 任意である:受ける・受けないは選べる。強制ではないと伝える。
- 品質保証ではない:調査時点の状況を確認するもので、将来の品質を保証するものではない。断定しない。
- 取引での扱いを示す:媒介契約でのあっせんの有無、重説での結果概要の説明、という流れを案内する。
この場面で効いている宅建の知識
- 調査の対象:構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防ぐ部分などの状況
- 媒介契約書:調査業者のあっせんの可否を記載する
- 重要事項説明:調査を実施した場合、結果の概要を説明する(宅地建物取引業法 第35条)
- 性質:任意の調査であり、品質を保証するものではない
「あっせんの記載・重説での概要説明」という宅建の枠組みが、そのまま売主への案内になっている。
自分でやってみる
学習アプリ「シカクエ」の実務クエストでは、この相談に自分で案内を書いて採点を受けられる(架空の練習用)。調査の中身と取引での扱いを、売主に分かりやすく伝えられるか、試してみると理解が深まる。