雇用保険料率とは?徴収法12条4項

公開: 更新: カテゴリ: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律

30秒で結論

雇用保険料率とは何か(本質)

条文の趣旨

雇用保険の給付や雇用保険二事業には財源が要る。徴収法は、一般保険料のうち雇用保険分を計算する率として、給付の財源分と二事業の財源分を組み合わせた雇用保険率を定めている。

雇用保険率は、失業等給付費等に充てる分・育児休業給付費に充てる分・雇用保険二事業費に充てる分を合計した率であり、給付に係る分は労使折半、二事業に係る分は事業主のみが負担する(徴収法12条4項・31条)(雇用保険料率の要旨)。

核心は 「給付分は労使折半・二事業分は事業主のみ/事業の種類で3区分」 という負担構造。具体的数値は告示改正で動くため、構造で押さえる。

わかりやすく言い換えると

要するに「雇用保険の保険料を決める率は、失業手当や育児休業給付のための部分(会社と働く人で半分ずつ)と、会社向けの雇用安定の事業のための部分(会社だけが負担)を足したもの。仕事の種類で『ふつうの事業』『農林水産や酒造り』『建設』の3つに分かれていて、実際の数字は毎年見直される」ということ。

試験での位置付け

雇用保険料率は、徴収法で頻出の論点。雇用保険率が給付分と二事業分の合計である点、給付分は労使折半・二事業分は事業主のみ負担である点、事業の種類で3区分される点、具体的数値は年度の告示で確認する点が、横断的に問われる。


なぜ重要か

出題の傾向

雇用保険料率をめぐる出題は、おおむね三つの形に整理できる。

押さえるとどう効くか

ここをつかんでおくと、徴収法の保険料計算がつながる。保険関係の成立 で生じた保険関係をもとに、一元適用事業・二元適用事業 の区分で雇用保険分の扱いが決まり、労働保険の年度更新 で雇用保険率を用いて保険料を申告納付する、という形で押さえると、保険料計算の流れが定着する。

関連論点との接続

雇用保険料率は、複数の論点と接続している。

「給付と二事業の財源をどう負担で分けるか」という枠の中で、雇用保険料率は徴収法の保険料計算の中核を担っている。


詳細解説

雇用保険料率は、三つの軸 で分解すると整理しやすい。第1軸「構成」、第2軸「事業の種類別の率」、第3軸「負担区分と弾力条項」。順に押さえれば、構成型も負担型も落ち着いて解ける。

ポイント1: 何で構成されるのか ── 給付分+育児休業給付分+二事業分

雇用保険率の構成を押さえる。

雇用保険率の構成(徴収法12条4項)

論点整理
位置一般保険料の額の算定に用いる率の一つ(12条1項)
1号失業等給付費等に充てる分(12条4項1号)
2号育児休業給付費に充てる分(12条4項2号)
3号雇用保険二事業費に充てる分(12条4項3号)
合計上記を合計した率が雇用保険率

ポイントは、雇用保険率は、失業等給付費等に充てる分・育児休業給付費に充てる分・雇用保険二事業費に充てる分を合計した率である こと(徴収法12条4項1号〜3号)。一般保険料の額は、その事業に使用される労働者に支払う賃金総額に保険料率を乗じて算定され、雇用保険に係る保険関係のみ成立する事業ではこの雇用保険率が用いられる(労災保険関係も成立する一元適用事業では労災保険率と雇用保険率を合わせた率を用いる)。日雇労働被保険者について別途徴収する印紙保険料は、この一般保険料とは別の保険料である。

ポイント2: 事業ごとに率は違うのか ── 一般/農林水産・清酒製造/建設

事業の種類別の率を押さえる。具体的数値は告示で毎年度動くため、必ず受験年度の厚生労働省資料で確認する。

事業の種類別の雇用保険率(令和7年度の例・要受験年度確認)

区分一般の事業/農林水産・清酒製造の事業/建設の事業の3区分
一般の事業令和7年度は1,000分の14.5(労働者1,000分の5.5・事業主1,000分の9)
農林水産・清酒製造令和7年度は1,000分の16.5(労働者1,000分の6.5・事業主1,000分の10)
建設の事業令和7年度は1,000分の17.5(労働者1,000分の6.5・事業主1,000分の11)
注意令和6年度は各区分とも令和7年度より1,000分の1高い等、年度で変動

ポイントは、雇用保険率は事業の種類により一般の事業・農林水産及び清酒製造の事業・建設の事業の3区分に分かれ、二事業分を多く要する建設が最も高い こと。数値は告示改正で動くため、令和7年度と令和6年度のように年度で異なる点を踏まえ、受験年度の値を必ず確認する。

ポイント3: 誰がどう負担するのか ── 給付分は折半・二事業分は事業主のみ

負担区分と弾力条項を押さえる。

負担区分と弾力条項(徴収法31条・12条)

論点整理
被保険者負担雇用保険率から二事業分相当を除いた額の2分の1(31条1項)
内容実質、失業等給付分+育児休業給付分の2分の1を負担
二事業分事業主が全額負担(被保険者は負担しない)
事業主負担労働保険料から被保険者負担額を控除した残額(31条3項)
弾力条項財政状況に応じ厚生労働大臣が一定範囲で率を変更(12条5項等)

ポイントは、被保険者は雇用保険率から二事業分相当を除いた額の2分の1を負担し(実質、失業等給付分と育児休業給付分の半分)、雇用保険二事業分は事業主が全額負担する こと(徴収法31条)。さらに、失業等給付・育児休業給付・二事業の各財政状況に応じ、厚生労働大臣が一定範囲で率を変更できる弾力条項がある。具体的には、失業等給付に係る分は徴収法12条5項、育児休業給付に係る分は同条8項・9項、雇用保険二事業に係る分は同条10項・11項に、それぞれ積立金や資金の状況を踏まえた変更規定が置かれており、財源の系統ごとに弾力的に調整される構造になっている。

ポイント4: 哲学コラム ── 雇用保険料率が映す「負担を役割で分ける設計」

雇用保険料率という仕組みは、単なる料率表ではなく、「給付の性質に応じて、負担する人を公平に分ける」という設計思想 を映している。法は、働く人自身も受け得る失業や育児休業の給付は労使で折半し、事業主が主に担う雇用安定の二事業は事業主に負わせ、業種ごとのリスクや必要費用に応じて率を分けた。みなで支える部分はみなで、事業主が担う部分は事業主が ── どれも「保険の負担が、その給付の役割に見合った形で公平に配分される」ことを実現するための仕組みだ。シカクエが「仕組みで攻略する」と伝えているのは、こうした趣旨ごと理解すると、暗記が記憶として根づき、応用が利くようになるからだ。

雇用保険料率の総整理

ここまでを整理する。第1に構成(失業等給付分+育児休業給付分+二事業分の合計・徴収法12条4項)、第2に事業の種類別(一般/農林水産・清酒製造/建設の3区分・数値は受験年度確認)、第3に負担区分と弾力条項(給付分は労使折半・二事業分は事業主のみ・31条/財政に応じた弾力変更・12条5項等)。この軸を順に当てはめれば安定して解ける。


よくある間違い・注意点

間違いパターン1: 「雇用保険率は全額を労使で折半する」

これは誤り。労使で折半するのは失業等給付・育児休業給付に係る分であり、雇用保険二事業に係る分は事業主のみが負担する。全額折半と取り違えない。

間違いパターン2: 「雇用保険率は事業の種類にかかわらず一律である」

これも誤り。雇用保険率は一般の事業・農林水産及び清酒製造の事業・建設の事業の3区分に分かれる。一律と取り違えない。

雇用保険率=失業等給付分+育児休業給付分+二事業分(徴収法12条4項)。給付分は労使折半、二事業分は事業主のみ負担(31条)。事業の種類で一般/農林水産・清酒製造/建設の3区分。「全額折半」「率は一律」「数値は毎年同じ」はいずれも誤りで、数値は受験年度の告示で確認する。

間違いパターン3: 「具体的な雇用保険率の数値は毎年度変わらず固定である」

これも誤り。雇用保険率は財政状況に応じ告示・改正で年度ごとに変わり得る(令和7年度は令和6年度より引下げ)。固定と取り違えず、必ず受験年度の値を確認する。

似た用語との違い

保険関係の成立 は保険関係がいつ生じどう届け出るかの仕組み、雇用保険料率は成立した雇用保険に係る保険関係について保険料を計算する率 ── 成立の仕組みか保険料計算の率かが違う、と並べて押さえると混ざらない。


試験での出題パターン

完全自作のオリジナル問題で確認する。過去問そのままではない。

オリジナル問題1(基本論点)

📝 オリジナル問題 1 基本論点

徴収法の雇用保険率に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 雇用保険率は失業等給付分のみからなる単一の率であるものとされる
  2. 雇用保険率は労災保険率と全く同一の基準で定められるものである
  3. 雇用保険率は事業主のみが全額を負担する率であるものとされている
  4. 雇用保険率は給付に係る分と雇用保険二事業に係る分の合計である
セーフビーバ
セーフビーバ 解答・解説

解答は 4 だよ。

構成を問う基本論点なんだ。

選択肢判定理由
1二事業分も
2基準が違う
3給付分は折半
4合計した率

給付分と二事業分の合計——ここを固めるのが第一歩だよ。

オリジナル問題2(応用論点)

📝 オリジナル問題 2 応用論点

雇用保険料の負担に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 被保険者は二事業分を除いた額の2分の1を負担する仕組みである
  2. 被保険者は雇用保険率の全額の2分の1を負担するものとされている
  3. 雇用保険二事業に係る分は被保険者と事業主が折半するものである
  4. 雇用保険料は全額を被保険者のみが負担するものとされている
ロウミーア
ロウミーア 解答・解説

解答は 1 だっ。

負担区分を問う応用論点だっ。

選択肢判定理由
1二事業分除く
2二事業分除く
3事業主のみ
4折半が原則

二事業分を除いた額の2分の1——区別で見るのが要だっ!

オリジナル問題3(特殊論点:事業の種類別)

📝 オリジナル問題 3 特殊論点:事業の種類別

雇用保険率の事業の種類別の区分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 雇用保険率はどの事業も同一で区分は設けられていないものである
  2. 雇用保険率は一般・農林水産や清酒製造・建設の3区分に分かれる
  3. 雇用保険率の具体的数値は告示が改正されても毎年度固定である
  4. 雇用保険率は建設の事業が最も低く設定されているものとされる
ロウタイテイ
ロウタイテイ 解答・解説

解答は 2 である。

事業の種類別を問うものである。

選択肢判定理由
13区分ある
23区分に区別
3年度で変動
4建設が最高

一般・農林水産や清酒製造・建設の3区分と押さえるのが肝要である。


まとめ

雇用保険料率は、給付の財源分と二事業の財源分を負担の役割で分ける、徴収法12条4項・31条の率。構成/事業の種類別の率/負担区分と弾力条項 ── この三軸を押さえれば、構成型も負担型も安定して解ける。

押さえどころ3つ

  1. 構成: 雇用保険率=失業等給付費等に充てる分+育児休業給付費に充てる分+雇用保険二事業費に充てる分の合計(徴収法12条4項1号〜3号)/一般保険料の算定に用いる
  2. 事業の種類別の率: 一般の事業/農林水産及び清酒製造の事業/建設の事業の3区分(二事業分を多く要する建設が最も高い)/具体的数値は告示で年度ごとに変動し受験年度の厚生労働省資料で確認(令和7年度は令和6年度より引下げ)
  3. 負担区分と弾力条項: 被保険者は雇用保険率から二事業分相当を除いた額の2分の1を負担(実質、失業等給付分+育児休業給付分の半分)/二事業分は事業主が全額負担(徴収法31条)/財政に応じた弾力条項(徴収法12条5項等)

次に学ぶべき関連用語

雇用保険料率をつかんだら、率を適用する前提の 保険関係の成立 を読み返し、雇用保険分の処理単位を分ける 一元適用事業・二元適用事業 と、率を用いて申告納付する 労働保険の年度更新 を確かめると、保険料計算の全体像が立体的になる。

論点を一つずつ積み上げれば、見える景色は確かに変わっていく。雇用保険料率は徴収法の保険料計算の中核。ここを越えれば、賃金総額や年度更新の各論点が順につながって見えてくる。

学習の進め方の目安

雇用保険料率を自分のものにできたかは、次の三つの問いで確かめられる。「雇用保険率が失業等給付分・育児休業給付分・二事業分の合計であることを述べられるか」「給付に係る分は労使折半・二事業分は事業主のみ負担であることを説明できるか」「事業の種類で3区分され、数値は受験年度の告示で確認する必要がある点を区別できるか」。即答できなければ、該当のセクションに戻ればいい。戻ることは後退ではなく、定着への近道になる。


執筆: SikakuQuest編集部

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